【海外生活者データGlobal Viewer】ASEAN各国におけるEV市場
ASEANにおける新車市場は、2022年にはコロナ禍前の水準に回復し、ASEAN全体で400万台に迫ると予測されおり、世界の中で最も変化と成長が早い市場だ。
インテージが保有する海外生活者データGlobal Viewer(2024年実施)から、国別の今後のEV購入意向を比較した。
アジア各国におけるEVへのニーズは濃淡あり
近年EV市場をけん引している中国のように、EV熱の高い市場もあれば、いまだにEV熱が高まっていない市場もあり、東アジア+ASEAN諸国におけるEVニーズには濃淡が出ているようだ。
図①国別EV意向率(ベース:各国18~64歳男女)
(出典:インテージGlobal Viewer(2024年))
ベトナムにおけるEV
ベトナムのEV意向が高くなっているが、これは自国メーカーであるVinfastの存在が強く影響していることが考えられる。
VinFastとは2017年に、ベトナムの最大財閥ビングループが自動車産業に参入するために、設立された自動車メーカー。当初は内燃機関の開発製造を行っていたが、2022年にはEVの専業メーカーへと舵を切った。同時に、グループの豊富な資金力で欧米の各種メーカーの知見(デザイン、技術力)を取り込んできた。
近年、VinFastは海外展開を加速し、ベトナムの自動車メーカーにとって初の海外輸出として、米国にSUVタイプの電気自動車「VF8」を送った。今後、2025年までに年間50万台を製造する計画を掲げている。
中国市場同様、自国にEV専業メーカーが存在するということはその国のEV市場の拡大に大きく影響するのであろう。
タイ・インドネシアにおけるEV
一方、ASEANにおける自動車のメインマーケットであるタイとインドネシアでは、EV意向はそこまで高くなく、20%程度にとどまっている状況だ。
同2か国においては、ここ数年中国メーカーによる進出が相次ぎ、EV市場を形成してきたが、依然としてハイブリッド車のニーズも強く残っている。
図②次期以降エンジンタイプ(単一回答化)(ベース:各国18~64歳男女)
(出典:インテージGlobal Viewer(2024年))
今後、世界的にEVが一定のシェアを占めていくことが予想される中、日本メーカーにとっての最重要市場(ハイブリッド市場)をいかにして守っていくのか、EV対応に追われるだけでなく、既存のニーズ対応策を考える必要がありそうだ。
Global Viewerとは
インテージがストックする11ヵ国(アジア・US)の生活者の様々な実態・意識に関するアンケートデータを用いて、ご課題に応じたレポートをご提供するサービス。
カバーしている項目は、各種商品・サービスカテゴリー(※)に関する行動実態・意識、価値観・情報接触など400項目に及ぶ。
※カテゴリー例:
食品・飲料、パーソナルケア・化粧品、ハウスホールドケア、育児・介護、モビリティ、家電、スマートホーム、住宅、エンタメコンテンツ(ゲーム・音楽等)、金融、保険、旅行(訪日)、オンラインサービス 等
本記事でご紹介したような国別比較分析のほか、1か国における属性別分析(性年代・収入等)なども可能。
詳細はこちら。
関連記事
【海外生活者データGlobal Viewer】訪日観光客の日本での消費
【海外生活者データGlobal Viewer】ASEAN女性の肌悩みと対処法
-
執筆者プロフィール
高橋 謙一郎
モビリティ業界のグローバルリサーチに数多く従事したのち、2023年より海外事業推進、グローバルリサーチサービスの整備、新ソリューション開発に取り組んでいる。
-
編集者プロフィール
高浜 理沙
Global Market Surferのサイト作りを担当。
主に日系の消費財メーカー企業の海外マーケティング・リサーチ支援に従事したのち、現在は日系企業の海外マーケティング・リサーチのためのソリューション開発や、セミナー等の対外発信を行う。
- 2025/02/12
- 904 Views