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Last updatedcalendar_month2026/03/04【US】アメリカの子ども部屋から見る子育て価値観

海外の住居空間の使い方を眺めてみると、その国の考え方・価値観を反映していることがよくある。特に「子ども部屋」は、その国の子育てや教育に関する価値観や親子のあり方が表れる空間だ。本記事では、インテージの海外生活者ビジュアルデータベース「Consumer Life Panorama(通称:CLP)」に搭載されている実際の生活者宅の写真を元に、アメリカの子ども部屋から見えてきた、アメリカ流子育てについて解説する。

アメリカ人の「平均的な暮らし」を詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご確認ください。
“平均アメリカ人”はどんな生活?多様化するアメリカ消費者の「平均」を知ろう

・個を重視するアメリカ
・合理性・効率化を求めるアメリカ
・耐久財に対する価値観  
など

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アメリカの子ども部屋の特徴①:幼いころから一人部屋を持つ

皆さんは、いつから自身の子ども部屋があったか覚えているだろうか。 恐らく、日本では赤ちゃんの頃から子ども部屋があったという人は多くなく、幼稚園以降に一人部屋を持つようになった、というケースが大半であろう。 また、日本では「川の字で寝る」という言葉があるように、幼い頃は親と一緒に寝ていた人が多いのではないだろうか。 ここで、下の画像を見て欲しい。 これは、アメリカで1歳未満の子どもを持つ家庭の画像であるが、子ども部屋の中にベビーベットが置かれていることが分かる。

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出典:インテージConsumer Life Panorama
アメリカの世帯の子ども部屋。ベビーベッドが置いてある。

Consumer Life Panoramaとは

世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者の理解に役立つ。

本コラムで引用したようなビジュアルデータを用いて、
・海外生活者の属性別の違いを比較する
・カテゴリーの使用実態をリアルに把握する
・ターゲット生活者のライフスタイル全体を理解する
等、「現地に行かない」ホームビジット調査として活用が可能。

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このように、アメリカでは幼いころから一人部屋を持ち、一人で寝るという環境が整えられているケースが多い。これは「個を尊重し子どもの自立意識を育てる」アメリカの教育方法の表れなのだ。アメリカでは、幼いころから自分一人で寝ることに慣れさせ、自立意識を持たせようとする傾向にある。 この部屋の様子を見ると「赤ちゃんに何かトラブルがあったらどうするのか」と心配になる人もいるであろう。しかし、アメリカでは赤ちゃんの部屋にはベビーモニターを設置している家庭が多く、モニターを通じて子どもの安全を見守りつつ、自立意識を育てるという傾向にあるようだ。

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出典:インテージConsumer Life Panorama
アメリカの世帯の子ども部屋。ベビーベッドの近くに、ベビーモニターが設置してある。

また、子ども部屋がある場所にも特徴があり、両親の部屋のすぐ隣、リビングのすぐ近くといった「大人がすぐに駆け付けられる場所」にあることが多い。 このように、アメリカでは子どもの最低限の安全確保はしつつも、自立意識を育てるため、幼いころから子ども部屋を設けている家庭が多い、という特徴が見られる。

アメリカの子ども部屋の特徴②:子ども部屋に勉強机を置いている家庭が少ない…?

日本では、子ども部屋ある定番の家具としては「勉強机」や「ベット」が挙げられるのではないだろうか。 しかし、アメリカでは、以下写真のように子ども部屋に勉強机を置いていない家庭が一定数存在する。

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出典:インテージConsumer Life Panorama
アメリカの世帯の子ども部屋。ベッドやテレビはあるが、勉強机は置かれていない。

では、彼らはどのような環境で勉強をしているのだろうか。 それぞれの家庭の内部を見ていくと、リビングやキッチンの近くといった子ども部屋以外の場所に勉強道具が広がっている様子が見られた。

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出典:インテージConsumer Life Panorama
アメリカの世帯のリビング・ダイニングテーブル。
机の上に、子どもが遊んだり、ワークをしたりする道具が広がっている。

