【アジア各国のZ世代】タイ編:若い女性に支持されるヘアケア商品&プロテイン入りミルク
タイでは過去10年ほどの間に、国内のスタートアップ企業から多様な商品が生まれ、Z世代の若者たちの心をつかんでいる。タイ人ならではの視点で、若い消費者のペインポイントを捉え、「あったらいいな」を形にした商品が次々と登場している。調査データと共に、タイで支持を集めているブランドを紹介する。
ヘアケア商品
インテージが保有する生活者データベースGlobal Viewerで確認すると、タイ女性Z世代のなか「抜け毛」で悩んでいるのは55%、東アジアと東南アジア10か国中2番目に高い。若い頃から抜け毛を気にする傾向がある。
(出典:インテージGlobal Viewer(2024年))
バンコクに住むタイ人家庭の友人に話を聞いたところ、高校生の次女が「アレルギー体質で乾燥肌のため、頭皮の乾燥やかゆみ、フケに悩んでいる」という。一般的な商品では頭がかゆくなってしまうため、敏感肌向けのヘアケア商品を探しては試しているが、敏感肌用の商品は高価であるうえ、大学生の長女の好みの香りではない。そのため、家族で使用するヘアケア商品は、それぞれ別のブランドになっていると話してくれた。
タイでは、タイハーブや天然素材を使用したヘアケアブランドが複数登場しており、一般的な商品では解決できなかったタイ人女性の髪や頭皮の悩みに応えている。
Kaff & Co.(https://www.kaffandco.com/en)は、コブミカン抽出オイルやショウガ、アロエを使用したヘアケア・ボディケア商品のブランド。頭皮のタイプ(ノーマル・オイリー)や、フケ、抜け毛などの悩みに応じた商品が揃っている。ブランドオーナー自身がアレルギー体質で抜け毛に悩んだ経験から、コブミカン抽出オイルに出会い、2014年にブランドを立ち上げた。
「Kaffir Lime Essential Oil Shampoo」(コブミカン抽出オイルシャンプー)は、頭皮の乾燥やかゆみ、フケに悩む人向けで、300ml入り380バーツ。
「Ginger Rhizome & Kaffir Lime Shampoo」(ショウガ&コブミカンのシャンプー)は、抜け毛対策に効果があり、300ml入り480バーツ
SKIN SYRUP(https://skinsyrup.co/)は、タイの伝統的な天然素材であるコブミカンやバタフライピーに加え、海外から取り寄せた希少な成分を使用したヘアケア・ボディケアブランド。タイ伝統医療の知識と技術を活かし、敏感肌の人向けに配合されているのが特徴。
プロテイン入りミルク
(出典:インテージGlobal Viewer(2024年))
この中で 「手軽に、必要な栄養素を摂れることが大事」(28.6%) と思っているタイZ世代も多い。バンコクに住む都会の若者は、日々忙しく、毎日の食事でバランスよく栄養を摂ることが難しい。近年では、コンビニやスーパーマーケットに 多様な栄養素が摂れるRTD商品 が並ぶようになった。特に、健康意識が高まり、適切な食事と運動を心がける人が増える中、プロテイン入りミルク が人気を集め、コンビニや食品売り場のドリンク冷蔵棚には多くの種類の製品が並んでいる。
プロテイン飲料ブランド Hooray! は、2015年に当時まだ珍しかった RTDプロテイン入りミルク を発売。現在では プロテイン入りミルク市場の40% を占め、年間売上は 8億バーツ に達すると見込まれている。
Hooray!(https://www.drinkhooray.com/proteinshakelactosefree)を販売するCROSSMAX RETAIL社の創業者ジェーン氏へのインタビューによると(※)、ブランド立ち上げ以前、健康意識の高まりを受け フィットネス・スタジオ事業 を開始。フィットネスに通う若い女性の多くは プロテインが身体に良いことを理解していたものの、当時は味がよく飲みやすいプロテインが国内にはなかった。そこで 商機を見出し、スタートアップとしてブランドを考案 したという。
商品開発にあたり、タイ人は 甘いものを好み、「甘い=美味しい」と感じるが、健康のために砂糖を控えたい という点を考慮し、人工甘味料を使用してタイ人好みの甘い味を実現。さらに、タイ人の98%がラクトース不耐症 という研究結果を踏まえ、ラクトースフリー商品を開発。こうして タイ人が飲みやすく、吸収しやすい商品 が誕生した。
Hooray!の「Protein Shake Lactose Free」 は、プレーン、チョコレート、ストロベリーなど 4種類 を展開し、340ml入りで49バーツ。コンビニをはじめ、ショッピングモールやスーパーマーケットなど 幅広い販売チャネル で展開されている。また、プラントベース・プロテインやアーモンドミルク商品 も取り扱っている。
タイの RTDプロテイン入りミルク市場 には、Hooray!のほか、Meiji、Dutch Millといった 大手食品メーカーのブランド や、国内の豆乳ブランドTofusanの商品がある。Z世代の健康意識の高い人 は、プロテインを 体型改善や減量のための一食置き換え、または エクササイズ前の間食代わり に摂取すると聞く。
筆者の 10代の息子も、筋トレ後にできるだけ早くプロテインを摂りたいときに、コンビニでRTDプロテインドリンクを購入 するという。息子がよく飲むブランドは Meiji で、Hooray!については パッケージデザインから女性向けの印象を受ける ようだ。手軽に栄養素を摂取しながら体型維持ができる Hooray!をはじめとするRTDプロテイン商品は、今後も需要が高まりそうだ。
今回取り上げた 3ブランド は、いずれも 海外ブランドを思わせる洗練されたデザイン で、思わず手に取ってみたくなる魅力がある。SNSのオフィシャルアカウント を見ると、ヘアケアブランド は シンプルなライフスタイルに調和する商品イメージ を打ち出し、プロテイン入りミルク は ヘルシーで明るい印象 を前面に押し出している。このような スタイリッシュな商品イメージ も、若いタイ人の感覚に合致し、支持を集める要因 となっているようだ。
Global Viewerとは
インテージがストックする11ヵ国(アジア・US)の生活者の様々な実態・意識に関するアンケートデータを用いて、ご課題に応じたレポートをご提供するサービス。
カバーしている項目は、各種商品・サービスカテゴリー(※)に関する行動実態・意識、価値観・情報接触など400項目に及ぶ。
※カテゴリー例:
食品・飲料、パーソナルケア・化粧品、ハウスホールドケア、育児・介護、モビリティ、家電、スマートホーム、住宅、エンタメコンテンツ(ゲーム・音楽等)、金融、保険、旅行(訪日)、オンラインサービス 等
本記事でご紹介したような国別比較分析のほか、1か国における属性別分析(性年代・収入等)なども可能。
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執筆者プロフィール
TNCライフスタイル・リサーチャー
タイ人の夫と3人の子どもと共にバンコクに住んで18年。来タイ当初は 日本のヘアケアやボディケア商品を日本から買ってきていましたが、今では タイブランドの商品を主に使っています!
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編集者プロフィール
チュウ フォンタット
日本在住マレーシア人リサーチャー。マレーシアにいることから欧米系メジャーブランドのシャンプーを使っており、日本でも同じものが調達できるので未だに使い続けている。
- 2025/02/19
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