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【インドネシア】大手企業がWhats Appを使ったメーカー直販を開始

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外出自粛要請を背景に、ジャカルタを中心に都市圏ではECの利用が急増している。スーパーマーケットでもオンライン販売を開始しており、もはや「場」を訪れて買う必然性がなくなりつつある。それは同時に「場」に出て売る必然性がなくなることでもある。この変化を受けて、インドネシアでは「メーカー直販」が始まっている。 ユニークなのは、既存のECシステムではなく、オフラインやインスタントメッセンジャーアプリ「WhatsApp(WA)」を活用していることだ。
その背景には、WhatsAppのインドネシアでの普及がある。2020年にインテージがジャカルタの20~49歳を対象に行った自主企画調査では、約94.5%の人がWhatsAppを利用しており、各種SNSアプリの中でも利用率が高い。

各種アプリ 利用率_インドネシア

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Intage Inc. ”7 countries lifestyle data ”(June 2020)
Report from: https://bit.ly/2GCL4XC
Respondent criteria:
• Males and females 20~49 years old living in major cities of each countries
• People with a certain level of purchasing power or above (with footnote conditions set by household income and monthly income

各種アプリ 利用率_インドネシア

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ホームケア商品から食品まで扱う複合企業「WINGS」では、スラバヤ市限定だが、WAデリバリーサービスを開始。カタログを見て、WAで気軽に担当者にコンタクトを取り、店舗へ行かず買い物が完了する。また衛生用品大手の「Enesis」でも、WAオンラインデリバリーを展開している。WAでの売買の場合、リアルタイムでコミュニケションが進むため、支払い方法は銀行振込となることが多い。銀行振込後、振込画面をWAで送付して、支払いとすることが一般的だ。

普段ECを使用しない年代層を取り込むための戦略

ジャカルタをはじめインドネシアのいくつかの都市では、大規模な社会制限が敷かれており、店舗営業や特定業種以外のオフィスワークを禁止している。加えて外出自粛要請やCOVID-19への恐怖もあり、極力外出せずにデリバリーで必要なものを購入する傾向が強まっている。店舗へ行かず買い物が完結するのであれば、店舗に商品を置く必要はないと、一部のメーカーが直販を強めている。 メーカー直販は今までもあったが、特徴的なのは、WAで人対人の「サポート通販」に近い形をとっている点である。インドネシアではECが浸透しているが、まだまだ全年齢層が使っているとは言えない。一方でWAであれば、約9割のスマホユーザーが使っており、ほぼ全年齢層に到達することが可能だ。既存のスーパーのターゲットは全年齢層であり、ECだけでは取れない層を囲い込むため、WAを使ったデリバリー戦略を行なっているようだ。

本記事はTNCライフスタイル・リサーチャー(http://lifestyle.tenace.co.jp/ )とインテージのグローバル・リサーチャーの共同執筆記事です。


  • TNCアジアトレンドラボ

    執筆者プロフィール
    TNCアジアトレンドラボ

    株式会社TNCが運営する、アジアのトレンドを研究・発信する情報機関。現地の生活者の暮らしや生活習慣に根ざしたトレンドからインサイトを見出し、企業のマーケティング活動の支援を行っています。
    http://tnc-trend.jp/

  • Intage Inc

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    ヤン・イェン

    日本在住の中国人リサーチャー、中国をメインに海外消費者生活実態を発信。

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