【インド】バーチャルホームツアー~ヒンズー教徒の日常とEV利用実態~
この記事では2022年6月23日にインテージが開催したセミナー内容の一部をお届けします。
13億を超す人口を有するインド。規模が大きく注目のマーケットではありますが、その生活者の様子は宗教・地域・価値観などによって多様なため、なかなか実態が捉えづらい国でもあります。
・信仰はどのように生活へ影響しているか?
・地域によって、生活スタイルはどのように違うのか?
・人々は昔からの習慣を守って生活しているのか?
・電子マネーやEVなど新技術が普及していると聞くが、実際はどうなのか?
というように、インドでビジネスをするとなると、様々な疑問が日本人の頭の中に浮かびます。
本セミナーでは、インドの生活者の“実像”について、弊社現地法人の日本人駐在員が、北部デリー在住の30代女性(主婦)と、南部バンガロール在住の30代男性(EV所有者)を例に、インテージがご提供する生活者データベース「Consumer Life Panorama」を用いて、豊富な写真や行動観察動画を交えつつ解説しました。
まずは、インドの基礎知識をご紹介します。
この資料にもある通り、
15マイルごとに方言が変わり
25マイルごとにカレーの味が変わる
100マイル行けば言葉が変わる
というインドのことわざもあるようです。
日本でも北海道と沖縄の方々ライフスタイルはもちろん大きく違うと思いますが、インドにおいて違いを理解することがより重要なのは、圧倒的な人口を意識する必要があるからです。
インドの人口は13億6641万8000人と言われ、日本の人口の1億2686万人と比較すると約10.3倍となります。
ある特定のエリアに絞っても、1つの国と同じような人口が存在するため、それぞれのエリアに大きなビジネスチャンスが潜んでいるといえます。
宗教については、皆さんの認識の通り80%がヒンズー教となっています。
食生活も全土だとベジタリアンが30%の割合でいるため、例えばサブウェイではベジタリアンとノンベジタリアンの入口が分かれている店舗もあります。
それでは早速「Consumer Life Panorama」を用いて、インドの生活を覗いてみましょう。
第1部:インドの生活者の日常生活
①:デリー在住の30代女性
デリー在住の30代女性は、夫と4歳の娘と3人暮らしです。
早速ですが、日本から見て変わったインドのルールを一つご紹介します。
この女性だけでなく、インド人は信仰している宗教によって、「何曜日に〇〇をしない」というルールを定めている方が多いです。
例えば、火曜日、木曜日、土曜日は肉を食べない。洗濯をする日、爪を切る日、髪の毛を洗う日もあらかじめ決めている方もいらっしゃいます。その理由は、ヒンズー教では曜日ごとに複数の神様がいるので、それぞれ信仰している神様の影響を受けてルールを決めていると言われています。
それでは、彼女の一日の流れを見ていきましょう。
起床は朝4時。最初にすることは、水道から水を貯水タンクに貯めることです。
デリーは朝の決まった時間にしか水道が使えないことが多く、自宅の屋上にある貯水タンクに水を貯めることから1日がスタートします。
朝食は、6時にトースト、目玉焼き、チャイをとります。
それから子どもを学校に送り、掃除をし、シャワーを浴びます。
インド人はシャワーを1日1回、朝に浴びる方が多いようです。
続いてランチは、チャパティー(インドのパン)、グリンピースとチーズのカレー、ヨーグルト、キュウリ、マンゴーです。
この日の料理には、お肉やお魚は使われていないので、タンパク質はチーズやヨーグルトといった乳製品や、豆から摂取されます。
また、買い物は夕方に行きます。デリーの夏場は40度を超す猛暑のため、買い物は日が沈んできたころに行くことが多いことも、インド・デリーならではの特徴と言えます。
食品は徒歩圏内に買いに行くことが多いですが、雑貨などはECを利用することが増えてきたそうです。
続いて、この方のご自宅を見ていきましょう。
Consumer Life Panoramaを使うことで、遠方の異国でも、まるでその場に自分がいるような感覚でとてもリアルにバーチャル家庭訪問が可能となります。
まずは玄関。インドの多くのご家庭では、このように靴箱がありません。
そして、インドではベッドルームごとにトイレがあるのが一般的で、「ウォッシュルーム」と呼ばれています。
インテリアは、このようにカラフルな色使いが多いのも特徴の一つです。
北インドはとても乾燥していて、砂埃が多く、2、3日掃除をしないと砂埃だらけになってしまうので、掃き掃除をしてから、拭き掃除をする流れとなっており、モップは欠かせない掃除器具です。
また、Consumer Life Panoramaでは、洗面所にある日用品のプロダクトの詳細を別画面でご確認いただけます。
ご覧のようにインドの洗顔料や歯磨き粉などは、レモングラス、お花、アロエなど、植物のイラストや写真が多く使われています。インドの生活者は、 “ナチュラル”や“オーガニック”などが商品選択の際、重要視されます。これはアーユルヴェーダ(インドの伝統医療)が大きく根付いていることが背景にあると言われています。
続いてシャワールームを見てみましょう。
この写真にあるのは、「ギザ」と呼ばれる湯沸かし器です。
基本インドでは水シャワーを浴びることが多いそうですが、12月~1月は気温が一桁まで下がることもありますので、その際はこの「ギザ」を使って湯を沸かし温水シャワーを使用します。
続いてキッチンを見てみましょう。
インドでは水道水はそのまま飲めませんので、多くのご家庭に浄水器があります。
さて、ここで質問です。冷蔵庫にあるインドのご家庭のマストアイテムはなんだと思いますか?
