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<駐在員コラム>【中国】KOLだけじゃない!広がりを見せる中国ライブ販売の実態

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「ライブ販売」と聞いて、皆さんはどの様なものをイメージするだろうか。日本で長年暮らしていた自分はテレビ通販のイメージが定着しているのだが、皆さんは何を思い浮かべるだろうか?

私が中国に来た時に衝撃を受けた事がある。
それは、電車の中や喫茶店などで若者のスマートフォンを覗き見すると、ライブ通販と思われる動画を見ている場面にしばし遭遇することだ。
もちろん、日本同様にYoutubeの様なエンタメ系動画を見ている人の方が多いとは思うが、中国の若者はライブ通販の商品紹介動画をエンタメとしても楽しんでいるし、最新のトレンドを知る場としても有効なコンテンツと考えているようだ。そして何より、圧倒的なディスカウントチャネルとしても期待されている。

中国のライブ販売とKOL(Key Opinion Leader:网红(“ワンホン”))

日本でも人気職業になっているYoutuber同様、オンライン動画上での活動をメインとする中国のKOLだが、その収入構造はYoutuberとは異なる部分が多い。
日本のYoutuberは文字通りYoutube上で活動し、その収入源は主に広告収入であるのに対して、中国におけるKOLの収入は広告収入以外に企業やECプラットフォームとの契約費や、販売量に応じた収入など、多岐にわたる。
特に中国では、ECプラットフォーム(天猫や京東)上(または、ECプラットフォームと連携しているプラットフォーム)でライブ放送を誰でも行える環境が整っている為、KOLは商品販売に力を入れる傾向が強くなっている。

中国の2大KOL

中国でのマーケティングに関わっている人であれば1度は耳にしているであろう中国のトップKOLと言えば、李佳琦(リージャーチー)と薇娅(ウェイヤー)ではないだろうか。2人の売上は下記の通りであるが、2ヶ月で各自、日本円にして300億円以上を販売してしまうのである。

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データソース:Ecdataway数据库

トップKOLともなれば撮影陣を含めて100人単位で動いているので、純粋に一人の売上とはいえないとしても、ちょっとした百貨店の年商を2か月で叩き出してしまう破壊力がある。

そんなKOLたちはもちろん、金銭を受領してプロとして活動しており、消費者もそれを知った上で彼らの紹介する商品を購入しているのである。
その理由には、KOLに対する信頼と、圧倒的なディスカウントという2つの側面がある。

まず、人気KOLはなんでもかんでも無節操に宣伝するわけではなく、自分に合わない・勧められないと思った商品の宣伝はしっかりと断る。専門性も高く、事前にテストを実施したり、成分などまで詳しく調べていたりして、充実した情報を非常に分かりやすく伝えてくれる。更に、いい事ばかりを並べるだけでなく、こういう方には向いてないなど、ネガティブな情報も伝えてくれる点も消費者の共感を生んでいるのである。その様なスタイルの背景には、彼らの最大の価値が、フォロワーの数など見かけの数値ではなく、フォロワーからの信頼に立脚しているからといえる。

また、これは人気KOLになったからこそ付いてくるものではあるが、圧倒的な販売量を実現するトップKOLはその分メーカーとの価格交渉力も高いため、どのチャネルよりも安い価格を実現でき、それを消費者も理解しているのである。

当たり前の販売形態となりつつあるライブ通販

ここまでの話だけだと、中国におけるライブ販売はKOLによる大規模販売がメインだと感じるかもしれないが、そんなことはない。
トップKOLの販売量は群を抜いており、各企業がトップKOLとのコラボレーションにしのぎを削っているのは事実だが、個人経営のショップオーナー自ら出演し、オフラインのみの時代とは比べ物にならない販売量を実現するといった例も多々ある。
事実、先日私が訪れたスーパーマーケットでは、来店しているお客さんそっちのけで、店員が店内の商品をライブ販売しているコーナーが設けられていた。また、中国人の同僚がよく買っているアパレルショップのライブ販売では、容姿端麗なKOLではなく、一般の店員さんが商品を試着しながら販売しているのだが、圧倒的な価格の安さで、ライブ開始直後に完売する程の人気だそうだ(私もあまりの安さに、ライブではないが1着買ったことがある)。

11月11日の中国最大級のオンラインセールイベントW11(ダブルイレブン)を筆頭に、注目度の高いイベントシーズン等においてはトップKOLへの注目度は圧倒的に高く、引き続き重要であることは間違いないが、KOLに頼らないライブ販売にも大きなポテンシャルがあることは事実と言えそうである。


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    執筆者プロフィール
    玉木健一(たまき けんいち)

    2006年インテージ入社。
    「東京」⇒「大阪」⇒「中国・上海」と少しずつ西へ移動中。
    入社以来、主に消費財を中心にリサーチ業務に従事。

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    編集者プロフィール
    高浜 理沙(たかはま りさ)

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