【タイ】タイで広がる医療現場支援につながるサーキュラーデザイントレンド
透析バッグのアップサイクル製品やペットボトルで作る防護服
タイでは2020年から脱プラスチックの動きが加速しており、「BANGKOK DESIGN WEEK」「BANGKOK ART BIENNALE」といったアートイベント、デザイン賞の「DEmark AWARD」などで、資源が循環するための仕掛けをあらかじめ製品に組み込む「サーキュラーデザイン」が取り上げられるようになってきている。そんな中、COVID-19パンデミックで苦しむ医療現場の課題解決に、サーキュラーデザインを取り入れる事例が注目を集めている。
医療現場×サーキュラーデザインの先行事例として有名なのが、2010年に始まったカセサート大学建築学部の材料科学研究センター「ScrapLab」の取組みだ。病院で大量に廃棄されていた透析バッグを無料で回収し、素材の耐熱・耐水性やグラフィックを再利用したバッグ(1,000THB前後/約3,300円前後)や、ペンケース・ポーチ(300THB前後/約1,000円前後)を販売している。原材料である透析バッグの洗浄、縫製などは、地域の低所得者層コミュニティに委託し、素材を買い取るというサーキュラーエコノミーも行っており、タイにおけるサーキュラーデザイン・エコノミーの先駆者的存在として、COVID-19以降に注目度を上げている。
ScrapLab以外のサーキュラーデザインで注目をされているのが、大手百貨店やスーパーと共同でプラゴミ回収箱を設置している「LessPlastic 」だ。集まったペットボトルを回収し、再生繊維に変え、20回まで繰り返し洗濯して使える防護服を作り、医療現場に寄付する活動が話題となっている。
本記事はTNCライフスタイル・リサーチャー(http://lifestyle.tenace.co.jp/ ) とインテージのグローバル・リサーチャーの共同執筆記事です。
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TNCアジアトレンドラボ
株式会社TNCが運営する、アジアのトレンドを研究・発信する情報機関。現地の生活者の暮らしや生活習慣に根ざしたトレンドからインサイトを見出し、企業のマーケティング活動の支援を行っています。
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インテージ
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- 2021/11/10
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