このように、一部のアメリカの家庭は親の目に入りやすい場所で勉強するスタイルを採用している。 この特徴に関しては、最近の日本の子育て世帯においても同じスタイル(リビングに子どもが勉強できるスペースを設ける)が見られるようだ。(実際、筆者も自身の子ども部屋に勉強机はあったものの、集中力が続かない時は親がいるリビングで勉強することがあった。) 尚、使用している勉強道具に関しては、紙のテキストブックや筆記用具を使用しており、アメリカでは特段タブレットでの勉強が普及している、といったケースは見受けられなかった。 このように、アメリカでは子ども部屋に勉強机を置かず、親の目に着く場所で勉強する、というスタイルを採用している、という特徴がみられた。

アメリカの子ども部屋の特徴③:自分の個性を表現する

皆さんは、自身の子ども部屋に自分の好きなキャラクターや趣味の道具を飾った経験はないだろうか。これは、日本・USともにみられる子供部屋の特徴である。 しかし、日本では壁を含めた部屋全体、というよりは部屋の一部を装飾することが多いのではないだろうか。 ここで、実際にいくつかのUSの子ども部屋を見てみよう。

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出典:インテージConsumer Life Panorama
アメリカの世帯の子ども部屋。ゲーミングPC・チェアなどが置かれている。

この部屋にはゲーミング用PCやゲーミングチェアが置かれていることから、ゲームが好きな子供であると考えられる。 また、机の上にはマイクがあり、本棚にはYouTubeの銀の盾が飾られていることから、ゲーム配信を行っていることも推測される。

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出典:インテージConsumer Life Panorama
アメリカの世帯の子ども部屋。ハリー・ポッター関連のグッズが並ぶ。

この部屋には、ホグワーツエクスプレスの飾り物が置かれていたり、壁全体にハリーの寮(グリフィンドール)の色(赤・金)の飾りが装飾されていたりと、ハリー・ポッターが好きな子どもであると考えられる。

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出典:インテージConsumer Life Panorama
アメリカの世帯の子ども部屋。
壁に貼られたポスター(左)、ポケモンカード(中央)、
スーパーマリオのライト(右)など
グッズが並ぶ。

この部屋も、壁全体に装飾が施されている。 また、部屋にはポケモンカードやNintendo Switchのゲームコントローラー、スーパーマリオブラザーズに登場するハテナブロック型のライトが置かれているなど、日本のIPコンテンツに興味の子どもであることが推測される。 上記の例のように、USではインテリアや壁を含めた部屋全体をその子の好みに合わせて子ども部屋をカスタマイズする様子が見られる。 USでは一軒家に住んでいることが多く、子どもに一人一部屋与えるケースが多い。そのため、部屋全体を個人のパーソナルスペースとして活用し、部屋全体を自分の好きなコンテンツで装飾することが多いのだ。また、これは「自分の好みを大切にし、個性を表現する」ことを幼い頃から実践させるという、アメリカの個人主義らしい子育ての表れといえよう。 このように、USでは一軒家の家庭が多いかつ個人主義という背景により、子どもに一人部屋を与え、その子の好みに合わせたカスタマイズ空間をつくるという特徴が見られた。

終わりに

アメリカの子ども部屋事情はいかがだっただろうか。 日本の子ども部屋との違い・共通点から、アメリカの子育て・教育に関する考え方・価値観が垣間見えたのではないだろうか。 本コラムがアメリカの生活者を理解する一助になれば嬉しい。



  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    野口 真綾

    2023年インテージ入社。サービス業界を中心にDCG領域のマーケティングリサーチに携わる。

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    編集者プロフィール
    高浜 理沙

    日系のFMCGメーカー(化粧品、ベビー用品、食品・飲料等)のアジア・欧米でのマーケティング・リサーチ支援に従事したのち、2019年より現職にて、日系企業の海外マーケティング・リサーチのためのソリューション開発や、セミナー等の対外発信を行う。
    子どもが生まれてからは、家族と自身の心身の健康をいかに保つかが最大の関心事で、様々なグッズ・サービスを試している。