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男性が積極的に家事に参加している国はどこ?アジア各国での男女の家事分担とサポート家電の普及

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『男性は外で仕事、女性は家で家事・育児』という考え方は現代の日本では少数派になってきている。全体の約 7割が共働きで、女性が外で仕事をするのが当然になった分、以前は女性が一手に担っていた家事を男性が分担する機会は必然的に増えている。では、海外ではどうだろうか。今回は中華圏から台湾、東南アジアからインドネシア、そして経済先進国であるシンガポールのデータから、各国の家事分担やサポート家電に対する考え方の違いや共通点を考察する。

アジア男性の家事分担

アジア各国の男性はどのような家事を分担しているのだろうか。インテージが保有する海外生活者データGlobal Viewer(2024年実施)より、台湾・シンガポール・インドネシアにおける家庭内の家事の種類別担当者を確認した。

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図① 家事別担当者(複数回答)のうち、男女それぞれ「自分」の回答率(ベース:既婚者)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

台湾とシンガポールでは、調理については女性の割合が高いものの、男性もその半分程度は分担している。また、食器洗いとリビングの掃除は男性の割合が女性の割合にかなり近く、ほぼ性別に関係なく分担していると言っていいだろう。一方インドネシアは男女差が顕著で、「家事は女性の役割」という認識が強そうである。女性の社会進出の度合いや家庭のサイズなどが影響していると考えられる。

家事をサポートする家電の普及と購入意向

家事を男性と分担する以外に、テクノロジーを利用するという選択肢もある。家事をサポートする家電はどの程度普及しているのだろうか?上記の家事に関連する家電の現在保有および今後1年購入検討状況を確認した。

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図② 世帯保有/今後1年購入検討 家電カテゴリー(白物・大型家電)(複数回答)
より抜粋(ベース:既婚者)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

注目したいのは、現保有の割合と比較しての今後1年購入検討割合の高さである。ロボット掃除機に関しては現保有の割合の半分以上、インドネシアでは3倍以上の人が1年以内に購入を検討している。
比較のために、普及がすでに進んでいる家電を確認したところ、例えば炊飯器は調査国トータルで現保有82%に対して購入検討が11%程度、冷蔵庫も現保有89%に対して購入検討16%だった。買い替え需要メインではこの程度の比率になるのだとすると、上記グラフに挙げた家電の購入意向は明らかに高く、これから新規で導入を検討している人が多いことがわかる。数年後には普及率もかなり上がっているかもしれない。

ちなみに、上記3つの家電に共通する特徴は「放っておいても作業が完了する」ことだ。スイッチを入れれば自動的に完了するのでタイパは最高である。購入検討の理由は様々だが、時間と労力の節約は間違いなく含まれるだろう。

テクノロジー・イノベーションに関する考え方

便利な家電に利用されるテクノロジーの研究、特に近年はAIの活用が飛躍的に進んでいる。生活者はそこにどの程度期待を持っているのか、あわせて確認してみた。

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図③ テクノロジー・イノベーションに関する考え方より抜粋、
5段階聴取のTOP2BOXを算出(ベース:既婚者)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)


 

どちらの項目も、TOP2BOXで6割以上、「非常に当てはまる」だけでも2割前後を占め、技術の発展によって自分の生活がより豊かになることへの期待度の高さがうかがえる。テクノロジーにも頼りながら、忙しい毎日を乗り切って生活を進めようとする生活者の息づかいが感じられる。

現代社会においては、性別を問わず多忙な日々を送っている人は多い。やりたいことが増えれば増えるほど、家事をサポートする家電の需要は高まるだろう。今回考察した台湾、シンガポール、インドネシア含め、アジアの国々で今後経済水準が向上することで、家事サポート家電、とりわけAIを搭載したロボット掃除機やハイテク調理家電など、「人間は何もしなくてもいつの間にか家事が完了している」ものがより強く求められるようになるのではないだろうか。

Global Viewerとは

インテージがストックする11カ国(アジア・US)の生活者の様々な実態・意識に関するアンケートデータを用いて、ご課題に応じたレポートをご提供するサービス。
カバーしている項目は、各種商品・サービスカテゴリー(※)に関する行動実態・意識、価値観・情報接触など400項目に及ぶ。

※カテゴリー例:
食品・飲料、パーソナルケア・化粧品、ハウスホールドケア、育児・介護、モビリティ、家電、スマートホーム、住宅、エンタメコンテンツ(ゲーム・音楽等)、金融、保険、旅行(訪日)、オンラインサービス 等

本記事でご紹介したような国別比較分析のほか、1カ国における属性別分析(性年代・収入等)なども可能。

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  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    横山 梨央

    2022年より現職にて、日系企業の海外マーケティング・リサーチを担当。

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    高浜 理沙

    日系のFMCGメーカー(化粧品、ベビー用品、食品・飲料等)のアジア・欧米でのマーケティング・リサーチ支援に従事したのち、2019年より現職にて、日系企業の海外マーケティング・リサーチのためのソリューション開発や、セミナー等の対外発信を行う。
    子どもが生まれてからは、家族と自身の心身の健康をいかに保つかが最大の関心事で、様々なグッズ・サービスを試している。

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    「出典:Global Market Surfer ●年●月●日公開
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