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【韓国】韓国人はコロナ禍でどのように秋夕をお祝いするのか?

秋には、韓国最大の伝統的な祝日である「秋夕」(チュソク)があります。今年の秋夕は10月1日に当たりますが、祝日は9月30日から10月2日までで、韓国の人々は5日間の連休に入ります。通常、何百万人もの人々が休暇を家族と過ごすために国内を移動し、先祖に感謝する伝統行事を行います。しかし、COVID-19がまだ潜んでおり、新たに感染する恐れがあるため、今年はいつもと少し違う秋夕が予想されます。

故郷へ帰省する人の数は例年に比べて減少すると予想されていますが、それでも韓国の保健当局は、感染症の急増につながりやすい危険なイベントとなってしまう可能性があると警戒しています。

自治体は人々に、休暇中は近くに暮らす家族とのみ過ごし、新たな感染を増やさないために長距離旅行は控えるように奨励しています。さらに鉄道事業者は、列車の混雑を防ぐため、チケットは窓側の席のみの販売、または利用可能な座席のうち半数分のみを販売しています。また、高速道路料金は、通常秋夕の休暇中は免除(無料)になりますが、今年は不要不急な旅行を抑えるため有料となります。

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オンライン上での伝統行事

秋夕は古くからの伝統的な祝日で、国内のさまざまな地域から集まった家族が、先祖に感謝の気持ちを捧げる儀式を行います。しかし、パンデミックの影響で昔ながらの方法で祝日を過ごすことができないため、現代的な解決策に目を向けている人もいます。

今年は、家族や友人だけでなく、先祖とつながるためにもテクノロジーを利用しているのです。

秋夕には大きく分けて二つの伝統があります。祖先を供養するチャリェ(차례)と先祖代々のお墓にお参りに行くソンミョ(성묘)です。こうした行事を今年も行えるようにと、仁川ファミリーパークのような場所では、COVID-19のために家族の先祖の墓参りができない人たちに向けて、オンラインで先祖供養のサービスを提供しています。

従来の供養台の代わりに、スクリーンの前で祭祀を行い、食べ物や花のアニメーションを見ながら供養を行うことができるというものです。また、先祖へのメッセージを書いたり、花輪を置いたりすることもできるようになっています。仁川ファミリーパークでは、この記事を書いている時点で約2000人がこのようなサービスに登録しています。

中央災害安全対策本部(CDSCHQ)も「バーチャル墓参り」を支持しており、お墓掃除のための墓参りを控えるよう促しています。保健福祉部の葬儀情報システムは、全国の他のメモリアルパークが同様のオンラインサービスを運営するのを支援することを検討していたり、全国森林協同組合連合会やノンヒャップのような組織は、さらなる感染症のリスクを下げようと墓石の清掃サービスを提供しています。

贈り物

秋夕の伝統行事では、贈り物を贈ることが大きな役割を果たしています。伝統という側面のみならず、そこで贈られるギフトセットはその年の社会・経済を反映したものでもあります。今年はパンデミックの影響で消費者心理が低迷しているため、小売店は連休の1ヶ月以上前から秋夕のプロモーションに力を入れていました。

新世界百貨店では、8月24日から9月13日にかけて秋夕ギフトセットの予約受付を開始しました。オンラインでの販売商品を70%拡大させ、オンラインで注文してオフラインの店舗で受け取ることができるサービスを開始し、人混みを避けられるようにしました。また、自宅でお酒を飲む機会が増えていることから、ワインを最大70%オフにすると発表しています。

一方、Emartでは、ギフトセットの購入を検討している顧客の自宅やオフィスで、人混みを避けて相談できるコンサルティングサービスを提供しています。今年の正月にもこのサービスを提供しましたが、今回のパンデミックを受けて秋夕でも再びこのサービスを提供することにしたということです。また、Emartでは、秋夕ギフトの事前予約の傾向を分析したところ、コロナウイルスの影響で消費者の健康への関心が高まっていることがわかったということです。

また、今年は電子クーポンが人気を集めています。ロッテショッピングが運営する電子商取引アプリ「ロッテオン」が実施した調査によると、回答者の50%が電子クーポンが最も欲しいギフトだと回答しました。この結果を受け、ロッテは今後、百貨店やロッテマートなどロッテ各社のモバイルギフトクーポンサービスを強化していく予定です。

全体的には、加工食品やCOVID-19関連のギフトセットが最も売れているギフトとなっている。韓国のスーパーマーケットチェーンのホームプラスでは、9月1日から8日までの間、冷蔵タイプの便利な食品のネット販売が前月の同時期に比べて83%増加しました。

スパム?

秋夕は収穫祭でもあることから、ギフトは果物などの食品関連のものが多く選ばれます。意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この時期に贈るギフトの中で最も人気のあるものの一つがスパムです。そう、この四角い缶詰の加工肉が韓国の消費者の心を掴んで、韓国で最も売れているギフト商品として不思議な位置を占めているのです。

欧米ではスパムは生肉の代わりに安いと思われているかもしれませんが、韓国ではこのピンク色のレンガ状の豚肩肉とハムが人気を博しています。スパムは塩辛くて脂肪分が多いので、韓国料理のピリッとした辛さにぴったりで、キムチなどの料理にもよく合います。対極の二つの味によって、バランスが取れるのです。

スパムは1950年の朝鮮戦争中に米軍を通じて半島に上陸したのが始まりで、その頃は生肉はおろか食料自体が不足していました。その後、40年後の90年代後半のアジア金融危機の際、人々は伝統的なフルーツバスケットや牛肉のセットよりも手頃な価格のものをギフトとして求め、スパムが人気のギフト商品として登場しました。その後もスパムの需要は衰えず、韓国はアメリカに次ぐ第二のスパム消費国となりました。

パンデミックがアジアの人々の生活にどのような影響を与えているかについては、他の「Eye on Asia」コラムでぜひご覧ください。次回もお楽しみに!


  • dataSpring

    執筆者プロフィール
    dataSpring Editors

    dataSpringはインテージグループ傘下のアジア最大規模のインターネット調査専用パネルを提供するプロフェッショナル集団です。

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    辰田 悠輔

    Global Market Surferのサイトづくりを担当。韓国人の友人に作ってもらった軍隊仕込みのブデチゲ(スパム鍋)が学生時代の思い出の味。

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