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<駐在員コラム>【インドネシア】コロナ禍のインドネシア渡航 出国準備~隔離生活~現在までの体験レポート

はじめに

新型コロナウィルスが世界で初めて確認されてから2年が経った。
この2年間、長かったと感じる人もいれば、あっという間と感じる人もいるだろう。私自身、インドネシアの赴任が延期になり、約1年間は日本からのリモート勤務を経験した。赴任直後にワクチン接種のために日本に一時帰国したりと、慌ただしい1年だったように感じる。
10月に入り日本や東南アジアの一部の国において、感染者数が減少しているニュースをよく耳にしていた。各国が国外からの入国条件を緩和する流れに安堵していたが、11月末に世界でオミクロン株が発見され、再び規制が厳しくなりつつある。

今回は10月上旬にワクチンの接種のために、一時帰国していた日本からインドネシア(ジャカルタ)に渡航した際の体験と現在のジャカルタの様子をお伝えしたい。

出国準備

日本からインドネシアに向けて出国するにあたり、必要な条件・書類は以下の通り。(21年11月末時点)
私の場合は、一時滞在許可(ITAS)でインドネシアに入国した。

<必要条件>
・ 一時滞在許可(ITAS)保持者、定性許可(ITAP)保持者
・ 外交滞在許可保持者、公用滞在許可保持者
・ 外交査証、公用査証による訪問
・ 訪問査証
・ 一時滞在査証
・ APECビジネストラベルカードをもつ外国人や伝統的国境通過者

<必要書類>
・ 上記条件を証明できる書類
・ ワクチンの接種証明書(英文記載必須、出国の14日以上前に必要回数摂取されていることが条件)
・ インドネシア入国時72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書
・ 隔離期間を過ごすホテルの予約確認書

必要な条件や書類は随時変更されるので、最新の情報は外務省のホームページで確認していただきたい。
PCR検査の陰性証明書は、海外渡航用に英文の併記された書類が必須となる。PCR検査時の検体採取方法は鼻咽頭からと唾液の2種類がある。インドネシアにおいては指定がないが、国によっては鼻咽頭のみ承認されることもあるので注意が必要。
余談だが、空港のチェックインカウンターに並んでいた際に、PCRの陰性証明書に記載の氏名のスペルが異なり、出国できないという人を見かけた。空港スタッフが発行元に電話をかけ、至急修正した書類を送付してもらうように依頼していたが、無事に出国できたのだろうか。

日本出国

インドネシア入国

着陸後のサインと同時にほぼ全ての乗客が立ち上がるというシーンは、懐かしい風景だ。ウィズコロナでは飛行機が到着すると座席のブロック毎に機体の外にでるように案内される。少しでも早く入国審査を終えたい方には、なるべく前の座席を確保することをお勧めする。

ターミナル内では以下の流れで手続きを行った。
1. 職員による日本でのPCR検査陰性証明書、ワクチン接種証明書、空港で記入する健康診断結果の確認
2. 1回目のPCR検査
3. 入国審査
4. 荷物の受取り
5. 税関チェック
6. 隔離用ホテルのスタッフと合流し、パスポートを預ける
(パスポートは翌日に返却される)
7. ホテル手配の車で隔離用ホテルに移動
特に1~2の待ち時間が長かったように感じる。ターミナル内には等間隔に椅子が配置されていて、職員の指示のもと、ブロックごとに移動しながら手続きを行う。必要な書類は複数回提示を求められるケースがあるので、ファイルに入れて持ち歩くと便利だ。

飛行機到着後~空港を出るまでは約1.5時間だった。5月に入国した際は3時間だったので、以前に比べるとだいぶスムーズだったように感じる。

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税関審査まで終えると、ホテルのスタッフと合流し、車でホテルに向かう

ホテルでの隔離期間

私が入国した時は7日間のホテルでの強制隔離が必要だった。
この期間はホテルの部屋から一歩も外に出ることはできない。日本でのホテル隔離も経験したが、日本のビジネスホテルに比べると、インドネシアのホテルの部屋は広めなので、そこまで苦痛に感じることはなかったが、個人差があるようだ。
滞在中に室内清掃は行われないが、シーツやタオルの交換は可能。また、私が宿泊していたホテルではランドリーサービスが含まれていたので、洗濯の心配もなかった。
6日目に2回目のPCR検査を受け、陰性が確認できれば、7日目にチェックアウトできる。

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食事が隔離中の唯一の楽しみだった。

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スタッフとの接触を避けるため、部屋のドア前に置かれたイスに食事が置かれる

現在のジャカルタ

インドネシアの活動制限レベルは、政府がコロナウィルスの状況を踏まえ、5段階で管理している。つい先日までジャカルタは最もレベルの低いレベル1だったが、ここ数日にレベル1→2に変更となった。
また、政府により年末年始の帰省の禁止や、公務員や民間企業の従業員などによる有給休暇の禁止が発表されたばかりだ。ジャカルタにおいては、ワクチンの接種率が99%に達したというニュースを耳にするが、ここまで厳しく規制を強化しているのは、医療がひっ迫する最悪の状態を何としてでも回避したいという切実な状況が伝わる。

インドネシアでは「PeduliLindungi」というアプリの登録が必須となり、このアプリの中にコロナウイルスのワクチン接種証明や陰性証明書、接触通知などの機能がまとめられている。
ジャカルタにおいては、オフィスビル、ショッピングモール、レストラン、MRTなど、どこに行くにもこのアプリの提示が必要となる。
日本でワクチンを接種した場合は、インドネシア保健省の専用サイトでワクチン記録の登録を申請する必要がある。日本から出張を予定している方は事前に申請をすることをお勧めしたい。申請から承認されるまで、数日かかるケースもあるようだ。

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アプリ上での行動履歴はこのように表示される。どこに行くにも監視されているような気分になることも。

配車アプリ(Grab)の様子

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鉄道(MRT)の様子

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休日の車内はだいぶ空いている。座席は1つ空けて座るようにシールが貼られており、車内の会話は原則禁止。常にセキュリティスタッフが2名体制で車内を巡回しており、友人同士でおしゃべりをしていると、すぐに注意される。

ジャカルタで過ごしていると、どこに行くにも常に政府によって厳重に管理されているという印象を受ける。座席が広くとられたレストランや、人数制限された施設などは快適に感じることもある。おかげで安全に過ごせているわけだが、このウィズコロナはいつまで続くのだろうか。私自身、年末年始の行動規制には落胆を隠せないが、早く穏やかな日常が戻ってきてほしいと思う。


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    執筆者プロフィール
    芝崎 すみれ

    インテージインドネシア シニアリサーチマネージャー
    インテージグループで約8年の国内リサーチ担当後、日本からのアウトバウンドリサーチとしての海外調査や海外現地法人の事業を統括する部門で勤務。これまでに担当した国数は、20カ国以上。2020年に念願の駐在員デビューを果たす予定だったが、コロナウィルスの影響を受けて延期に。約1年間、日本からのリモート駐在員としてインドネシアの調査を担当し、21年5月にようやくインドネシアに着任したばかり。

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    編集者プロフィール
    チュウ フォンタット

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    「出典:Global Market Surfer ●年●月●日公開
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