【シンガポール】ハラル認証「食べられる」ライスストローが誕生/脱プラスチックストローの取り組みが加速
シンガポールの飲食店や高級ホテルでは、プラスチック製ストローに代わり、紙、シリコン、金属、竹、ガラスなどで作られたストローの利用が急速に拡大中だ。その中でもマレーシア・ペナン島の企業「NLYTECH Biotech Sdn Bhd」が開発した、米とタピオカから作られた「食べられる」ライスストローに注目が集まっている。飲み物の味を邪魔しないようにストロー自体の味はなく、飲み物に溶け出すこともない。また、ストローとしては珍しくハラル認証も取得しているため、ムスリム人口の多い東南アジアでの需要も見込める。シンガポールをはじめアジア各国で開催されている食に関する展示会に、ライスストローを出展しており、高評価を得ている。
また、マイストローを持参する人も増えている。キウイフルーツを生産・販売するニュージーランドの企業「ゼスプリ」では、キウイ6個入りパックに金属製のマイストローセット(ストロー2本、洗浄用ブラシ、アクセサリー、巾着袋)を付けてセール価格で販売したところ、完売し話題となっている。
高級ホテルや観光スポット内の飲食店でもプラスチックストロー廃止の動き
WWFのプラスチック汚染問題解決に向けた取り組みの一環として、シンガポール国内の31企業が運営する270の飲食店で7月1日より、プラスチック製ストローの利用を廃止した。この中には、欧州最大のホテルチェーン「アコーグループ」のラッフルズ、フェアモント、スイソテル・ザ・スタンフォードなど各ホテルにある53のレストランやバー、そして代表的な観光スポットであるシンガポール動物園、ナイトサファリ、リバーサファリ、ジュロンバードパーク内の24の飲食店も含まれている。
赤道直下に位置し、常夏の気候のシンガポールでは、冷たい飲み物が年間を通して好まれるが、2018年に220万本ものプラスチック製ストローが使用され、社会問題となっている。高級ホテルや人気観光地で脱プラスチックストローが進むことは、他の飲食店に大きな影響を与え、また、消費者側にも強いメッセージを届けることになる。今後も脱プラスチックストローの動きは加速すると見られている。
本記事はTNCライフスタイル・リサーチャー(http://lifestyle.tenace.co.jp/ )とインテージのグローバル・リサーチャーの共同執筆記事です。
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TNCアジアトレンドラボ
株式会社TNCが運営する、アジアのトレンドを研究・発信する情報機関。現地の生活者の暮らしや生活習慣に根ざしたトレンドからインサイトを見出し、企業のマーケティング活動の支援を行っています。
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インテージ
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- 2019/11/22
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