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【各国結婚と資産事情】香港編:結婚するときの準備

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生涯の伴侶を得て、新たな門出に臨む。人生で大きな決断と大きな出費が伴う香港の結婚について、香港の風習などを踏まえて紹介する。

結婚に必要な支出について

香港のオンラインメディア「生活易」によると、2021年の結婚に関する支出額は351,823香港ドル(約617万円)で、その内訳は披露宴(144,917香港ドル、約254万円)、結婚用アクセサリー(93,081香港ドル、約163万円)、新婚旅行(41,276香港ドル、約72万円)、記念撮影(19,986香港ドル、約35万円)、結婚式記念撮影(15,548香港ドル、約27万円)、結婚衣装(11,915香港ドル、約21万円)、化粧・その他(25,100香港ドル、約44万円)となっている。香港の結婚はなかなかの支出額になる。

結婚式での撮影とは別に、二人の記念としての撮影も盛んで、ウエディングドレス姿の新婦とタキシード姿の新郎が、街中で撮影をしている光景をよく見かける。

香港には結婚の際に「禮金(ライガム)」という結納金のようなものがあり、一般的には新郎の3か月分の給料を新婦側に支払う。結納返としては、縁起の良い数字"38,888"香港ドルや"18,888"香港ドルを支払うとされ、結納返し金と共に、縁起の良い食べ物や新郎に靴やベルト、金などが贈られる。

新郎に贈る金関連のものは、一般的に指輪やネックレスのほか、ペンダント、延べ棒、コインなどがあり、贈られる量や物は人によって異なる。新婦側は、新郎のために黄金のザクロを買うことがあるが、ザクロは多くの種子を持つ果物のため、子孫繁栄を意味している。金のネックレスには、健康や幸運などの願いの言葉が刻印されている場合がある。

結婚後の資産形成について

大手銀行である恒生(ハンセン)銀行が実施したオンラインアンケート調査によると、香港で子どもを22歳まで育てるために必要な費用は、約600万香港ドル(1億568万円)かかるとされており、16年前の400万ドルから55%増加している。香港の教育費は私学では特に高額になり、毎年授業料が値上がりしている状態で、大学は海外に留学をすることが通例となっていることが関連していると考えられる。

また、60%以上が老後の生活費や医療費を賄える貯蓄を持っておらず、退職後に一般的な生活を送る為には年間27万6,000香港ドル(約486万円)が必要というデータが出ている。

そのため、結婚して子どもを希望する夫婦にとって、資産形成は重要なポイントになっている。男性の場合は、結婚後に新居をローンで購入するか、両親と合わせて大きめの部屋に住み替えるか、親の家で一部屋間借りするかのいずれかを選択することが多い。香港の住宅は、世界的に見ても価格が高く、部屋はとても狭いことが多い。もしまとまったお金がある場合は、頭金で複数の部屋を買い、家賃収入からローンを支払い、ローンが終わったら資産価値のある不動産を複数保有する人もいる。家賃が高いため、家賃を払うくらいなら購入してローンを払い、老後の資産として不動産を持つ決断をする人もいる。

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不動産は香港人にとって投資であり、資産形成の大きな役割を果たしている

(設問文)
Q7以下の各ライフステージに向けて、あなたが持っておきたいものをそれぞれお選びください。
(1)学校を卒業し働き始めた時に持っておきたいもの
(2)結婚した時に持っておきたいもの
(3)第一子を迎える時に特に持っておきたいもの
(4)定年退職・リタイヤした時に持っておきたいもの

出典:インテー ジ自主企画調査(9か国ライフイベントと資産に関する調査) 
URL:https://www.global-market-surfer.com/report/detail/152/
※調査概要は文末に記載しております。

公共交通網が発達しているため、車の需要が比較的少なく、資産価値があると見込んで購入している方は少ない傾向にある。

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車の所有率は34.4%と少ない

資産形成で重要な不動産に関しては駐車場のリースが人気。住宅ほどメンテナンスをする必要がなく価格も住宅に比べてリースナブルなため、管理会社が駐車場の案内を出すと場所によっては直ぐに買い手がつく。女性の社会進出率が高く、高収入の女性が多いため、夫婦共同名義で不動産を購入したり既に自分で不動産を保有していたりする人も多い。

香港は手厚い医療費補助や年金制度(MPF/2000年12月導入)がなく、将来を考えて資産形成について親族や友人も含めて意見交換をしている人が多い。両親へ相談したりサポートを受けたりしながら不動産の購入や金の購入を行っている。その中で一番手堅い資産形成方法は不動産投資となっている。

10年ほど前は、香港の不動産は高くて手が出ないが、日本の不動産なら為替レートさえ良ければ格好の投資対象となっていた。また日本だけではなく、イギリスやカナダの不動産投資も盛んに行われている。近年多くの香港人が海外移住をしており、家賃収入がある人は香港からイギリスに移住しても生活費には困らないことや、子どもの為に海外のビザを取得したいという思いが移住を後押ししていると考えられている。

インテージのネットリサーチによる自主調査データ

調査地域:日本、中国、香港、タイ、インドネシア、ベトナム、インド、アメリカ、スウェーデン
対象者条件:
・男女20歳~49歳、(人口構成比に合わせてウェイトバックあり)
・主要都市在住(以下参照 ) ・SEC 中間層以上
標本抽出方法:オンラインアンケート調査
標本サイズ:n=328(日本)n=407(中国)n=329(香港)n=323(タイ)n=341(ベトナム)n=339(インドネシア)n=344(インド)n=324(アメリカ)n=327(スウェーデン)
調査実施時期: 2022年2月16日~3月16日
詳細はこちらから >>https://www.global-market-surfer.com/report/detail/152/

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  • TNCライフスタイル・リサーチャー

    執筆者プロフィール
    TNCライフスタイル・リサーチャー

    株式会社TNCが運営する、世界70ヵ国100地域600名に住む日本人女性のネットワーク「ライフスタイル・リサーチャー」が、数字では見えてこないトレンドや、生活者の生声を切り出します。その生情報を元に、企業の課題解決のための提案や商品企画を行っています。 https://www.tenace.co.jp/ 担当者プロフィール:香港在住26年。香港の海鮮料理を愛して止まない40代リサーチャー。安くて美味しい海鮮料理を求めて日々精進しています。地味婚希望だった私ですが、気が付けば結婚式を挙げる羽目に。振り返っても両親に晴れ姿を見せられてよかったと思います。香港の方は家族を大切にするので、自然と結婚自体が派手に、大きくなっていくのかなと思います。

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    チュウ フォンタット

    マレーシア人リサーチャーです。15年前から来日し、今も東京を拠点とし、東南アジアをはじめ海外のインサイトについて発信しています。

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    「出典:Global Market Surfer ●年●月●日公開
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