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【各国料理と家事事情】ベトナム編:料理をするときの行動

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第一回:【各国料理と家事事情】カンボジア編:料理をするときの行動

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近年、日本企業の海外展開先や女性に人気の海外旅行先として注目されている国の一つであるベトナム。フォーやバインミーなどのベトナムグルメも日本での認知は定着しつつあるものの、実際に現地のベトナム人はどのような食生活・家事を行っているかなど、意外と知らないことも多いのではないか。今回はベトナム人が家庭で料理して食べる家庭料理を始め、料理をする時に関わる日常、マナーについて紹介していく。

市場とローカルスーパーを使い分け

食材の買い物は、市場とスーパーの2つに大きく分けられ、時間帯や必要な食材によって使い分けられることが多い。
市場では毎日早朝から野菜、肉類、魚介類などが販売されている。移動手段がバイク文化のベトナムではバイクに乗りながら市場で買い物することも珍しくない。

現在も市場を利用する人は多いが、デメリットとして夕方以降には食材が傷んでいたり、古くなっている場合がある。そのため仕事帰りに買い物する場合、特に都市部では女性が働きに出ていることがほとんどなので、時間がない時にはスーパーを利用することが多い。

また子育て中の家庭では、朝の忙しい時間帯は子どもを学校へ送り届けそのまま仕事に向かうことが多いため、朝の時間帯に買い物に行くことが難しい。そこで首都圏内では、多くのローカルスーパーが展開されており、そこで食材を揃えることが多い。個人事業主のリンさんの家庭では週に3回ほどスーパーで夕食の食材を購入し、休日の朝に時間がある場合には市場に出向いて買い物をするということがあるという。

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 ローカルスーパー(左)、市場(右)

ベトナムの食事習慣

ベトナムでは年々学歴を重視する傾向が強まっており、子どものために学費を稼ぐため共働きの家庭が増えている。また2世帯で住んでいる家庭も多く、その場合は時間がある義母が料理を作ることが多い。料理を作るのは1日1~2回ほど。また町中には時間帯問わず複数の屋台が営業しているため、外食で済ますことも珍しくない。会社勤めの場合、昨日の残り物を詰めてお弁当にして食べることもよくある。

米と合う濃い目の味が人気

日本でベトナム料理と言えば、米麺の「フォー」やベトナムサンドイッチ「バインミー」が有名だが、家庭料理では日本と同様に主食は米。よく食卓に出てくるのは、米と合う塩気や濃いめの味付けの料理が人気。ベトナム魚醤のヌックマムで味付けした煮魚「カーコートー」や揚げ春巻き「チャーヨー」は冷凍食品でも多く出回っているため、揚げるだけで簡単にできることから人気がある。また、家庭料理や屋台、レストランを問わず、ベトナム魚醤のヌックマム、大豆醤油のヌックトゥーン、チリソースなどで自分好みに調味料を足してカスタマイズする。野菜のおかずで人気なのは空心菜のニンニク炒め「Rau Muong Xao Toi」で、空心菜を炒めてニンニクとヌックマムで味付けするだけで簡単に作れて栄養価も高く味も美味しいため、ベトナムの家庭料理の定番となっている。

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 川魚の煮つけ(左)、揚げ春巻き(中)、空心菜のニンニク炒め(右)

飾り切りに使われる「なみなみ包丁」

ベトナムでは、家庭で使われる調理器具として野菜や果物を波状に切ることができる「なみなみ包丁」がある。これは市場の雑貨店やスーパーでも販売されており、ローカル食堂だけでなく一般の家庭でも使用されている。この包丁で野菜や果物を波状に切ることで、見た目が美しくなるだけでなく味がしっかりと染み込むと言われている。メインの添え野菜のほか、ベトナム南部発祥の炭火焼した豚肉を味付けして砕き米に乗せた「コムタム」の副菜に使われるピクルスも、よく波状にカットさえている。

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 なみなみ包丁

その他、炒め物をする時に使うアルミ皿も古くからベトナムで使われているベトナムの調理器具の一つ。

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 アルミ皿

食事は家族との大切な時間、気づけば宴会になることも

ベトナムの食卓ではサラダや肉・魚料理、野菜料理、スープ、たっぷりと炊いた白米が大皿で出され、それぞれ自由に取って食べるスタイルが一般的。テーブルには置かず、床にお皿を置いて家族団らんで食事を楽しむことも多い。急に近所の人や知人が気軽に家に来て一緒に食べられるように床に料理を並べて、気が付けば宴会になっていることも珍しくない。スープはスープ椀に入れて食べる家庭もあれば、白米にそのままかけて食べる家庭もある。食事が終わった後は洗剤と水を入れた大きなタライに食器をまとめて入れ、いっきに片づける。家庭によって異なるが比較的に女性が片付けを担当することが多い。洗い流すときは家の外でホースで洗剤や汚れを洗い流す(家庭によっては洗剤を使わずに水だけで食器を洗う)。一般的なベトナムの家庭には給湯器がないため、食器を洗う際にはお湯ではなく水を使用する。

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近年では都市部を中心に少しずつ核家族化は進みつつあるものの、今もなお一般的に2~3世代に渡り家族みんなで食事をとることが多い。都市部では特に両親ともに働きに出ていることがあることから一緒にいる時間が必然と少なくなるため、家族みんな揃って同じ時間を共有する食事の時間はとても大切なもの。多くのベトナム人に該当する文化的特徴である「家族の絆」。共働きが多いベトナムだからこそ、家族や大切な人が集まる食事の時間をとても大事にする。今後も家族との時間を大事にする食事の時間を大切にしていってほしい。


  • TNCライフスタイル・リサーチャー

    執筆者プロフィール
    TNCライフスタイル・リサーチャー

    ベトナム・ホーチミン市に約13年在住、30代。生活や旅行、子育て、美容などベトナムに関するあらゆる情報を発信しています。

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    チュウ フォンタット

    マレーシア人リサーチャーです。15年前から来日し、今も東京を拠点とし、東南アジアをはじめ海外のインサイトについて発信しています。

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