【中国】地域の高齢者が無料で利用できるジム「楽活空間」/健康づくり&交流の場として人気に
- 公開日:2019/04/08
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住民なら無料で利用可能、高齢者向けフィットネス施設が登場
上海市内の一般的な住宅街は「小区」という単位ごとに分かれている。上海駅などがある閘北(コウホク)区にある小区の入口に建つ「楽活空間」は、小区内に住む高齢者であれば誰でも無料で利用できるフィットネスジム。上海市内の体育大学が設計した高齢者向けのフィットネスマシン(無理なく座って足を動かせるものなど)と、お茶を飲んだりおしゃべりできるカフェスペース、閲覧室などがあり、1日中過ごすことができる。自治体が運営しており、インストラクターでもある受付スタッフが対応してくれる。平日昼間はマシンがほぼ埋まるほどの人気。
世界最高水準の平均寿命を誇る上海、今後も成長が期待される高齢者向けサービス
近年中国政府は国民の健康づくりや高齢者の福利厚生に力を入れていると言われる。地域ごとにカルチャー系ワークショップ、ペットのしつけ教室など定年退職者が気軽に参加できる無料イベントが開催されており、楽しく健康的に老後を過ごせるようなサービスが増加している。「楽活空間」もその一環で、2019年4月現在は試験的に実施されており、今後各住宅地に造られていくとみられる。世界銀行の統計によると、中国の平均寿命は年々増加している傾向にあり、2018年は76.5歳となる。中でも上海の平均寿命は83.63歳(日本は84.1歳)と世界最高水準。
性別平均寿命_16カ国
Reference The World Bank ”Life expectancy at birth, total years) - Europe & Central Asia (IDA & IBRD countries)” Retrieved September 8, 2020, from (https://bit.ly/35Ci7Wb)[https://bit.ly/35Ci7Wb] The World Bank ”Life expectancy at birth, female (years) - Europe & Central Asia (IDA & IBRD countries)” Retrieved September 8, 2020, from (https://bit.ly/2RryWL2)[https://bit.ly/2RryWL2] The World Bank ”Life expectancy at birth, male (years) - Europe & Central Asia (IDA & IBRD countries)” Retrieved September 8, 2020, from (https://bit.ly/2RkGeR3
また、元気な高齢者が多く、健康寿命が長い人も多い。WHOが提唱する「健康寿命」(日常的・継続的な医療・介護に依存せず自立した生活が送れる期間)に着目してみると、中国の平均健康寿命は68.7歳で、アジア諸国の中では日本、韓国、シンガポールに続いて長く、増加傾向である。性別平均健康寿命_15カ国(2015・2016)
Reference World Health Organization ”Healthy life expectancy HALE) Data by country” Retrieved September 11, 2020, from (https://bit.ly/3isLAW1
このような地域の取り組みも後押しとなり、今後中国の健康寿命はますます伸びていくのではないだろうか。-
執筆者プロフィール
TNCアジアトレンドラボ
株式会社TNCが運営する、アジアのトレンドを研究・発信する情報機関。現地の生活者の暮らしや生活習慣に根ざしたトレンドからインサイトを見出し、企業のマーケティング活動の支援を行っています。
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編集者プロフィール
ヤン・イェン
日本在住の中国人リサーチャー、中国をメインに海外消費者生活実態を発信。一人っ子政策の時代に生まれたので、いわゆる「4対2対1」の累積扶養負担が重い世代だといわれる。