マレーシアはマレー系(マレー人)、中華系(華人)、インド系(インド人)などの民族で構成されており、それぞれ異なる宗教や文化習慣を生活の中に取り入れているため、結婚式や披露宴の形態も全く違うスタイルとなっている。また、マレーシアでは毎年結婚する人数が減少傾向にあり、マレーシア統計局のデータ によると、2019年は203,661人、2020年には184,589人と9.4%減少している。また、女性の結婚適齢期も20~30年前は19-22才とされていたが、2019年は26才で2020年には27才となっている。今回は、全人口の半数以上を占めるマレー系の結婚事情を中心に紹介していく。
結婚式までの準備について
マレーシアでは一般的に本人同士が結婚をしようと決めた際に、両サイドの仲人(交渉人)を含む家族多人数による話合いからスタートする。話し合いは女性側の家で行なわれ、参加人数や婚約式、挙式、披露宴の日程を決める。
その後、本格的に婚約式(トゥナン)を行い、結婚のためのセミナーコース参加やHIV検査、イスラム司祭者の空き状況を含む諸手続きの準備をし、イスラム法下の挙式(アカッドニカー)、披露宴(ベルサンディン)を2回新郎新婦それぞれの家で行うという流れが一般的だ。
婚約に伴う贈り物・結納金などについて
婚約式や結婚式には贈り物を交わす風習があり、男性側は女性側より多く贈るしきたりのため、話合い時に双方で数を決める。結婚式の贈り物の内容は、本人達の選んだ物(時計やスマホ、香水、財布など)の他、慣習に倣い聖コーランや挙式用の衣装布やサンピンという織物布、スイーツやお菓子、果物などとなっている。
そして婚約式の出席人数(おおよそ50~100人) 確認や食事の手配、自宅飾り付けなどもあり、新郎側から新婦側へ贈られる結納金(結婚準備資金)の事についても、この場で仲人と双方の親達によって交渉される。ここでとりわけ興味深いのが、結納金額の相場というものが学歴によって変わる事だ。
一般的に大卒(学士)の場合、RM12,000~15,000 (日本円約36万~45万円)とされる。また、本人同士が納得の上、家族が結納金を援助したり、男性より女性の方がより稼いでいる場合は女性がこっそりと出す場合などもある。
また、イスラムとして宗教的に決められている「マスカウィン」という持参金を男性側から女性側に贈ることになっており、その相場は州によって異なり、結婚証明書にも結納金と持参金の両方の金額が記載される。結納金と同様、州による金額の差異と初婚・再婚の金額の差異があり、クアラルンプールでは初婚がRM80(約2,430円)、再婚がRM40(約1,215円)となっている。
結婚を機に購入するものについて
結婚を機に購入する物に関しては、エンゲージ・マリッジリング、そして装飾をして結婚式で見せ物となる贈り物(ハンタラン)などがある。
エンゲージ・マリッジリングは予算にかける優先順位が低くなっている。
マレーシアでエンゲージ・マリッジリングにかける金額は、RM2,580~41,418(約7万7,000~124万円)とされているが、実際に金やプラチナにこだわらず、RM 1,000(日本円約3万円)以下のファッションリングで済ませる人も多い。
エンゲージリングの贈呈は本人同士ではなく、将来のお姑さんからお嫁さんの指にはめる、という形で授受が行われる。
住宅に関しては、若いカップルが住宅を購入することは経済的に難しく、不動産(自分用又は投資用の家)は本人達が共働きをして、後に買えるようになったら購入するというスタンスが多い。しかし、ここ10年ほどは物価や不動産の値上がりが激しく、しばらく家の購入は諦めどちらかの親と一緒に住む、又はアパートを賃貸するというカップルがほとんどだ。
車に関しては、公共交通機関を使用したくないと考え、仕事に行くために結婚前から車は持っていることが多い。結婚のタイミングで車を購入するということも少なくない。マレーシアでは、ステータスとして日本車を含む外国車の人気は高いが、働き始めて数年しか経っていない若者にとっては高額になるため、現実的には国産のプロトンやペルオドゥアを利用している人が大多数を占める。
マレー系は華人の様にウエディングリングや豪華な披露宴などにこだわりはあまりなく、不動産や金魂、現金、車といった資産に関しても、あまり重視しない傾向があるとされている。







