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健康意識が高い国は、実際に健康寿命が長い!? 健康意識が高い国はどこか

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1.はじめに

健康を意識するとはどういうことかでしょうか。おそらく、すぐに答えられる人はなかなかいないでしょう。栄養バランスを意識した食事をとる、日常的にしっかり運動を取り入れる、ストレスを溜めないようにする、病気にならないようにする、おそらく人によってさまざまな回答が出てくると思います。WHO(世界保健機関)によると、健康*1とは「病気ではなく、弱っていないということではなく、肉体的にも精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にある」ことを指します。

2025年5月15日、WHOが世界保健統計(2025年版)を発表しました。世界ランキング198カ国中1位シンガポール(73.6歳)、2位は日本(73.4歳)、3位は韓国(72.5歳)と上位3位はアジアが占める結果でした。その他の主なアジア各国の健康寿命ランキングは、中国は28位(68.6歳)、タイは46位(65.8歳)、ベトナムは50位(65.4歳)、インドネシアは117位(60.7歳)、フィリピンは130位(58.8歳)でした。*2 

*1 https://japan-who.or.jp/about/who-what/identification-health/

*2 https://memorva.jp/ranking/unfpa/who_whs_healthy_life_expectancy.php (2025年10月24日)

では、健康寿命だけが健康指標なのでしょうか。健康は運動面や食事面でも判断することがあります。また健康意識は国ごとに異なるはずです。そこでこの記事では、アジア各国の健康意識の特徴を捉えていきます。

2.アジア各国の健康意識

インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer2024年実施)」を元に、アジア各国を対象に健康意識の比較を行いました。対象国は中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナムの10カ国です。
各項目の健康意識を「非常にあてはまる」~「全くあてはまらない」の5段階評価で聴取しました。各国TOP1(非常にあてはまる)と回答した割合とランキングは以下の通りです。

各国の健康意識(TOP1)*各国上位5位を抜粋

図1:各国の健康意識(TOP1)*各国上位5位を抜粋
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

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まず特徴として見られたのは、韓国とシンガポールは上位5位が殆ど一致しており、「いつまでも若々しくありたい」「“美しさ”とは健康であることだと思う」「手軽に、必要な栄養素を取れることが大事」「規則正しい生活をしている」が共通しています。2位までの項目内容から両国とも美容意識の高さがうかがえます。

(1)食事面

中でも特に注目したいのは、食に関する意識です。食に関する意識 が25%以上(赤字)なのは、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナムでした。
同データの夕飯の自炊頻度を確認する  と、平日に「夕食を週4日以上自炊する」割合が60%以上かつ休日に「夕食を毎休日自炊する」割合が50%以上である国は、上記で述べた5カ国(中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム)と一致したのです。これは、食に関する意識の高さが実行動にも反映され、特徴としてデータ数字に出ていることを表しています。

平日夕飯自炊頻度(毎日+週に4~5日以上計)

図2:平日夕飯自炊頻度(毎日+週に4~5日以上計) 
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

休日夕飯自炊頻度(毎日(休日))

図3:休日夕飯自炊頻度(毎日(休日))
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

食に関する意識と自炊頻度の因果関係はこれだけでは断定はできませんが、おそらく両者が関連し合い相乗効果になっていると推察します。自炊頻度が多いということは、栄養バランスや偏りを気にしている表れでもありますここから上記5カ刻(中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム)の食生活の意識の高さがうかがえます。

(2)運動面

一方で、運動面はどうでしょうか。
休日にスポーツをしている人が25%以上(4人に1人以上)なのは、中国、香港、シンガポール、マレーシア、ベトナムの5カ国でした。特に中国、ベトナムは前述のとおり食意識が高い国に入っており、特に健康意識が高いことがうかがえます。

休日にスポーツをしている人の割合

図4:休日にスポーツをしている人の割合
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

3.まとめ

今回のデータから、中国・ベトナムが食事面でも運動面でも特に健康意識が高いことが見受けられました。しかし一方で、健康寿命が長いはずの韓国やシンガポールは美容意識ばかり高くて健康意識はあまり高くなさそうです。一見すると矛盾があるように見えますが、その背景には医療の発達など先進国ならではの恩恵が大きいと考えられます。
健康意識が高いから健康寿命が長くなるのではなく、健康寿命を長くできるほどの技術があるから(医療の発達など)健康意識が低くても長生きできる、というのが実際の相関関係なのかもしれません。いわゆる新興国である中国やフィリピン、インドネシア、タイ、ベトナムの人々は、技術には頼らずに普段から健康に気を遣った食生活を意識しているのでしょう。今回のように健康行動を国ごとに比較してみると、そこには人々ができるだけ健康でいようと努力する力強さを垣間見ることができます。



  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    志水 裕美

    2020年よりリサーチャーとして、FMCG、耐久消費財、サービス業界など幅広い分野の調査を経験。現在は主に耐久消費財領域を担当している。
    コロナ禍に健康維持のため散歩を始めたことをきっかけにランニングを始め、現在はフルマラソンにも挑戦している。足の故障が多いことが悩み。

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    編集者プロフィール
    チュウ フォンタット

    日本在住14年目マレーシア人リサーチャー。ASEAN各国の調査を多く担当しています。

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    「出典:Global Market Surfer ●年●月●日公開
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