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<駐在員コラム>【中国】コロナ規制緩和!国内外の往来復活へ

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2019年末に発生した新型コロナウィルスから3年が経過。厳格なコロナ規制を継続してきた中国ではありますが、2022年は大規模ロックダウンから一変して年末には規制緩和となり、生活環境に大きな変化が起きた1年となりました。
本コラムでは、規制緩和直後の春節の状況や海外旅行に対する自主企画調査結果などから、今後の訪日旅行について考察していきたいと思います。

厳格なコロナ規制が終了。中国国内移動が自由に!

2022年3月末から始まった上海全域でのロックダウンは記憶に新しいですが、ロックダウン終了後も、交通機関や商業施設などのあらゆる場所に入るには健康コード(健康码)と呼ばれる自身の陰性を証明するQRコードを提示する必要があり且つその健康コードは各地域別に機能していた為、安易に省を跨ぐような移動は出来ない日々が続いていました。
私自身、折角中国にいるので様々なエリアに行きたい気持ちはあるものの息子の通う幼稚園からの要請もあり、上海市外への旅行は控えている日々でした。
そんな中、遂に12月中旬に上海政府から医療機関などの一部施設を除き健康コードの提示が不要となりました。2023年の春節を前にして省を跨ぐ移動を含め中国国内は何も提示せずに様々な地域へ往来可能となり、週末は蘇州や無錫などの上海近郊へ遊びに行ったり、春節は杭州へ旅行する事が出来ました。・・・が、春節の杭州は何処も観光客で非常に混んでおり、人気の霊隠寺は人が多すぎては入れずでした。

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  春節に旅行に行った杭州の霊隠寺入口

中国の春節とは

日本の正月と言えばカレンダー上(西暦)の1月1日となり、実家に帰省し家族・親戚で集まるイメージがありますが、中国ではカレンダー上(西暦)の1月1日はそこまで重視されておらず旧暦の1月1日(2023年はカレンダー上の1月22日)を春節とした、その前後の長期休暇が最大のイベントとなります。道路や建物内などあらゆる場所でおめでたい色とされる赤い装飾が施され、街全体が春節を盛り上げています。下記写真②の様に、店舗を構える企業は店内装飾も普段と一変させ春節商戦の対応を行っています。

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  写真①:自宅マンション1階エントランス

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  写真②:上海M&M旗艦店の装飾

2023年春節の状況

そんな春節時期は実家への帰省や国内外の旅行など、1年の中で最も中国人が移動する時期となりますが、コロナ規制が緩和された2023年の春節はどの様な状況となったのでしょうか。文化和旅游部の発表によると、2023年の春節休暇時期の国内旅行者数は3.08億人で2019年比で88.6%まで回復しました。

一方で、春節休暇の国内旅行収入は3758億元と2019年同期(5139億元)の73.1%にとどまり、旅行及び旅行中の消費意欲までコロナ前レベルに回復したとは言えない状況となりました。その要因の1つとして挙げられるのは、今回の春節は比較的近場の短距離旅行に人気が集まった点にあります。コロナ規制緩和が直前だった為大掛かりな長距離旅行の計画が立て難かった可能性はあると思われますが、コロナ禍での生活はこれまで以上に日常生活に近いところでの消費の重要性を高め、日常生活外での消費に慎重な姿勢を強めた可能性もあるのではないでしょうか。

アジアへの旅行意欲

それでは、アジアへの旅行意欲はどのようになってるいるでしょうか?我々インテージチャイナで行った自主企画調査(世帯月収8,000元以上の男女4,110s)では、77%の人が今後の計画としてアジア旅行を考えており、距離的な近さと消費支出面でコスパの高いアジアに人気が集中している様子が伺えました。更に約53%の人が今後日本への旅行を計画していると回答。依然としてアジア内でも突出した人気を誇っており、今後のリベンジ訪日は十分期待できる結果となっています。

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弊社自主企画調査の結果からもコロナ反動によるリベンジ訪日は想定できる一方、訪日した中国人消費者の現地での消費意欲を高める事が出来ているかは疑問が残ります。コロナ前の訪日消費は、訪日した知人友人からの口コミやRedbook等のSNSを通じたC to Cのコミュニケーションにより活発に情報交換・発信が行われており、旅行者は訪日前に購入リストを作成し、その商品を目当てに百貨店やドラッグストア等へ足を運んでいました。しかしながらこの3年間は訪日する事が困難であった為、当然ながら訪日旅行者からの最新情報がストップしている状態です。3月に仕事で日本に行ったインテージチャイナの中国人メンバーも久しぶりの日本で購入意欲はあったものの、いざ百貨店などの店内に入っても何を買ったら良いのかが分からずに購入を断念したと言っていました。

コロナを経て日常生活向上へ消費をシフトし、更に中国ブランドが品質・人気共に高まり続けている現在において、リベンジ旅行で訪れた中国人消費者が選びやすく魅力的な情報を、”現地”で丁寧に伝える事が非常に大切になっていると思われます。


  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    玉木健一(たまき けんいち)

    2006年インテージ入社。
    「東京」⇒「大阪」⇒「中国・上海」と少しずつ西へ移動中。
    入社以来、主に消費財を中心にリサーチ業務に従事。

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    編集者プロフィール
    チュウ フォンタット

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