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【中国】上海・ハルピン バーチャルホームツアー、W11最新情報 ~ミレニアル世代の暮らしぶりからインサイトを掴む~ セミナーレポート

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この記事では2021年12月2日にインテージが開催したセミナー内容の一部をお届けします。


中国には、1980年代と1990年に生まれたミレニアル世代が約4億人、1995年以降に生まれたZ世代が約2億人も存在すると言われており、圧倒的なボリュームが故に世界中の企業の注目が集まっています。長期化するコロナ禍で中国へ渡航しにくい中でも、上海に代表される沿岸部に加えて、ハルピンなど地方の大都市に居住する生活者の実態を捉えることが、中国という巨大マーケットでのマーケティング活動においてますます重要になっていることと思われます。


本セミナーは2部構成で行い、第1部では、インテージが保有する消費者データベース「Consumer Life Panorama」を用いて、上海とハルピンに住むミレニアル世代、Z世代の生活者のライフスタイルを、生活リズム/住環境/アプリ/行動観察といった切り口で、中国人リサーチャーがローカルインサイトを豊富に交えながら解説しました。
また、第2部では、購買データを用いながら子育て世帯に突入する中国のミレニアル世代やZ世代の子育て消費を考察しました。

第1部:上海・ハルビンバーチャルツアー

株式会社インテージ コンシューマーインサイトマネージャー ヤン・イェン


「Consumer Life Panorama」には15か国の生活者のプロフィール情報に加え、360度カメラで撮影した実際の住環境の情報がストックされており、まるで実際にホームビジットをするかのように消費者の生活環境や生活シーンなどリアルな生活実態の理解を深めることができます。
その中から3人の生活者に注目し、生活の実態を深堀してみました。

【モデル1:Aさん上海在住29歳女性】

1人目のモデルは上海在住のAさん。高層住宅に住んでおり、3歳の子どもがいる29歳の主婦です。 玄関から入った瞬間に、日本と大きく異なる間取りが目に入ります。日本の住宅はセキュリティ上玄関を開けてもすぐに部屋の様子が見えることは少ないですが、中国の物件は(参照画像※1)のように、玄関のドアを開けたらすぐに住居スペースが広がっていることも少なくありません。

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セミナーでは、(参考画像※2)のように気になる箇所をクリックして採寸するなど、より具体的に空間のイメージをお伝えしつつ、玄関、キッチン、リビング、寝室、浴室、トイレなど細部に渡ってパノラマ写真を用いて解説を行いました。

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また、洗面台に並ぶスキンケア用品については、使用シーン動画「エスノグラフィー」が見られるようになっています。ただ洗面台に陳列されている商品のメーカーを見るだけでは、所有している、ということしかわかりませんが、紫外線対策の有無など、朝と夜では異なるスキンケアプロダクトを使うということは、女性にとってよくあることです。洗顔料は泡タイプのものか、チューブタイプを泡立てて使っているのか。化粧水はコットンを使うのか、素手で塗るのか。保湿クリームの付属のスパチュラを使うのか使わないのか。アイクリームはどの指を使って塗っているのか。そういった消費者の細かなデータを、使用シーンまで追いかけることで正確に把握できます。Aさんは上海で生活していることもあり、メディアや口コミなどから最新の美容情報を取り入れ多くのアイテムを使いこなし、自分に合ったスキンケアをしていることが読み取れました。

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【モデル2: Bさんハルビン在中32歳女性】

Bさんはハルビンという地方都市に住む32歳の女性です。夫と6歳の息子、義理の母の4人で生活しています。上海に住むAさんより世帯収入は下がりますが、家事と仕事をバランスよくこなし、水槽を飾ってインテリアにこだわるなど、余裕を持って生活していることが見て取れます。

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特筆すべきは、中国の北のほうはエアコンが普及している家が少ないということです。寒い地域のため集中暖房時期といい、冬は政府が熱供給をするシステムが採用されています。寒い地域で汗もかきにくいため、入浴も2~3日に1回のケースが一般的だそうです。 また、Bさんの自宅には掃除用具としてモップが装備されています。中国では中華料理で油の使用シーンが多く、大理石調の床も多いためモップで掃除をするのか一般的だそうです。このように文化の違いによるツールの違いなども読み取れます。

