アメリカ英語とイギリス英語だけではない英語の世界
- 公開日:2025/01/07
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アメリカ英語とイギリス英語だけではない英語の世界
英語は世界中で話されていますが、その特徴は大きくアメリカ英語とイギリス英語に分けられると言われます。しかし、実際に英語が話されている国々では、どちらが主流なのでしょうか?また、国ごとの英語に対する理解度やイメージにどのような違いがあるのでしょうか?これらの点を探るために調査を行いました。
アメリカ人の「平均的な暮らし」を詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご確認ください。
“平均アメリカ人”はどんな生活?多様化するアメリカ消費者の「平均」を知ろう
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・合理性・効率化を求めるアメリカ
・耐久財に対する価値観
など

英語圏各国の地理と歴史
今回調査対象とした英語圏の国々について、地域と歴史を整理しました。

これを見ると、フィリピンを除くすべての国が元イギリス植民地であることがわかります。大英帝国の影響力の大きさを再確認する結果となりました。特に独立のタイミングや地理的条件を考えると、カナダとフィリピンはアメリカ英語の影響が強い一方、他の国々はイギリス英語の影響が強いと予想されます。
検索データから見るアメリカ英語とイギリス英語の強さ
「エレベーター」がアメリカ英語ではElevator、イギリス英語ではLiftというように同じ意味に異なる単語を使うことが多くあります。どちらの英語が強いかを確認するために、国別に特定の単語がどの程度使用されているかを検索エンジン(Bing)を使って調査しました。具体的には検索ワードを””で囲んで完全一致検索にして、site条件で国の絞り込みをかけました(正確にはドメイン上の国名)。

以下は、例として「ガソリン」「おむつ」「テイクアウト」に関する検索結果です。(アメリカは検索条件の都合上除外)

アメリカ英語が強ければ青、イギリス英語が強ければ赤、大きな差がなければ黄色、と色つけをしています。予想通り、カナダやフィリピンではアメリカ英語が主流である傾向が見られました。一方で、イギリス英語圏と思われたシンガポールやインドでも、表現によってはアメリカ英語が優勢な場面もあり、2種類の英語が混在していることが分かります。
英語の自己認識
ここからは弊社で実施したアンケート調査結果をご紹介したいと思います。下記仕様にてインターネット調査を実施しました。

まずこの調査では「あなたはどのような英語を話していますか?」というダイレクトな質問をしてみたところ興味深い結果が得られました。

検索ヒット数と似たような傾向になるかと想像していたのですが、多くの国で「どちらでもない」が予想以上に多く出てくる結果となりました。中でもオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールは「どちらでもない」が最大派閥となり、自国英語は独自のものとの認識が強いことがわかりました。「どちらでもない」を抜いた数値では、シンガポールとインドがまたもアメリカ英語とイギリス英語が分散する形となり、様々な形で混在している状況と推察することができます。
英語の理解度
では逆に各英語の理解度はどうでしょうか。「あなたにとって●●英語はわかりやすいですか?」と●●に国名を入れて理解度を聞いてみました。アメリカ英語とイギリス英語についての結果がこちらです。

アジア圏が若干低めではあるものの、グローバルで存在感のあるアメリカ英語が高い理解度となりました。イギリス英語が強い国でもアメリカ英語の理解度が高いのは映画やテレビなどでアメリカ英語に触れる機会が多いからと考えらえます。
自国の英語はイギリス英語でもアメリカ英語でもない、という国も多かったので、次はイギリス英語とアメリカ英語以外の理解度についても見ていきたいと思います。上記の結果に5ヶ国の英語理解度を追加した結果がこちらです。

全体的に理解度が低い緑色セルが目立つ結果となりました。オーストラリア英語(OZ English)やニュージーランド英語(Kiwi English)は自国以外の理解度も多少あり、中でもオセアニアのオーストラリア・ニュージーランドは隣国としてお互いの理解度が高い結果となりました。一方で、アジア圏のシンガポール英語(Singlish)やインド英語(Hinglish)、フィリピン英語(Taglish)はお互いの理解度は低く、国ごとに独自性が高い英語が発展しているという見方をすることもできるかと思います。
英語のイメージ
では最後に各英語に対するイメージを見ていきたいと思います。ここではイギリス英語とアメリカ英語、自国の英語の3つについてイメージTOP3項目を見ていきます。

アメリカ英語は「標準的な」「明瞭な」「カジュアルな」がほとんどの国でランクインしました。一方でイギリス英語は「上品な」が最も多く他にも「洗練された」「標準的な」が多くランクインしています、自国の英語に対しては「カジュアルな」「親しみやすい」「楽しい」イメージが強く出ています。ざっくりとまとめると「標準的なアメリカ英語」「上品なイギリス英語」「親しみやすく楽しい自国英語」というポジショニングが見えてきます。
マーケティング上では、固有の言語がある国と比べると英語圏の国は生活者とのコミュニケーションでのローカライズが軽くなることが多いかと思いますが、親しみやすい自国英語などをピンポイントで使うなどするとイメージアップにもつながるかもしれません。是非、各国特有の英語表現を調べてみてください。

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執筆者プロフィール
鈴木 史晴
インテージのグローバルリサーチャー。ニュージーランドでのワーキングホリデーやベネズエラでの青年海外協力隊を経てインテージに入社したのち、15年以上にわたり様々な手法でのグローバル調査を手掛けている。これまでに調査を行った国は30ヶ国以上に上り、自動車、食品、電機、日用雑貨など幅広い業界で豊富な経験を積んできた。現在は育児のため時短勤務中で、海外出張に行けないことが唯一の悩み。
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編集者プロフィール
高浜 理沙
Global Market Suferのサイト作りを担当。