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<駐在員コラム>【ベトナム】ベトナム市場の可能性は?韓国企業が持つ存在力

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1:ホーチミンで韓国を感じる

2019年5月17日午後2時。
ホーチミン空港に到着したときの光景が今でも鮮明に残っている。

入国審査を待っている外国人のうち半分が私のような韓国人であった。
ホーチミンとソウル仁川国際空港間の国際線は週に96便と、ホーチミンと成田・羽田間の2倍以上だという記事の内容が肌で実感できた瞬間でもあった。

あれから2ヶ月が過ぎた今。
私はホーチミン1区にある韓国食堂で故郷の味を堪能している。
ここでは、今自分がいるのがベトナムと感じられないほど、聞こえてくる言語は韓国語だけである。

韓国の財閥企業CJグループの代表的な韓国式のベーカリーチェーン店であるトゥレジュールや、パリバケットも街並みに溶け込んでいる。ホーチミンのコリアンタウンと呼ばれる7区では、もっと顕著である。韓国レストランはもちろん、おなじみのロッテマートでは、本国と同じようにおしゃべりしながら買い物するお母さん達であふれている。

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2:韓国企業のベトナム進出の歴史

ホーチミンで、本国と同じ韓国料理を食することは造作もないことだ。
それもそのはず、2019年5月現在、ここベトナムには暮らす韓国人は16万人に達する。
ベトナムに進出している韓国企業の数は、現在8,000社。
最近は年1,000以上の新たな法人が生まれている。

アジアの中で最も大きい市場と呼ばれるインドネシアと比較しても、ベトナムへの進出企業数は3倍以上、毎年設立される法人数は10倍以上多い。

韓国企業の進出の歴史について振り返ってみよう。

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1992年のベトナムとの国交正常化を契機に、韓国企業の進出は本格化した。
大企業が中心で、家電、鉄鋼などの重工業分野がメインであった。

そんな中、2001年に米国とベトナムの間で貿易協定が発効し、開始された。
ベトナムの安価な人件費を活用した繊維、縫製衣服、靴などの労働集約的産業を中心に製造業の投資が急速に増加した。

また、2007年のベトナムのWTO加盟などを契機に、韓国企業の進出はさらに加速。
2013年以降、サムスンを筆頭とした部品素材産業に投資領域が拡大され、投資分野が高度化・多元化するなど、投資の質が変化した。

現在の業種別の投資現況を見ると、
製造業が圧倒的であるが、その次に不動産業、建設業が占めている。

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この理由としては、2015年7月以降、外国人や外国機関がベトナムで住宅を所有・相続することができるようになったことをきっかけに、韓国の大手不動産会社や投資会社を中心に投資ブームが起きたことがある。

さらに、2017年3月に韓国の政権が変わり、国内不動産保有や相続に関する税金が前の政権の時より約2倍近くに上がったことで、ベトナム、特にハノイとホーチミンの不動産投資が一気に加速した。韓国一番大手旅行会社のHANATOURから、「ハノイ・ホーチミン不動産ツアー」もでき、その不動産ブームは、まだ続いている。

3:ベトナムの韓国人向け雑誌から見える韓国企業の存在力

業種別の投資状況は、ベトナムの韓国人向け雑誌に掲載された企業の広告でもよく表れている。

ホーチミン在住の韓国人と駐在員における認知率と購読率が高い「シンチャオ(5月号)」と「グッドモーニング(5月号)」に掲載された企業の広告は下記のような特徴があった。

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まず、求人、求職広告、レストランの広告を除いた企業の広告の割合でみると、
「中小企業の製造業」が最も多い。次いで、「中小企業の不動産/建設業」と続いて、
先の韓国企業のベトナム投資業種上位8位の結果と同じだった。

一方、雑誌の一面、二面に載っている広告は、サムスンTV、冷蔵庫、新興金融サービスなどの大手の広告が全面を占めていた。特にサムスンの広告は、ベトナム内の韓国人向け雑誌だけでなく、ベトナム航空の機内誌でも一面全面を占めていた。

