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中国の新たな購買層 の生活・消費トレンドを先読み!~中国の銀髪族(シルバー市場)はブルーオーシャンになるのか?~(後編)

本記事では、近年注目される中国の銀髪族(シルバー市場)はブルーオーシャンになるのか?という問いに対して、市場データやインテージチャイナ自主企画調査の結果から解説をお届けしている。
前編では、市場の現状や彼らのプロファイル、オフタイムの過ごし方、旅行などのアクティビティに積極的であること等についてご紹介した。
後編では、更に健康・見た目ケア等の行動や彼らの価値観についてもご紹介していきたい。

シニア層の消費者インサイト

◆健康

新シニア層の健康状態についてみてみよう。彼らは慢性の病気をそれほど持っていないが、健康を維持して病気を未然に防ぎたいと思っている。同じお金を使うなら、治療や薬よりも事前の予防に使った方が良いという考えである。予防のため、家庭用医療機器を持つ割合はほぼ半数、保有世帯における使用製品数は平均 3.7 台。関節/骨の衰えや慢性病気の予防としてサプリメントを利用するなど、現在は問題がなくても予防策を取っており、予防意識が高いのが特徴だ。
サプリメントに加え、健康管理の視点から、新シニア層は運動、食事バランス、メンタルケアなどに対して全体的に前向きな姿勢を示している。運動に関しては、従来のウォーキングやジョギングに加え、現在若者を中心に人気の高いサイクリング、山登り、ヨガなども積極的に取り入れている。自分の「健康」と「趣味」のため必要な道具や服装に出費を惜しまない。 バドミントンや卓球など社交性のあるスポーツも人気だ。

◆見た目へのケア

体の健康状態を維持しながら、「顔」への工夫も見られる。洗顔料や保湿などスキンケア品を使う新シニア層は95%、スキンケア意識が想像以上に成熟している。またUVケア意識の高さにも注目すべきであり、主に中価格帯製品を使っている。このような健康的なスキンケア習慣と彼らの意識を切っても切り離せない。「年をとることを受け入れ、不安はないものの、老化を遅らせたい」、「若者と同じようになることを求めるわけではないが、仲間より若く見られたい」といった意識があるため、真剣にスキンケアに時間と手間を費やしている。スキンケアブランドの好みに関して、中国ブランドと日本ブランドより欧米ブランドが好まれ、日本ブランド好意度は3割程度である。

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新シニア層は気に入った商品のリピート傾向が強く、ブランドロイヤルティが高い。データ(下図)を見ると、二級都市は一級都市や新一級都市に比べると同一ブランドの複数アイテムをセットで使用する割合が27.5%で最も高い。逆に、一級と新一級は複数ブランドのスター製品を自由に組み合わせて利用する割合が高い。ブランド側にとって、新シニア層とコミュニケーションをとるとき、教育コストもそれに応じて高くなると予想される。

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誰でも美を愛するもの、シニア層も例外ではない。
女性のメイクアップ品使用率は57%、これまでの「すっぴんでだらしない」という高齢者のイメージとは大きく違う。自信を持って、周りにきちんと綺麗に見せることに高いこだわりを持つ現在のシニア層はメイク=マナーと考え、メイクをする意識は若者とほぼ変わらない。

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前述したように、新シニア層女性のエイジングに対する考え方は、「若い人と同じであることを求めるのではなく、周りより優れていればいい」。 スキンケア品やメイクアップ品使用以外に「プチ美容医療」にも積極的にチャレンジしている。美容医療のアンチエイジング効果を認識した上で、若者のようにハードルが高いハードモードを選ぶのではなく、エントリーレベルのソフトモデルを利用したい意向が強い。都市別では、新一級都市の利用者が最も多い。さらに、プチ美容医療を通じて、ビジュアル的な「若返り」を実現することで、喜びと精神的な満足感の獲得も目指す。

◆購買行動

購買チャネルについても、若者とあまり変わらない。
従来のオフラインチャネルに限らず、オンラインにも目を向ける。オンラインの利用がオフラインを上回り、自宅でワンクリックで簡単に商品を買える。また、オンラインチャネルの中では公式旗艦店に加え、海外EC、ライブコマース、微信購入など新興チャネルも盛んである。それだけでなく、上質な体験とサービスのために喜んで有料会員も登録している。動画やドラマ好きな二級都市と新一級都市女性は、動画 Web サイトの会員購入に積極的である。高品質生活や差別化されたサービスを求める一級都市の新シニアは、高級スーパーの会員利用率は他の都市よりはるかに高い。

シニア層の価値観

新シニア層の属性、日常生活、意識、消費構造、消費チャネルの分析を通じて、従来のシニア層の印象と大きく異なっていることが分かって頂けたと思う。これらの「違い」の根本的な要因は、まさに私たちが注目する新シニア層の価値観と関係しているのではないかと考えられる。
若い心を持つ新シニア層は、本当に老いたわけではなく、「これから老いていく」若者である。これまでの孫世代を優先した「孫の世話」から、自分中心の「自分を大切にする」へと変化。生活の中心が、子供から自分に戻ったことで、若い世代との距離感を保ち、家族との関係は、昔の「依存」や「コントロール」から、互いに「尊敬」し、「支援」し合うことになる。
もう一つの価値観として、自分自身の精神的な満足感と気分のよさを重視すること。それによる精神面や興味への消費傾向も高まり始める。積極的に人と付き合い、コミュニケーションをとり、人から注目されたい新シニア層は、誰よりも先に情報を知り、先に体験し、先に人に推奨することで、自分が友達の間で活力を持つことの証拠であると信じている。
クラスター分析を通じて、新シニア層を4つのタイプにまとめた。左から右へ、生活態度が積極的、消費関心が高くなる。右側の2 つのクラスターを足し上げると新シニア層の50%以上を占め、彼らは生活の質を求めて消費意欲も高く、モチベーションの高さや行動力、消費力は若者とほとんど変わらない。

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シニア層経済の新しいチャンス

シルバー市場はすでに多くの注目を集め、たくさんの投資銀行が参入していることからもその人気さが伺える。第三者機関の統計によると、投資分野は、従来の高齢者向けの介護から、健康志向の旅行や健康生活分野に移行している傾向にある。シルバー市場は、まさに追い風が吹いている状態になっている。投資ファンドが相次いで参入していることもあり、今後プレイヤーが増えてますます市場が活性化していくと予測される。

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    執筆者プロフィール
    インテージチャイナ自主企画調査チーム

    インテージチャイナの若手リサーチャーで構成されているチーム。
    インテージチャイナでは、若手リサーチャーの育成および社外への情報発信として、年に数本、自主企画調査を行っています。今回執筆したコラム記事も、若手リサーチャー達が中心となって、情報収集、そして自主企画調査を行い、まとめ上げた渾身の一作です。

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    編集者プロフィール
    株式会社インテージ

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