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中国の新たな購買層 の生活・消費トレンドを先読み!~中国の銀髪族(シルバー市場)はブルーオーシャンになるのか?~(前編)

本記事では、『近年注目を集める中国の銀髪族(シルバー市場)はブルーオーシャンになるのか?』という問いに対し、中国シニア層マーケットの現状、消費者のインサイト、価値観、それが市場にもたらすチャンスといった4つの視点から、前編・後編に分けて回答を探していきたいと思う。

シニア層マーケットの現状

国連では、65歳以上の人口割合が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「超高齢化社会」と定義されている。中国は13.7%と「超高齢化社会」目前で、世界平均(9.8%)を上回っている(下図)。また、中国では出生率の低下と高齢化が同時に進んでいるので、2030年には 高齢者割合が20%を超えると予想されている。

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少子高齢化が加速する中、中国市場における消費構造も変わってきた。国家統計局によると、2013年から2023年までの10年間、若者を中心とした食品、タバコ、アルコール、衣料品の消費が減少した。一方、中高年層は子どもの教育への支出、高齢者は医療・健康維持への支出が増加した。
中国のシニア市場 は過去5年間で急速に成長しており、現在はGDPの6%以上を占めている。2035年までに約30兆元に達すると予想され、ポテンシャルが非常に高い市場と言えるだろう。生活の質を向上させたい、という高齢者のニーズが高まっていることを背景に、国もシニア層の多様なニーズに注目し、ポテンシャル産業として育成すべきだという方針を打ち出した。
※シニア市場:シニア世代に製品やサービスを提供し、また高齢期に備えるための一連の経済活動のこと。具体的には衛生・健康サービス、家事代行サービス、日用品、保険業、金融資産管理、旅行・娯楽、不動産、教育、コンサルティングサービスなどの分野が含まれる。

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シニア層の定義は統計プラットフォームによって異なるが、今回私たちが注目しているシニア層は、 1955 年~74 年生まれ(現在50歳から69歳)で教育レベルが高く、熱心に自分の趣味や志向を持っている新シニア層である。中国では出生数が飛躍的に増加したベビーブームが計3回あり、2回目のピークは 1965 年から1975 年まで続いた。中国最大の出生人口数で、その後の経済に最も大きな影響を与えた。このとき生まれた彼らも50代になり、定年退職を迎えることになる。この年代の人口規模はトータル人口の20%以上を超えている。

シニア層の消費者インサイト

消費者インサイトを得るために、まず新シニア層の属性を理解する必要がある。

◆プロファイル

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新シニア層の学歴は、短大、大学以上が60%と、学歴が高いことが分かった。定年後も、約4割の新シニア層は再雇用されたり、新しい就職先で活躍し続けたりしている。定年前の職種は政府機関、高い専門性やスキルを必要とする仕事が最も多く見られる。定年後の収入は、年金のほかに、投資、家賃などもある。世帯収入が1万元を超える人は85%以上、新シニア層はまさに時間もお金もある世代と言える。

◆オフタイムの過ごし方

日々のオフタイムの過ごし方を見てみると、ウォーキング、ジョギング、太極拳など軽い運動が最も多い。また性別と都市によって、差が見られる。二級都市の新シニア層は動画を見たりテレビを見たりして、どちらかというと家に居る時間が長い傾向があるのに対し、新一級都市のシニア層は友人と会ったり外食したりするのが多く、アウトドア派が多い。また若者の中でよくある「低頭族(頭を下げる族)」、日本語でいう「スマホ依存症」は、新シニア層にも使われるようになり、1日あたりの動画視聴時間は平均1.5時間。釣りや写真撮影をはじめ、時間もお金もかかる趣味はすでに新シニア層の新しいライフスタイルとなり、彼らに大きな充実感と達成感を与えている。そして、「知識の有料化」という考え方は、新シニア層に徐々に受け入れられ、彼らは有料ラーニングサービス市場(※)の新しいターゲットになっている。 SNSについても、情報の共有以外に、オリジナルコンテンツ作成によって、お金を儲けた人も少なくない。
(※有料ラーニングサービス市場:高齢者向けの大学やスクールへ、中国伝統的な絵画、ダンス、フィットネス、ピアノ、料理、陶芸、漢方健康管理の学習など)
普段使用するアプリのタイプと数をみると、新シニア層はすでにオール・デジタル時代に入っていることが分かる。毎日使用しているアプリのトップ4は「微信(WeChat)」、「抖音(中国版TikTok)」、「●●●(今日のニュース)」、「淘宝(タオバオ)」であり、それらによって、SNS、エンターテイメント、ニュース、ショッピングが全て網羅されている。

◆アクティブなシニア

新シニア層は、行動力も非常に高い。過去1年間の平均旅行回数はなんと5.9回。旅行先は、国内の観光スポットや近郊コースが多い。海外旅行の場合、日本、タイ、シンガポールなどのアジア旅行が多い。旅行は単純に自然風景や歴史、文化を体験するのではなく、旅行+健康、養生、趣味などとの組み合わせが本当の旅の意味となっている。季節に関係なく、健康志向の旅行レジャー は新シニア層に人気である。例えば、昆明、成都、アモイ、青島などサマーリゾートへの療養旅行(療養施設や避暑地)、農村宿泊体験、健康養成の旅などだ。また、テーマパーク、ハイキングやキャンプなど若者に人気な遊びも好まれている。そして、新シニア層は旅行へ惜しまずにお金を使う傾向が見られる。新シニア層の半数以上が、年間を通じて旅行に1万元以上を使い、一級都市の新シニア層の20%以上が年間2万元以上を使っている。また、将来の旅行意向を聞くと、95%以上の人が今の費用を維持したい、またはさらに旅行の頻度と費用を増やしたいと回答している。

前編では、中国シニア層マーケットの現状、消費者のインサイト(プロファイル、オフタイムの過ごし方、旅行などのアクティビティに積極的であること)についてご紹介した。
後編では、更に健康や見た目ケア、購買行動に関する消費者インサイトや、彼らの価値観についてもご紹介する。

関連記事:
中国の新たな購買層 の生活・消費トレンドを先読み!~中国の銀髪族(シルバー市場)はブルーオーシャンになるのか?~(後編)


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    インテージチャイナ自主企画調査チーム

    インテージチャイナの若手リサーチャーで構成されているチーム。
    インテージチャイナでは、若手リサーチャーの育成および社外への情報発信として、年に数本、自主企画調査を行っています。今回執筆したコラム記事も、若手リサーチャー達が中心となって、情報収集、そして自主企画調査を行い、まとめ上げた渾身の一作です。

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