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<駐在員コラム>【ベトナム】(和食を自炊)ブームなるか?新型コロナが食のエンタメ化促進

エンゲル係数高くても外食を楽しむベトナム人

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外食を楽しむベトナム人
出典:筆者撮影

新型コロナの感染拡大による食のエンタメ化現象は、ベトナム進出を検討中の日系企業にとって追い風だ。

 ベトナム統計総局のデータによると、家計の消費支出に占める食費の割合を表すエンゲル係数(※1)は、2016年の51%から2020年は47.4%と縮小傾向にある。ただ、日本の家計調査では2020年で27.5%なので、まだまだベトナムのエンゲル係数は高いことがわかる。

 一方、ベトナムの家計全体のうち外食費が占める割合は、最新データの2018年で12.0%となっており、特に都市部では14.3%と高く、日本の同年データ16.6%とほぼ変わらない。つまり、ベトナム都市部在住者は、家計にさほど余裕がなくても外食していることが読み取れる。実際、ベトナムでは共働き夫婦が大半を占めており、子供を学校に送りがてら朝食を屋台もしくはテイクアウトで済ませることが多い。また、週末は家族や友人とカフェやレストランで食事を楽しんでいる。

※1 ベトナム統計総局データで「食費」という場合、食糧/食品のほか燃料、酒、たばこも含まれる。当記事では、便宜的にエンゲル係数とした。

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ロックダウンによるテイクアウト・外食不可から自炊への切り替え

しかし、新型コロナ感染拡大によるロックダウンで外出が厳しく制限され、全ての飲食店が営業停止となり、飲食店のデリバリーサービスも停止になったことで、人々は半ば強制的に自炊せざるを得なくなった。自炊機会の増加は、人々の食と健康に対する意識を高めるきっかけとなり、家にある食材でヘルシーな料理や創作料理、普段家で作らない料理などを作ってSNSに投稿するのが一時流行した。 

 弊社調査によると、普段なら外食する麺料理や屋台で売られているオヤツのほか、海苔巻き、洋菓子やパンなどベトナム料理以外のメニューにも挑戦している。他にも、調理済み食品のデリバリーが禁止されていることを受けて、冷凍パン、冷凍ピザ、タピオカを別包装で付けたミルクティーなど、仕上げは自宅で行う半調理品のデリバリーも多くみられた。

 ベトナム人の健康志向の高まりは、朝食の摂取回数の増加からも把握できる。ハーバライフ・ニュートリションの2021年アジア太平洋朝食習慣調査によると、新型コロナウイルス感染拡大後は、ベトナム消費者の43%が「朝食をとる回数が増えた」と回答。また、57%が「以前より健康的な朝食をとるようになった」と答えており、「朝食に野菜や果物を多く食べている」「栄養のバランスに気をつけている」などの具体例が挙がった。(※2)
 新型コロナ感染拡大がもたらしたベトナム人の食に関する変化とは、「手軽に外食を楽しんでいた」人々が「健康に気を配ったヘルシーな自炊」にシフトした点であり、ロックダウン解除後も一定数は自炊を継続していくと思われる。

※2 Herbalife Nutrition「Asia Pacific Breakfast Habits Survey 2021」はアジア太平洋11か国18歳以上5500人を対象に実施された調査。対象者の50%がZ世代(18~24歳)、残り50%はミレニアム世代(25-40歳)。

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「作ってシェアして反応を楽しむ」食のエンタメ化

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ベトナム人のライフスタイルに浸透する商品販促動画を制作する「WANNA」

日本食は、ヘルシー・安全・おいしい外国料理として評価が高い一方、「日本食材や調味料の使い方がわからない」といった課題も抱えている。そんな中、2020年10月にホーチミン市で1号店をオープンしたマツモトキヨシは、ホーチミン店売上げ上位の青汁をベトナム人のライフスタイルに浸透させようと積極的だ。実際に、青汁ゼリーのレシピ動画を制作し、店舗商品棚で放映しているほか、自社SNSページにも動画を掲載すると、どこで買えるのか、ニキビに効果があるのか、抹茶と同じ味かなどのコメントがあり、健康志向の高いベトナム人の関心の高さが伺える。

 新型コロナウイルスで、ベトナム人の食と健康に対する意識に変化が見られている今、「自社の日本商品をベトナム人のライフスタイルに浸透させたい」企業は、SNS上でレシピ動画などを利用して商品の調理方法を紹介したり、日本食とベトナム食を融合した新しい料理を提案したりして、料理や自炊の「エンタメ化」を試みてはどうか。需要開拓につながるかもしれない。

 Intageベトナムでは、ベトナムのレシピ動画配信会社WANNA(ワナ)と組み、商品紹介の動画を作成・配信している。現在は食料品がメインだが、今後はコスメ、ケアグッズなど商品を拡大する予定だ。レシピ動画撮影、SNS配信、リサーチ計測、商品販売ページへの誘導と、市場調査から販売まで一貫して支援する。制作した動画は、ホーチミン/ハノイの都市部に住む20~30代女性を中心に100万人が利用するWANNAアプリ「TasteShare」で配信されるほか、企業のオウンドメディアやベトナム国内店舗のデジタルサイネージで放映できる。ベトナム未進出の企業でも、WANNAアプリで配信し、現地で販売につながる認知拡大が可能である。

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  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    牧野 友紀(まきの ゆき)

    INTAGE VIETNAMにおいて、カスタマーサポート担当。現在はリサーチャーアシスタントとして、現地在住8年の視点から現地の生情報やデータ収集サポートを行う。様々なデータを用いた分析結果と改善策を各業界のクライアントに提供している

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    チュウ フォンタット

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