【ベトナム】エアコン分野でSamsungが躍進
ベトナム人の家電所有率の変化
ベトナム統計局が2010~2017年の国内総生産(GDP)統計を再集計した結果、1人当たりGDPは約3,000USDになり、フィリピンと同規模となった。1人当たりのGDPが3,000USDを超えると、自動車や家電、家具などへの購入意欲が急速に高まると言われる。
2015年と2019年のインテージベトナムの自主調査によると、ベトナム1世帯当たりの家電所有率の伸び率が著しい。
スマートTV所有率の伸びは約20%アップ(2015年:21.9%, 2019年:39.3%)。その背景には、ベトナム人の有力情報源として浸透しているYouTubeをTVで見たいということと、保有率が高いスマートフォンのTV連動への需要が高まったことが挙げられる。
また、エアコン所有率の伸びも同様に約20%アップ(2015年:59.3%, 2019年:81.0%)。購入ブランドでみると、DAIKINとPanasonicが2015年と2019年でともに1位と2位である(DAIKIN:2015年:14.2%, 2019年:31%/Panasonic:2015年:16.3%, 2019年:30%)。
しかし、伸び率でのトップはSamsungだ。2015年の2.9%から2019年は21.3%と7倍以上伸びている。その理由としては、マンションの需要が増えたベトナムでシンガポールや台湾のデベロッパーが高級マンションを建設する際に、ベトナム人に人気があってコストパフォーマンスの良い韓国製品を積極的に使うという、B to Bビジネスの成功が挙げられる。
ここまで堅調にベトナムで存在感を強めてきた韓国メーカーであるが、韓国国内の経済鈍化に加えて新型コロナウイルスの影響を受け、ベトナム工場の稼働停止や縮小が始まっている。新型コロナウイルスの収束後、どれだけ迅速に立て直せるかが重要である。
出典:月刊誌「ACCESS」(2020年6月号)
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執筆者プロフィール
Paul Ryu
INTAGE VietnamのMarketing Manager。INTAGE Japanで海外調査担当後、日本人の妻と一緒にベトナムへ赴任。日本でBranding Masterを取得(九州大学大学院)ベトナム駐在員のその他コラムはこちら
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編集者プロフィール
辰田 悠輔
Global Market Surferのサイトづくりを担当。大学時代は家電量販店でアルバイトをしていた家電好き。
- 2020/06/01
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