【インド】インドで「TikTok」をはじめとする中国発アプリが使用・ダウンロード禁止へ
TikTokの使用禁止に動揺する若者たち
2020年6月29日に、インド政府が中国発のモバイルアプリ59個の使用とダウンロードを禁止した。なかにはメッセージアプリ「We Chat」や、格安ファッション通販「SHEIN」、そしてダンスを愛するインド人に大人気の「TikTok」が含まれていた。この政府の決定はアメリカにも影響を与えており、インドが禁止して以降、トランプ大統領も中国発アプリの禁止に乗り出そうとしている。インド国内でアプリの禁止に対しては、政治的要素もあり、あまりネガティブな印象はないものの、ダンスを披露する場であったTikTokが消えてしまったことに、動揺している若者も多くみられる。まだTikTokに代わるほどの画期的なアプリは登場していないが、この騒動後の8月5日に「Instagram」が開始した、「Reels」(※15秒の動画を投稿できるTikTokのような機能)で、ダンス動画を投稿するようになってきている。
インドと中国の国境付近で軍の衝突が出たことがきっかけ
インドでは3月22日から始まったCOVID-19に対するロックダウンを、6月末まで4回に渡って延長した。そんななか行われた中国アプリの禁止令は、ステイホームで外出するなど普段通りの生活ができないことも相まって、TikTokユーザーを中心にショックが拡がった。
禁止の表向きの理由は、情報保護など国家の安全のためといわれているが、禁止が発表される9日前にインドと中国の国境付近で軍の衝突が起き、インド側に死者が出たことが理由とされている。
アプリの禁止だけでなく、中国製品の不買運動も一部で起きている。禁止になって最も動揺があったアプリはTikTokで、インドの日刊紙「The Economic Times」の2020年7月9日の記事によると、インドにおけるユーザー数は2億人を占めており、実に国民の6人に1人が利用していたことになる。TikTokは、ボリウッド産業に見られるように、ダンスが大好きなインドの国民性にぴったりであり、自身の才能を世界に向けて簡単に発信できるツールとして、自己顕示欲の強いインドの若者に愛されていた。
本記事はTNCライフスタイル・リサーチャー(http://lifestyle.tenace.co.jp/ )とインテージのグローバル・リサーチャーの共同執筆記事です。
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執筆者プロフィール
TNCアジアトレンドラボ
株式会社TNCが運営する、アジアのトレンドを研究・発信する情報機関。現地の生活者の暮らしや生活習慣に根ざしたトレンドからインサイトを見出し、企業のマーケティング活動の支援を行っています。
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インテージ
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- 2020/10/13
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