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【フィリピン】PM2.5の数値が大幅改善。渋滞と大気汚染が深刻なマニラに新たな移動手段が登場

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最も交通渋滞が深刻な都市に 選ばれたことのあるマニラ

2019年にアジア開発銀行(ADB)が発表した調査では、マニラ首都圏がアジア278都市中「最も交通渋滞が深刻な都市」に選ばれたこともあるほど、マニラは渋滞と大気汚染で有名だ。そんなマニラで、昨年から新たな移動手段として自転車、PMD(Personal Mobility Device・キックスクーターなど)が急速に普及している。一般人の近距離移動手段としてはもちろん、フードデリバリーのドライバーが配達に利用している姿も目立つ。自転車・PMDの駐輪場や、自転車・PMD専用レーンが車道に作られるなど、国や市主導で普及を推進している。
人気の自転車は10,000ペソ(約22,000円)程度のスポーツタイプ。日本のシティサイクルは「ジャパンバイク」として、3,000ペソ(約6,700円)台から安価な中古自転車を取り扱う店舗が増えてきている。

ロックダウン後、PM2.5の数値が大幅に改善

渋滞緩和策として、国や自治体が車の代替移動手段の普及に取り組み始めたタイミングで、COVID-19の流行が起こった。ロックダウンもあり、車や公共交通機関の利用が進んだと同時に、安全な移動手段としても自転車やPMDが注目を集めて、普及へと繋がったといえる。車の排気ガスによる大気汚染は、ロックダウン後に大きく改善。フィリピン大学などの調査によると、PM2.5の数値がロックダウン後の2週間で、それ以前の1/3〜1/4まで減少したというデータもある。
また、フードデリバリー需要の増加に伴って、自転車・PMDの需要も増加したとも思われる。これまでは数万円する自転車しか見られなかったが、数千円で購入できる安価な自転車を取り扱う店舗が登場したことも、普及の後押しになっている。

本記事はTNCライフスタイル・リサーチャー(http://lifestyle.tenace.co.jp/ )とインテージのグローバル・リサーチャーの共同執筆記事です。


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