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【各国結婚と資産事情】ベトナム編:結婚するときの準備

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人口約1億人、平均年齢は31歳と若く、経済成長の発展が目まぐるしいことから世界的にも注目されている国ベトナム。近年では、流行や生活スタイルはここ数年で大きく変化している。今回は現在のベトナムにおいて、結婚する際に必要な準備や結婚時・婚姻中の資産事情について、2018年に結婚し、ベトナム南部都市ホーチミン市に住むティンさん(個人事業主、28歳)の話を交え、紹介する。

結婚する時に準備する資産・結納金について

ベトナムでは、結婚の許可を得る際に新郎、新婦側が準備する資産について決まったものはなく、結納金を新郎側から新婦側へ贈る文化もあるが、家庭によっては結納金がない場合もある。結納金を支払う場合は35,000,000~51,500,000ドン(約20~30万円)が相場になっている。また、日本で結納金を渡す時には結婚式を行う約6か月前に支払う場合が多いが、ベトナムの伝統的な結婚式では演出の一つとして結婚式中に渡すことが一般的となっている。


また、結婚時に準備する資産や結婚について、2018年結婚をしたティンさんによると、「外国人との結婚ではあれば結納金は必須ですが(*)、ベトナム人同士ではあまり結納金を重視していません。家柄によっては土地などの資産を重視することもありますが、それよりは多くのベトナム人は結婚式にかける費用を重視しています。私も夫もホーチミン市では働いているので、実家があるベトナム中部の田舎とホーチミン市とで2回結婚式をあげました。田舎出身で都心に働きに出ている人は多いので、このようなパターンは多いと思います。中部の田舎では実家で、ホーチミン市では友人や仕事関係の人を呼んで結婚式場で行いました。」と語る。

 偽装結婚を防ぐ目的もあり、収入がある証明・経済状況の確認の意味合いがあるとのこと。

新郎・新婦の資産結婚式に呼ぶ人数は一般的に300~500人ほどとなり、加えて結婚式やウェディングフォトなど、家族や自分たちの面目を保たせるためにお金を掛ける傾向にある。最近では、ウェディング関連のサービスの種類やクオリティも上がっており、経済成長とともに益々結婚に関する分野は成長していくことが考えられる。

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結婚への関心度が高いベトナム。

  (設問文) Q5次のライフイベントのうち、あなたが興味を持っているものを全てお選びください。
(1)結婚
(2)子供を持つ
(3)定年退職・リタイヤ
(4)あてはまるものはない

   出典:インテー ジ自主企画調査(9か国ライフイベントと資産に関する調査) 
URL:https://www.global-market-surfer.com/report/detail/152/
※調査概要は文末に記載しております。

結婚後の住宅購入について

ベトナムでは、田舎から都心へ働きに出ている人が多いため、結婚や子どもを持つ、定年退職などの田舎に戻るタイミングで戸建てを購入するケースが多くなっており、実家をそのまま親から譲り受けて同居することも珍しくない。


戸建てやアパートを購入する際に注視する交通面に関しては、電車などの公共交通インフラが充実していないものの、ベトナム人の多くはバイクを保有しているため、住居を都心中心部に構えることへのこだわりは少ない傾向にある。ベトナムでは、車が置ける駐車場が少ないことやGrabなどのライドシェアアプリが利用されていることもあり、自分で車を持つ必要がないと考えているベトナム人が多い。

中心部での住居購入を選ばない理由としては、ベトナム国内で問題視されている大気汚染を懸念している人が多いことが考えられる。医療現場や業務用の空気清浄機を販売しているスイス企業「IQAir」の2022年3月空気汚染の調査結果によると、大気汚染の程度を示す空気質指数(AQI)がベトナム首都ハノイ市で世界3位になっている。そのため、自分で住む場合は結婚や子供、老後に向けて安心して住める環境汚染ができるだけ少ない中心地外を選ぶ傾向にある。

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    ベトナムは住宅を購入する際に「治安の良さ」および「空気の良さ」といった点を重視する

    出典:インテー ジ自主企画調査(9か国ライフイベントと資産に関する調査) 
URL:https://www.global-market-surfer.com/report/detail/152/
※調査概要は文末に記載しております。

その一方で、都心を中心にアパート建設ラッシュが著しい状況となっている。アパートの建設が始まる前に完売していることも珍しくない。ベトナムでは投資用物件・住宅購入が盛んとなっており、現在は都心を中心にアパートや戸建てを購入し、不動産収入を目的とする人が多い傾向にある。

保有する資産(金)について

ベトナムでは旧暦1月10日は「富の神様の日(Ngày Vía Thần Tài)」。この日に金を買うことで、その1年は商売繁盛、お金に困らないと伝えられていることから、旧暦1月10日は多くのベトナム人が宝飾店で金を購入する。主に親や祖父母が購入するケースが多く、まだ5歳にも満たない子どもが金のネックレスなどのアクセサリーを身につけていることは珍しくない。誕生日などの祝い事では子どもから親に渡すケースもある。

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   金の保有率が高いほか、近年は投資用物件の購入が盛んになっている。

   出典:インテー ジ自主企画調査(9か国ライフイベントと資産に関する調査) 
URL:https://www.global-market-surfer.com/report/detail/152/
※調査概要は文末に記載しております。

ティンさんによると、「特に高齢者の方は銀行に預けずに金に変えて家に持っていたいと考える人は多いです。ベトナムは経済成長が上昇傾向ではあるけれど、いつどうなるか分からないので、私も資産として金は親やおばあちゃんから渡された金を大事に持っています。これは文化でもあるので、私に子どもが生まれた時には子どもに金を渡したいと考えています」と語っており、安定的な資産として金を重要視している傾向にある。

インテージのネットリサーチによる自主調査データ

調査地域:日本、中国、香港、タイ、インドネシア、ベトナム、インド、アメリカ、スウェーデン
対象者条件:
・男女20歳~49歳、(人口構成比に合わせてウェイトバックあり)
・主要都市在住(以下参照 ) ・SEC 中間層以上
標本抽出方法:オンラインアンケート調査
標本サイズ:n=328(日本)n=407(中国)n=329(香港)n=323(タイ)n=341(ベトナム)n=339(インドネシア)n=344(インド)n=324(アメリカ)n=327(スウェーデン)
調査実施時期: 2022年2月16日~3月16日
詳細はこちらから >>https://www.global-market-surfer.com/report/detail/152/

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  • TNCライフスタイル・リサーチャー

    執筆者プロフィール
    TNCライフスタイル・リサーチャー

    株式会社TNCが運営する、世界70ヵ国100地域600名に住む日本人女性のネットワーク「ライフスタイル・リサーチャー」が、数字では見えてこないトレンドや、生活者の生声を切り出します。その生情報を元に、企業の課題解決のための提案や商品企画を行っています。 https://www.tenace.co.jp/ 
    担当者プロフィール:ベトナム・ホーチミン市に約12年在住。ベトナムでの生活やトレンドの変化を日々ウォッチしています。10年前に比べると派手婚や高級車など見かける機会も年々増えてきています。まだ他国と比べて調査結果ではお金や資産で突出してはいないものの、今後ますます右肩上がりになるんだろうなぁと思いました。

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    「出典:Global Market Surfer ●年●月●日公開
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