imagesColumn

【中国】母親はいつから職場復帰?中国の子育て事情

中国の子育て事情

子育て事情は国によってさまざま。
中国では、一人っ子政策の時代に生まれた「八〇後」と呼ばれる世代が親になり、「八〇後」世代の夫婦と、その双方の両親の計6人で1人の子を育てるという形が一般的になっている。平日は祖父母が家で子どもの面倒を見たり、幼稚園のお迎えを祖父母が担当したりといったことも珍しくない。ある上海在住共働き世帯の男性を例に見てみると、子どもの幼稚園の送迎は男性の義両親が担当し、男性とその妻は仕事のあと義両親宅に子どもを迎えに行きがてら夕食を食べ、自宅に戻るというのが平日のルーティーンだという。

images

 実際の上海在住男性の一日などは、こちらのリンクからもご覧いただけます。

母親はいつ職場復帰?

そんな中国での子育て事情を、母親の職場復帰という観点を交えながら見ていきたいと思う。


中国は共働き世帯が多く、結婚・出産を経ても働き続ける女性が多い。下記は、各国における15~64歳女性の労働力率である。中国は60.6%で、日本の51.4%と比較して高いことからも、そのことが分かる。


【女性の年齢別労働力率】へのリンク


それでは、出産前後や育児中、中国では女性は休暇をどのように取得しているのだろうか。
日本の制度では、産前産後休暇は産前6週間+産後8週間、育児休暇は子どもの1歳の誕生日まで(2歳まで延長可)というのが一般的である。
一方中国の制度では、産前2週間+産後16週間(※)と産休の期間は日本より長いものの、制度として「育児休暇」は存在せず、職場復帰後は、授乳のため毎日60分の授乳休憩を勤め先から与えられることが定められているのみである。そのため、産後数か月で職場復帰する女性が多い。
※24歳以上での初産の場合。

赤ちゃんへの授乳は誰が行う?

子どもが1歳になる前に母親が職場復帰をすることが一般的な中国では、授乳についても母親だけでなく周囲と分担しながら行っている。
以下は、「完全母乳」で育てられている生後1か月~6か月の赤ちゃんの割合である。


【月齢別乳児の完全母乳率】へのリンク


日本では、完全母乳が生後6か月でもなお5割程度いる一方、中国では生後6か月になると1割以下にまで下がる。中国では生後6か月ごろには多くの母親が職場復帰をしており、粉ミルクなども使いながら母親以外(父親や祖父母、その他のサポートサービス)も授乳を分担して育児をしていることが分かる。


このように、子育て中の働く女性を取り巻く環境は日本と中国では大きく異なる。
子育て関連商品の使い方や購入決定プロセスに違いが出てきそうであるのはもちろん、それ以外の化粧品・娯楽などの商品・サービスに対する彼女たちの価値観も、日本とは大きく違う可能性が高いのではないだろうか。


  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    高浜 理沙(たかはま りさ)

    アジアを中心に、消費財メーカー様の海外マーケティングリサーチに携わり、現在は海外生活者のインサイトを導くためのリサーチソリューション開発などを行う。海外旅行に行って必ず行うのは、ドラッグストアでその国ならではの化粧品を買い込むこと。

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    辰田 悠輔(たつだ ゆうすけ)

    Global Market Surferのサイトづくりを担当。コロナ禍での子育てに奮闘中も子供の運動不足に悩み、先日トランポリンを購入。

転載・引用について
  • 本レポート・コラムの著作権は、株式会社インテージ または執筆者が所属する企業が保有します。下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記ください 。

    「出典: インテージ 調査レポート「(レポートタイトル)」(●年●月●日発行)」
    「出典:Global Market Surfer ●年●月●日公開
  • 禁止事項:
    • 内容の一部または全部の改変
    • 内容の一部または全部の販売・出版
    • 公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
    • 企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的とした転載・引用
  • その他注意点:
    • 本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません
    • この利用ルールは、著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません
  • 転載・引用についてのお問い合わせはこちら