【モデル3:Cさん上海在住19歳男性】

最後はZ世代である19歳のCさんです。両親と3人で暮らしています。


「Consumer Life Panorama」の機能の一つである「MY MOBILITY」「MY APP」といった移動手段やアプリの使用履歴を見ることで、Z世代であるCさんの平日と休日のスケジュールから、Z世代の若者がどのような移動手段を使い、どのようなアプリを使っているかなどを解説しました。

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第1部では、Aさん、Bさん、Cさんの異なるライフスタイルについて、バーチャルツアーと称し、パノラマ写真などを用いながら、専門的解説と共にご説明しました。


さまざまな文化の違い、習慣の違いをパノラマ写真から読み取ることができました。同じ「中国」であっても地域や収入や価値観によって、消費されるプロダクトは異なっていました。実際のリアルな消費者の行動を読み取ることが、様々なターゲットに合ったマーケティングや商品開発をする上で重要であり、すべてに共通することだ、ということをお伝えさせていただきました。

第2部:購買データから読み解く、中国の子育て消費とW11最新情報

株式会社インテージ 海外パネルマネージャー 石川 真穂
株式会社インテージ クロスボーダーマーケティング事業開発・推進 桜木 祐之


第2部前半では石川より、購買データを用いながら、子育て世帯に突入する中国のミレニアル世代の子育て消費を考察しました。分析の対象は中国本土の1~5級都市の0~6歳の子どもがいる9,000世帯です。具体的な年代は85年前生(30代後半)、90年生(30歳以下)、95年生(20代前半)となります。


最近の変化は、日用消費財についても「輸入ブランドが優秀でローカルブランドが劣化版」といった簡単な図式ではなくなってきているという点です。ローカルブランドも品質が向上しているため、単純に生産国のみで選択するのではなく、ビューティー製品と同じように消費者が自分に合うものを見る目が養われています。

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また、以下4つのポイントについても解説しました。


①New normalにおける免疫力アップ、健康促進
②プレミアム化を推し進める際の方向性のひとつ”オーガニック”
③今後5年間のボリュームゾーン「4~6歳児」に向けた商品展開
④O2O施策が成長ドライバに


今後の中国のマーケットを調べる上で、まさにキーとなるポイントになります。


続いて第二部後半では、11月11日の中国最大級のEC商戦「W11」最新動向を桜木より以下アジェンダに沿ってご紹介しました。


①全体売上(GMV)は対前年プラス
②カテゴリー別でまだら模様
③面白い商品の売れ筋(子ども市場)


それぞれに関するトピックスは以下の通りです。


①家庭用美容家電のヤーマンの旗艦店の売上が120億円超
②Tモール、タオバオの売れ筋に関しては、3Cデジタル・家電、美容ケア、スポーツアウトドア製品、薬などが好調
③2021年7月からの宿題・民間学習塾禁止の影響も市場に現れている
塾に行かない代わりにスイミングスクールに通う子どもが多くなり、子ども用水着の売上は13倍に

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また、洗濯機の売れ筋を見てもTOP20位のうち7つの商品が商品訴求に対して「赤ちゃん、お母さん」というワードをいれていることがわかりました。第1部のバーチャルツアーでも、子ども用洗濯機がありましたが、まさに市場でもそういった商品の売れ行きが好調です。
過去には偽物のキャラクターが商品パッケージに使われている例も見られましたが、現在はきちんとIPコラボをして正式にドラえもんを起用したベビー用スキンケア用品なども売れ筋となっています。


以上第2部では実際の購買データを用いて、子育て世帯に突入する中国のミレニアル世代の子育て消費を考察、またW11の最新情報をお伝えしました。


本セミナーでは、「Consumer Life Panorama」を使った、中国のローカルインサイトの読み解き事例を紹介しました。巨大マーケットである中国の子育て消費から日本のビジネスチャンスを見出し、消費者理解を深めていただければ幸いです。

Consumer Life Panoramaとは

インテージが提供する、海外消費者の居住空間、デジタルライフ、モビリティライフを始めとする消費者のリアルな生活実態の理解を深めるためのウェブサイト型データベースです。
住環境、一日の生活の流れ、デジタルライフなどが閲覧でき、海外消費者の実際のリアルな行動を読み取ることで、様々なターゲットに合ったマーケティングや商品開発にいかしていただけます。
詳細・デモサイト >> http://consumer-life-panorama.com/demo/


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