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<駐在員コラム>【アメリカ】全米最大規模のLAアニメエキスポ取材で感じた、JAPANコンテンツビジネスの可能性と課題

7月1日~4日、ロサンゼルスにて対面方式としては3年ぶりに、LA Anime Expo 2022が開催されました。
前売り券すべて完売というニュースもあり、会場は全米から集まったジャパンアニメファンで大いに盛り上がる中、アメリカ在住の日本人リサーチャーが現場取材し、今後のアニメコンテンツビジネスの可能性について考察してみました。

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写真:会場外にて筆者撮影

アメリカらしいアニメExpoの楽しみ方

まず会場にいて感じたのは、来場者は10代~20代の若者の比率が圧倒的に多く、かつ各自が思い思いに好みのコスプレをして集っている姿が、とても楽しそうな雰囲気で、会場内が満員の参加者のポジティブな熱気にあふれている点です。
アメリカのアニメExpoは、日本と比較すると、アニメイベント、コスプレイベント、コミックマーケットがすべて1つにまとめて開催されているイメージでしょうか。
日本のメジャーイベントのように、来場者のコスプレ登録制ではないため、参加者はクオリティが高い人からカジュアルなコスプレまでみなさんバラバラで、若者~子供までとにかく楽しんだもの勝ち!という発想がとてもアメリカの若者らしいイベントだな、と思いました。一言でいうと、ハロウィーンのJapanアニメ版のような雰囲気です。
コスプレの持参武器の事前チェックカウンターに長い列ができていたのもとてもアメリカらしかったです。おそらく武器をもったコスプレイヤーは入場に1時間以上かかったのではないでしょうか。

※著作権・肖像権の関係で会場内の写真が掲載できませんが、ご参考に公式サイトよりまとめ映像を掲載いたします。(音声も流れるのでご注意ください)

出典:https://www.facebook.com/animeexpo

なぜ今アメリカで日本アニメが流行しているのか?

この2・3年のアメリカでは、日本アニメの最大のブームが訪れているといってよいと思います。
もちろん今までもドラゴンボールやガンダムのような世界的に有名なアニメコンテンツは、アメリカでもファンが多かったですが、最近のアニメファンの流行はこれまでと大きく異なる点がいくつかあります。
特に影響が大きいのがNetflix, Crunchyrollをはじめとした、サブスクリプションサービスの拡大により、アニメの視聴率が大きくアップしている点です。
もはや「Anime」は日本アニメを指す英単語として定着したといってよいと思います。
COVIDの影響で、アメリカ人がサブスクの番組を見る時間が増え、その中でアニメは典型アメリカ的なコンテンツ以外も視聴したい若者の支持を獲得しています。
さらに今は、アメリカでも、日本で放送しているのと同じアニメが、英語の吹き替えでほぼリアルタイムで楽しめる状態になったことで、アメリカのファンと日本のファンの時差がなくなってきている点もこれまでと違う特徴です。
現在は、アメリカにおける日本アニメの位置付けが、一部のオタクの文化から、より一般的な若者カルチャーへと変化してきている過渡期といえます。

コンテンツビジネスとしてのアニメの可能性と課題

今回のLA Anime Expoは、日本のメジャーからスモールまでの様々なアニメ関連企業が参加しているのに加え、日本文化会館も全面的に協賛しており、もともとは小さなカルフォルニアのアニメファンの集まりから始まったイベントも、もはやLAカルチャーを代表する大イベントの一つに成長してきています。
アメリカに在住するマーケターとしては、日本発のコンテンツがここまでアメリカの若者に支持されている姿をみるのは非常にうれしいのですが、もう一方で、可能性が大きいだけにもったいない、と思う点もあります。

Animeコンテンツのマーケティング方向性は、大きく分けるとアウトバウンドとインバウンドの両面があります。
アウトバウンドでみると、これだけのポテンシャルをもつアニメコンテンツなのに、アメリカマーケットへの発信力が弱いです。
例えば、韓国コンテンツをみると、パラサイトなどの映画、イカゲームなどのドラマ、KPOPなどの音楽コンテンツを、アメリカ人が普段から視聴しているメディア媒体・イベントに対して大量にプロモーションを行い、結果としてそれぞれが相乗効果を発生して、アメリカ全体で韓国コンテンツの認知が上がってきている点に非常に戦略的な意図を感じます。
一方で、日本コンテンツは、アニメや、その他の強みであるゲーム、映画、TV番組などのコンテンツが、それぞれが個別作品ごとににプロモーションしており、大半のアメリカ人に届いてない印象があり、日本コンテンツ全体で戦略的に大規模プロモーションを行っていない物足りなさを感じます。
そのため、今のアメリカでのアニメブームも、Netflixからの広がりが要因として大きく、日本側から仕掛けたアウトバウンド戦略の効果とは言いづらい形になっていると思います。

また、インバウンドについては、これだけ若者層の支持を集めているにもかかわらず、日本側でこのブームを受け入れて、インバウンドコンテンツとして生かす仕組みが確立されていない状況です。
例えば、海外のアニメファンが安心して買い物やコスプレを楽しめる大型イベントや施設などがあれば、それを目的に日本を訪れる人も増えと思いますが、現状のアニメイベントなどは海外からの参加のハードルが高く、アメリカのファンが日本でミートアップしたり・コスプレを気軽に楽しめる場所を探しても場所が限られる状態にあります。
海外の若者にとっては、従来型のオールドスクールな万博やスポーツ大会などより、JAPANアニメ・ゲームのイベントの方が興味・ニーズがあると認識すべきと考えます。

アメリカおよび世界的に日本アニメの流行が起こっている今こそ、官民が一体となって、将来的にアニメ産業を発展させ・日本のコンテンツビジネスの柱とする最大のチャンスです。
我々現地在住のリサーチャーも、現地トレンドの発信や、マーケティング戦略提案などの形で協力できれば、と考えています。


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    執筆者プロフィール
    砂塚 雅司(すなずか まさし)

    アメリカ・ロサンゼルス在住のリサーチャー。次々と新しいモノ・サービス・トレンドが生まれるアメリカのチャレンジ精神と多様性に驚き戸惑いつつも、自分も常に好奇心を持って体験し、日本人の視点からみたアメリカの今のリアルな情報を発信しています。

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    編集者プロフィール
    インテージ

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