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【東南アジア】高まるネット通販”愛”

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パンデミックがもたらした新しい世界で生きるため、消費者が、ショッピングのようなありきたりな行動でさえすばやくオンラインに移行するといった、新しい行動様式を取らざるを得なかったことを、読者のみなさんは今までに何度も読んで読み飽きていることでしょう。しかしながら、東南アジアにとって、オンラインショッピングは新しいことではありません。東南アジアは過去5年間で世界でもeコマースが最も急速に成長している地域の1つなのです。パンデミックが私たちを閉じ込めオンラインでの時間が増えるずっと前からです。

では、今年の最大のeコマースイベントでこの地域はどうだったのでしょうか?

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倍数現象

独身者の日は1993年に中国江蘇省の南京大学の学生が、特別な人がいないという汚名を晴らすために、独身者のためのパーティーを開いたことから始まった非公式な祝日です。選ばれた11月11日は、カレンダーの文字11/11から独身に結び付けられました。

2009年には、現在の小売大手アリババがこの日を利用して、ショッピングの日として宣伝しました。年月が経つにつれ、アンチ・バレンタインデーの反乱は、今日のようなショッピングの祭典へと変貌を遂げました。

このイベントは、今では月と日の番号が一致する日に毎月行われていますが、 11月11日は依然世界最大のショッピングホリデーです。アメリカのブラックフライデーよりもはるかに大規模です。

「波」を読んだビッグセール

この地域最大のeコマースプラットフォームであるShopeeとLazadaは、今年の11.11セールで大きな「波」を呼びました。

Shopeeは、7つの市場において、消費者と企業の双方から圧倒的な支持を得て、新記録を達成しました。今年の成功の原動力となったのは、すべての人にeコマースを提供するというShopeeの目標でした。通常の大規模なセールだけでなく、アプリと消費者の交流を促進するためのアクティビティを多数導入しました。中には、ゲームやライブストリームもありました。

プロモーション終了までに2億点の商品が売れ、Shopee Liveでは2000万時間以上のライブストリームが視聴され、Shopeeのアプリ内ゲームは25億回以上のプレイを記録しました。初めて11.11ビッグセールに参加した販売者は、通常の日の10倍もの注文を受け、地元の起業家や中小企業(SME)に新たな機会を提供しました。

同じくeコマース大手のLazadaは、今年もイベント期間中に同社のプラットフォーム上で「記録的」な数の売上を記録したと、同社のシンガポール代表は述べています。アリババが所有するLazada SingaporeのCEO、James Chang氏によると、独身の日のプロモーション期間中、約4000万人のユーザーが同社のプラットフォームにアクセスし、40万以上の売り手が取引を行いました。

Lazadaは総売上高を公表しませんでしたが、Chang氏はイベントの最初の1時間だけで1億ドル以上の売上があったと述べました。昨年の3倍の速さでその金額に達したとChang氏は付け加えています。

また、Lazadaの親会社であるアリババも新記録を樹立し、独身の日を740億米ドル以上で終了しました。これはこれまでの最高である昨年の380億米ドルから大幅アップでした。

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東南アジアでなにが?

この地域のeコマースは、過去5年間で急激に成長が加速しています。

全体的な経済成長とインターネット普及率の上昇が、この分野の快進撃の要因でした。これらの要因に加えて、グローバルリーダーからの投資の増加や消費者の間での新技術の早期導入などが、この地域でのオンラインショッピング利用者増加への道を開いてきました。Google Trendsによると、タイでは今年5月初めに、昨年同月と比較してeコマース検索の関心度が63%増加しました。マレーシアとベトナムでも、それぞれ32%、13%の増加が見られました。

このような成長の傾向は今に始まったことではありませんが、パンデミック中に課されたソーシャルディスタンスや検疫措置の恩恵を受けています。この地域はすでに世界最大のモバイルインターネットのアクティブユーザーを有し、1日に4時間近くモバイルインターネットを利用していましたが、パンデミックの影響でeコマースの売上が地域全体で急上昇しました。この地域のデジタル消費者は年末までに3億1000万人になると予想されており、この数字は以前、FacebookとBain & Companyのレポートで2025年の数字として予測されていたものです。

Google、Temasek、Bain & Companyのレポートによると、東南アジアのeコマースは、パンデミック発生前からすでに大幅な成長を遂げており、2015年の55億米ドルから昨年は380米億ドルへと600%近く増加しています。また、同レポートでは2025年までにこのセクターが1500億米ドルを超えると予測していましたが、パンデミックの影響で、当初の予測を上回ることが予想されています。

大局的にみると、Shopeeは2018年の11.11ビッグセールで地域全体で1100万件の注文を達成しました。これはさらに2019年には7000万件まで増加し、今年はついに2億件を達成しました。

いかがでしたでしょうか。他のEye on Asiaの記事で、パンデミックの中でこの地域の人々がどのような生活を送っているのかについても是非ご覧ください。日本がオリンピックの遅れにどう対処しているか、韓国が今年の中秋節をどのように祝ったかなどの記事を掲載しています。次回もお楽しみに!


  • dataSpring

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