答えは牛乳です。チャイ、ヨーグルト、ラッシーなど、インドでは1日の消費量が2L以上の家庭も多く、牛乳大国とも言えます。
第2部:インドの生活者のモビリティ実態
続いての舞台は、バンガロールです。
「インドのシリコンバレー」とも呼ばれるバンガロールはIT産業が盛んで、インドの中でも先進的な価値観を持った若者が多いことが特徴です。インド服を着ている人も少なく、Tシャツやジーンズといったカジュアルウェアを着ている人が多いです。
デリーでは40度を超える気温になることもあると第1部ではお伝えしましたが、バンガロールは日本で例えると軽井沢ほどの標高があるため、デリーほど暑くはなりません。最高気温も30度前後のため、比較的過ごしやすいことが特徴です。
それでは、インドのEV市場についてご紹介します。
インドのEV市場は、消費者ニーズの高まりから拡大しています。政府は高い電動化率目標に向けて、積極的に補助金を投じていることもそれを助長しています。
EVが消費者に選ばれる理由は
エコロジー(環境意識)×エコノミー(経済性)×新規性
がポイントとも言えます。
様々なEV2輪が展開されている中、OLA(オラ)が注目を集めています。小売店舗はなく、完全ECでの発売ですが、予約開始24時間で10万台突破しました。ソフトバンクグループが出資していることでも有名です。
それでは実際に、33歳男性既婚者の、OLAオーナーの1日を見ていきましょう。
②:バンガロール在住の20代男性
彼は、ITソフトウェア企業に勤めており、基本は在宅勤務です。
平日はたまにある出勤の際にOLAを使います。自宅と勤務先の往復で、だいたい35kmほど走るそうですが、自宅で充電していけば、特に出先で充電する必要なく使用できます。
休日は奥さんとレストランに行ったり、買い物に行く際に使い、15km前後走ります。
充電の頻度は3~4日に1回で、充電のタイミングは電池残量が15%以下になってから行います。充電が15%→100%になるのは6時間ほどかかるそうです。
このように、彼の生活をConsumer Life Panorama で見ると、OLAが生活にしっかりと根付いていることが読みとれます。
EVを充電する場所は様々ですが、街中にもたくさんの充電スポットがあります。自宅で充電する際も、家からなんとかして延長コードを引っ張って充電スペースを確保しているケースもあります。
さらにインドのEV市場について詳細をご希望の方は、以下報告書もぜひご一読ください。
いかがでしたでしょうか。本セミナーでは、「Consumer Life Panorama」を使った、インドのデリー、バンガロールの生活をご紹介しました。巨大マーケットであるインドのそれぞれの特徴を掴み、ビジネスチャンスを見出し、消費者理解を深めていただければ幸いです。
インテージが提供する、海外消費者の居住空間、デジタルライフ、モビリティライフを始めとする消費者のリアルな生活実態の理解を深めるためのウェブサイト型データベースです。
住環境、一日の生活の流れ、デジタルライフなどが閲覧でき、海外消費者の実際のリアルな行動を読み取ることで、様々なターゲットに合ったマーケティングや商品開発にいかしていただけます。
Consumer Life Panoramaデモサイト:http://consumer-life-panorama.com/demo/
Consumer Life Panoramaの概要はこちら:https://www.global-market-surfer.com/solution/
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- 2022/07/15
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