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【タイ】タイで注目されるアグリテック×フードデリバリー「FARM TO」

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小規模農家を支援するオンラインファーマーズマーケット

タイでは近年アグリテックが投資家を中心に注目を集めている。2020年には、農家向けの営農支援プラットフォーム「Ricult」や生鮮食品EC「Freshket」の大型資金調達が話題となった。フードデリバリーの需要拡大が、アグリテックへの追い風となっているといわれている。
アグリテック×フードデリバリーとして現在人気なのが、約2万人のFacebookフォロワーをもつ「FARM TO」だ。2016年からスタートした小規模農家の作るオーガニック野菜や果物の先行予約プラットフォームだが、コロナ禍でレストランなど販売先が減り、困っている小規模農家と、農家を応援したい消費者をマッチングさせるオンライン上のファーマーズマーケットとして、注目されるようになった。
販売を希望する農家は、スマートフォンでアカウントを開設し、作物の植え付けの段階から注文を受け付けることができる。スペシャルティコーヒーの品評会で入賞実績のあるオーガニック農園のコーヒー豆や、国内外の料理人から高く評価されているタイ名産の有機グリーンペッパーなど、他では買えないタイ各地のこだわりの逸品が揃う。
専用アプリから希望の作物をカートに入れて注文すると、「共同オーナー」となった農場の地図が表示される。農家から送られてくる写真や動画で、作物の成長を楽しむことができるが、実際に畑を訪ねて、収穫をするなどアグリツーリズムの体験も可能だ。万が一、天候不良や災害などのアクシデントで予定の収穫が見込めなかった場合は、ユーザーへの返金保証がある。

国土の約46%が農地で、食料自給率は150%を超える農業大国のタイ。健康志向の高まりによって、一般消費者の野菜の品質に対する意識が高まっている。また、フードデリバリーアプリの人気拡大もあり、ビジネスとしてアグリテックに対する関心も高まっていた。
小売大手のロータスやBigCが展開するスーパーマーケットでは、野菜にQRコードのシールが貼られ、消費者が生産・流通の情報を検索できるトレーサビリティシステムが運用されるなど、サプライチェーンの透明化が進められている。また、オーガニックの自社農園で生産された野菜を売りとするプラントベースの飲食店も、首都バンコクを中心に増加傾向にある。

本記事はTNCライフスタイル・リサーチャー(http://lifestyle.tenace.co.jp/ )とインテージのグローバル・リサーチャーの共同執筆記事です。


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