【韓国・タイ・ベトナム 】 男性が社会人デビューして手を出す化粧品、美容は?
- 公開日:2025/12/16
- 更新日:2025/12/16
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本サイトでは、数回にわたってアジア男性の化粧品・美容についての記事をお届けしています。
(参考記事:
韓国男性はみんなメイクをしている? 韓国・中国・台湾の男性化粧品実態を比較
ASEAN各国男性の肌悩みと美容行動:彼らの肌悩みとその対処法とは?)
これは男性の化粧品・美容は急成長分野であり、我々リサーチャーが大変興味を持っている証拠ともいえるでしょう。特に若い男性は、上の世代とは美容・身だしなみに関する意識が異なってきていることも考えられ、新たなターゲットとして注目している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer*(2024年実施)」の定量データをもとに、韓国・タイ・ベトナムのアジア3カ国の10代・20代の若年男性の美容に関する実態を比較します。10代学生と20代社会人で、どのような違いがあるのでしょうか。学生から収入を得る社会人というライフステージが変化する段階で求められる化粧品や、各国の美容に関する特徴を考察していきます。
1.化粧頻度
「Global Viewer*(2024年実施)」によると、なんらかのメイク(ベースメイク、ポイントメイク)をしている割合は、明確にどの国でも学生(18-19歳)より社会人(20代)のほうが高い結果となりました。
特に韓国は10代学生であってもメイク率が50%弱と高い傾向があり、タイやベトナムは10代学生に対して20代社会人のメイク率が約2倍と顕著な増加があることが分かりました。

図1:月に1度以上メイクをする人の割合(ベース:各国10代学生・20代社会人)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)
2.現在使用しているアイテム
(1)メイクアイテム
現在使用しているメイクアイテム別で見ると、使用率の高いアイテムは3カ国ともベースメイクに集中していることが見て取れます。
タイ・ベトナムでは、化粧下地は学生・社会人ともに使われているので、学生でも使うことのある基本アイテムであると推察されます。タイではBBクリーム、ベトナムではコンシーラーが、学生より社会人の方が使用率が高く、20代になりプラスワンとして使うアイテムと推察されます。
また韓国では、ベースメイクアイテムで使用率が高いのはBBクリーム・化粧下地・ファンデーションで、いずれも学生より社会人の方が使用率が高い結果となりました。社会人になりさまざまなベースメイクアイテムにトライし始めている様子が垣間見られます。

図2:現使用メイクアイテム(ベース:各国10代学生・20代社会人)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)
(2)スキンケアアイテム
次に、スキンケアで現在使用しているアイテムを見ると、どの層も洗顔料の使用率が高いことが分かります。
日焼け止め使用率もベトナムの10代学生以外の層では総じて高めな結果となりました。
韓国では、乳液が10代学生も20代社会人も6割以上と突出して高く、乳液は韓国若年層で幅広く浸透していると考えられます。
また、10代学生より20代社会人で増加が見られたアイテムは、韓国では化粧水・オールインワン化粧品・美容液、タイでは美容液で、10代学生より20代社会人で使用率が大きく上がっています。これらのアイテムは、社会人になってから使い始めることが多いアイテムのようです。

図3:現使用スキンケアアイテム(ベース:各国10代学生・20代社会人)
※各国10代学生・20代社会人Totalでの上位8アイテムを抜粋
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)
3.美容医療の経験
3カ国の美容医療経験者をライフステージで比較した場合、どの国も20代社会人のほうが10代学生より何らかの美容医療を経験していることが見て取れます。美容医療経験者はタイとベトナムの20代社会人は約4割、韓国の20代社会人は5割以上にのぼります。

図4:美容医療経験率(ベース:各国10代学生・20代社会人)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)
さらに実際に経験のある美容医療を見ると、ほとんどの医療で20%未満と高いわけではないが、各国ともに多くの美容医療で20代社会人のほうが10代学生よりスコアが高い結果となりました。
各国とも上位に来るのはピーリング、脱毛、レーザー治療などの肌を整えるものでした。特にベトナム20代社会人の「ピーリング」、 韓国の20代社会人の「その他のレーザー治療」「シミ取り(レーザー治療)」は他の層に比べスコアが高めなことが分かります。美容医療は、化粧品よりもコストがかかることもあり、これらの美容医療は「自由に使えるお金が増える社会人になったらやってみたいこと」と認識されているのかもしれません。

図5:経験したことのある美容医療(ベース:各国10代学生・20代社会人)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)
4.まとめ
学生から社会人へとライフステージが変化するタイミングは、各国の若年男性の化粧や美容医療を行うきっかけとなっていることが見えてきました。
韓国は、タイ・ベトナムに比べ10代学生、20代社会人ともにスコアが高く、アイテムの使用率が高い傾向にあり、男性の化粧品使用がより浸透していることが分かりました。そしてタイ・ベトナムも、スキンケアアイテムやメイクアップアイテムを使用している男性は一定数おり、総じてどの国も若い男性には「肌をきれいに見せたい」というニーズがあるようです。
今回のデータから見えてきたのは、各国の男性が、学生の時から使っているカテゴリーと、社会人になり自由に使えるお金が増えた時に使い始める化粧品カテゴリーや美容医療があるということです。学生から社会人というライフステージの変化は、化粧品カテゴリーの重要なエントリーポイントと言えるでしょう。
10代学生向けに、基本的なスキンケアアイテムやベースメイクアイテムを訴求したり、肌を整える美容医療の訴求をして、「きれいな肌」への憧れを培うこと、またその彼らが社会人となり購買力が増したときに、エントリーユーザーとしてブランドに取り込むことが、カギとなってくるでしょう。
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執筆者プロフィール
竹谷 絢子
モビリティのグローバルリサーチに従事したのち、現在は化粧品のグローバルリサーチ担当。
高校生の息子が化粧品に興味を持っていることで現代を切に感じている。 -

編集者プロフィール
高浜 理沙
日系のFMCGメーカー(化粧品、ベビー用品、食品・飲料等)のアジア・欧米でのマーケティング・リサーチ支援に従事したのち、2019年より現職にて、日系企業の海外マーケティング・リサーチのためのソリューション開発や、セミナー等の対外発信を行う。
子どもが生まれてからは、家族と自身の心身の健康をいかに保つかが最大の関心事で、様々なグッズ・サービスを試している。



