【中国:地球の暮らし方】中国家庭のリビング使用実態は玄関と冷蔵庫からわかる!
- 公開日:2020/11/16
- 更新日:2025/09/05
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目立たない玄関
リビング・ダイニングをご紹介する前に、まず入り口である玄関から話をしよう。なぜリビングの話をする前にまず玄関を話さないといけないかという疑問があるかもしれないが、実は日本と中国のお部屋のレイアウトの違いは入り口からすでに鮮明に出ているからだ。 下図はマンションタイプの一般的な日本と中国上海の家庭のレイアウト図。日本では、玄関から通路を経てリビング・ダイニングへたどり着くのが一般的だが、中国の場合、特に少し前に建築された物件だと、右のように玄関はリビングと直結している。玄関とリビング・ダイニングの間、通路やドアを挟むことで、プライバシーがうまく保護されるというメリットがあるが、中国の場合、当時はまだそれほどプライバシーを重視していないのだろう。日本(左)と中国(右)マンションの典型的なレイアウト
(出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
Consumer Life Panoramaとは
世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者理解に役立つ。
本コラムで引用したようなビジュアルデータを用いて、
・海外生活者の属性別の違いを比較する
・カテゴリーの使用実態をリアルに把握する
・ターゲット生活者のライフスタイル全体を理解する
等、「現地に行かない」ホームビジット調査として活用が可能。
日本家庭の玄関(左)と中国家庭の玄関(右)
(出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
冷蔵庫の配置から見る生活者のライフスタイル
キッチンについての紹介の際には、中国の家庭はキッチンの広さを犠牲にするまで独立キッチンにこだわることについて説明した。その挙句、キッチンから追い出されるのがほとんど冷蔵庫だ。ところが、これはあくまでも冷蔵庫をリビング・ダイニングに置く一因だ。時々、キッチンにスペースがあっても、リビング・ダイニングに置くこともある。そこにはライフスタイルの違いによる冷蔵庫の用途の違いがあるのだ。 一般的には、冷蔵庫の配置の際にこのような要素が考慮される:「①どこにスペースがあるか」「②誰が使うか」「③何のために使うか」。これらを考慮したうえで、以下のように分類できる。1. 自炊の頻度が高く、主婦(主夫)が主に冷蔵庫を使う家庭:
このような家庭では、冷蔵庫をキッチンに置けるならキッチンに置くことが多い。このような家庭の冷蔵庫には、食材と調味料が主役で圧倒的な存在。ただし、スペースがない家庭では、仕方がなく、リビングに置く。そうすると、大体料理の動線が悪くなってしまう。2. 自炊頻度が高くなく、家族全員が使う家庭:
このような家庭では自炊もするが、家族全員それぞれの使用目的を合わせるために、一番動線が集中するリビングの近くに冷蔵庫が置かれる。中でも家族が最も集まるソファの近くやダイニングテーブルの近くに冷蔵庫を置くことが多い。リビング・ダイニングに置かれる冷蔵庫
(出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
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執筆者プロフィール
ヤン イェン
日本在住の中国人リサーチャー、中国をメインに海外消費者生活実態を発信。実家は冷蔵庫キッチン派で、ほとんどの場合母が一人占めしている。
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編集者プロフィール
辰田 悠輔(たつだ ゆうすけ)
Global Market Surferのサイトづくりを担当。最近はダイニングにモニターを置いて在宅勤務に励む。