imagesColumn

【ベトナム】キャッシュレス事情

images

ベトナムで約4年生活していく中で見えてきたキャッシュレスの実態、人々の意識、変化などを今回紹介したいと思います。

現金への絶大な信頼

東南アジアの中でベトナムは、現金利用率が最も高い国として有名です。
2017年の世界銀行の調査によると、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイといった他東南アジア諸国と比較し、ベトナムの銀行口座開設割合(30.8%)、クレジットカード保有率(4.1%)、モバイルマネーアカウントの保有率(3.5%)の低さが目立ちます。また逆にネット購入時の代金引換が高い(90.2%)こともあり、現金主義であることがうかがえます(出典:世界銀行 acommerce 2017)。
その背景は、「現金しか受け付けていない店舗の多さ」「キャシュレス利用に対する低い信用」があげられます。

政府のキャッシュレス化の大号令(ベトナム非現金決済発展計画)

そのようなお店、お客両側面で現金主義のベトナムですが、ベトナム政府は、自国のキャッシュレスの推進のため、「現金決済割合の引き下げ(10%以下)」「POS/カードリーダーの設置、利用増加(年間2億取引)」「モダントレードを中心にキャッシュレス決済可能」「銀行口座の保有比率の上昇(70%以上)」等にする取り組みを後押ししています。
その一つとして、ベトナムがキャッシュレス社会になることを目指しキャッシュレス使用を促進するために、6月16日を「キャッシュレス決済の日」と制定しています。当初は、人々にキャッシュレス決済の形態を紹介し、知ってもらうことが目的でしたが、後に消費者のショッピング意欲を刺激する効果的なイベントになりました。
2021年5月に発出された2025年までの銀行業界デジタル変革の計画に関する決定810号によると、成人の80%以上が電子決済サービスを利用する目標を掲げています(出典: 法律事務所THƯ VIỆN PHÁP LUẬT)。

新型コロナウィルスの影響も有り、この1~2年で各種非現金決済が急拡大しています。
米国クレジットカード会社VISAの2021年1~3月期調査報告によると、クレジットカード/デビットカード決済総額は前年同期比+34%増となっています。同社ブランドのカード決済に対する非接触型決済の比率は前年同期比3.3倍に拡大したほか、電子商取引(eコマース=EC)の決済総額の前年同期比伸び率は2020年10~12月の5.5倍に達しています。調査対象者の88%は携帯端末による非接触型決済について認知しており、45%は実際に利用しているという結果となりました(出典:ビザ(Visa)ベトナムの消費者の決済動向に関する調査)。

モバイルペイメントの拡大

経済誌「Nhip cau Dau tu」が開発者とユーザーを対象に実施したアンケートでは、MoMo、ZaloPay、ViettelPayがベトナムを代表する電子ウォレットトップ3に選ばれました(出典:JETRO ベトナムのキャッシュレス決済最前線) 。この3社以外にも、ベトナムを代表するコングロマリット企業Vin GroupからVNPAY、東南アジアを中心に拡大する配車アプリ運営企業GrabからGrabウォレット(moca)、韓国のコングロマリット企業SamsungからSamsungPayなどがサービスを展開していますので、競争は益々激しくなっていくことが予想されます。

国家銀行によると、2019年の電子取引成長率は、インターネット取引数が前年比+64%増、取引額で+37%増、うちモバイル端末経由の取引数は+198%増、取引額は+210%増と急増しました。QRコードを利用した2020年第1四半期の取引は、前年同期比で取引数が+83%増、金額で+146%増加しています(出典:LAO DONG)。

現金主義のベトナムにおいても、政府の後押し、コロナウイルスの影響、グローバルの流れを含め、キャッシュレス化の波は着実に進んでいきます。
ベトナムの空港の換金所で、日本円から換金した時に桁数が多いベトナムの紙幣を握りしめ、富豪の気分になる機会がなくなってしまうのは少し寂しくもあります。

下図:ベトナム最大手ECサイトShopeeで購入する際、AirPayで決済すると送料無料や値引きの特典がある。各ECサイトで同様の特典あり。
(写真出典:インテージベトナムスタッフのスマートフォンより)

images

下図:ホーチミン市1区のある中学校校門付近に掲示されている学費納入方法の案内。請求収納代行サービス「Payoo」を利用してコンビニやスーパーなどの店舗レジで現金決済可能なほか、Payooのウェブサイトやアプリから決済可能。
同校ではこのほかに電子ウォレットViettele Payも利用できる。公立校は各校の裁量で決済サービスを導入している。
(写真出典:インテージベトナムスタッフ撮影)

images


  • images

    執筆者プロフィール
    池田 正興(いけだ まさおき)

    2019年まで約4年間ベトナムのホーチミンに駐在。
    現在は、日本で海外調査を担当。旅行が好きなため、コロナ禍でウズウズしている今日この頃。

転載・引用について
  • 本レポート・コラムの著作権は、株式会社インテージ または執筆者が所属する企業が保有します。下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記ください 。

    「出典: インテージ 調査レポート「(レポートタイトル)」(●年●月●日発行)」
    「出典:Global Market Surfer ●年●月●日公開
  • 禁止事項:
    • 内容の一部または全部の改変
    • 内容の一部または全部の販売・出版
    • 公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
    • 企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的とした転載・引用
  • その他注意点:
    • 本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません
    • この利用ルールは、著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません
  • 転載・引用についてのお問い合わせはこちら