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やはり、ベトナムで最大の外国人投資家であり、16万人の労働者を雇用し、昨年2018年にはベトナムから600億ドルの商品を輸出し、ベトナム全体の輸出額の4分の1を占めたサムスンの威容を感じることができる部分だった。

4:急成長しているベトナム映画産業の裏には、韓国企業がいる

韓国企業の存在力は、サムソン、LGなど製造業だけに留まらない。
ベトナムに吹く韓流旋風もあなどれない。

6月21日に公開された韓国映画“パラサイト”は、公開4日目にして、
トイストーリー4を抜き、1週間目にしてベトナムボックスオフィスのランキング一位になった。
2週間で売上高195万ドルを突破し、ベトナム公開された韓国映画の興行実績1位になった。

この韓国映画に対するベトナムの異例とも思える歓迎と、メディアの熱い関心の裏には、2011年7月、ベトナム現地で1位のメルティフレックスのメガスターを買収し、映画の市場の下地を育てたサムスン系列の韓国大手CJエンターテイメントがいる。特に今回の韓国映画“パラサイト”の成功は、ベトナムのローカルコンテンツに近いストーリーだけではなく、映画産業自体を大きくすることに力を入れたCJエンターテイメントの努力が隠れている。

CJエンターテイメントは、2011年進出以降、ベトナムの映画会社とタッグをくみ、ローカルコンテンツを強化する戦略を着実に実践した。ハリウッド映画一色だった市場で、映画コンテンツの多様化を標榜し、ベトナムの現地商業、芸術映画の配給と上映を拡大するなど、ローカル映画を集中的に編成したのだ。

さらに、映画の企画段階から制作、マーケティング、上映にわたって製作会社と緊密にコラボレーションし、フィードバックシステムを構築して、ローカル映画の完成度を引き上げた。

その結果、ローカル映画を観覧する地元の観客が大幅に増えた。進出当時の2011年は、ローカル映画上映は11作品に過ぎなかったが、わずか7年後の2018年には4倍の40作品にまで増加している。

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5:日本企業にとって、ベトナム市場の可能性と機会

「韓国ーベトナム」間の航空便の本数から、ベトナムへと投資額、食文化や映画といった文化コンテンツまで、ベトナム市場で圧倒的な存在感を誇る韓国企業に対し、日本企業のビジネスチャンスはどこにあるのか。

韓国企業は、これからベトナム市場で確実に成長していくためにはこれまでのスピード感だけの戦略から脱却していく可能性が高い。それを裏付けるようにシンシャオベトナムの編集長の話によると、今までどんぶり勘定での経営に限界を感じてきている韓国企業が多く、マーケティングデータ、統計的な情報を求められることが多くなったという。ファクトに基づく計画や長期的な戦略を必要としているのである。先行指標として韓国企業の成功と失敗を検証しつつ、低リスクでの進出や現地マネジメントを再検討することが可能だと思われる。また、先に進出している韓国企業のベトナム市場でのインターナルマネジメントを分析することは重要だと考える。

商品・サービスを提供するベトナム人に対しては、「コト消費」のブームにのっかるべきだと思われる。特に健康分野はこれから、発展の余地が大いに残されている。具体的には、大気汚染に対応する空気清浄機能、食に対する安全、子供達への教育、健康的に長生きするためのサプリやフィットネス産業、不景気に備えた保険産業などである。特に、富裕層は、「子供に対する安全・安心」を最重要に考えている層であり、日本の一般的な「安全・安心」のイメージとマッチする部分が多い。加えて、ベトナム人の日本旅行ブームの中で、日本でブランディングを上手く活用し、今後に向けてベトナム市場での商品・サービス展開が望まれる。


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    執筆者プロフィール
    柳 甫佶 (りゅう ぽぎる)

    ベトナム在住の韓国出身の男性リサーチャー。
    持ち前のバイタリティーで営業からリサーチまで行う。
    消費者インサイトの分析を得意とし、日本、韓国、ベトナムだけでなく、ヨーロッパ、アメリカ、中東の案件まで幅広くこなす。

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    編集者プロフィール
    インテージ

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