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Last updatedcalendar_month2026/05/15【中国】“顔経済”がヘアケアを加速:20〜30代男女の“髪重視”をデータで解説

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1.はじめに

近年、中国の消費市場ではいわゆる「顔経済」が急速に拡大しており、外見に対する自己投資はスキンケアにとどまらず、ヘアケア分野へと細分化・高度化が進んでいます。

特に20〜30代の若年層においては、小紅書(RED)や抖音(中国版TikTok)のような画像・動画中心のレコメンド型SNSの利用が一般的になっています。これらのプラットフォームでは、ユーザーが短時間でコンテンツを判断するため、ビジュアルの印象が初期の注目獲得に大きく影響します。その結果、第一印象を左右する要素への関心が高まり、中でも「髪の状態」は見た目の印象を決定づける重要な要素として重視される傾向が強まっています。  

本記事では、インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer」(2025年)をもとに、中国市場の中でも男男性女性20~30代の若年層消費者のヘアケア意識・行動を比較していきます。

2.中国の若年層の男女は、見た目のうち髪を重視している?

中国の20~30代の若年層の男女は髪について、どう考えているのでしょうか。それをひも解くため、インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer(2025年実施)」より、見た目の重視度について確認しました。
その結果、1位は「清潔感」で「髪」は「身体・印象」「肌」と並んでその次に重要ととらえる人が多く、外見の中でも重要な要素の一つととらえられていることが分かります。  

見た目重視度(複数選択)男女上位を抜粋(ベース:中国の男性・女性20~30代)

図1:見た目重視度(複数選択)男女上位を抜粋(ベース:中国の男性・女性20~30代)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)  

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3.外見への不安:男女に共通する「皮脂、ベタつき  」の悩み

では、見た目を構成する重要な要素である「髪」について、中国の20~30代の若年層の男女はどのようなことに悩みを持っているのでしょうか?データを見ると、「頭皮が油っぽい・ベタつく」という悩みは男女共に最多で、男性の42.5%、女性の46.5%にのぼります。 
一方で、性別ごとに特徴が出ました。例えば男性はフケ(33.7%)や頭皮のかゆみ(20.8%)といった、過剰な皮脂分泌に起因する悩みが目立ちます。女性は髪のボリューム不足(33.8%)や抜け毛(33.5%)といった「将来的な不安」に加え、髪の乾燥(27.4%)にも敏感です。

(MA)髪・頭皮に関する悩み 5位を抜粋(ベース:中国の男性・女性20~30代)

図2・図3:(MA)髪・頭皮に関する悩み 5位を抜粋(ベース:中国の男性・女性20~30代)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)  

4.ジェンダーギャップから見るヘアケア工程の精細化

こうした悩みに対し、若者の対策はジェンダーギャップ  が見られます。シャンプーは全ユーザーに普及していますが、その後のステップに違いが現れています。ヘアケアの質の差について、コンディショナーやトリートメントの使用率は、女性が74.4%に達するのに対し、男性はわずか28.8%に留まっています。多くの男性がいまだ「洗うだけ」のケアに止まっている現状が浮き彫りになりました。また、スタイリングへの投資について、女性はドライヤー(75.0%)やヘアアイロン(32.3%)を活用し、髪の質感だけでなく「雰囲気」の演出に注力しています。
なお、潜在市場として、抜け毛への不安が高い一方で、育毛剤やヘアトニックの使用率は男女共に約10%前後と低く、今後に成長の余地があるブルーオーシャンといえます。

(MA)現使用ヘアケアアイテム(ベース:中国の男性・女性20~30代)

図4:(MA)現使用ヘアケアアイテム(ベース:中国の男性・女性20~30代)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)  

5.デジタル化された意思決定プロセス:どこで選び、どこで買うか

「デジタルネイティブ」世代である中国の20~30代の若年層は、ヘアケア市場において極めて高いオンライン依存度を示しています。データによると、特に女性消費者のチャネル集中度は顕著であり、ECプラットフォームでの購入割合はシャンプーで44.7%に達し、他のチャネルを圧倒しています。これは、女性の購買行動が強い「オンライン主導型」であることを示しています。
一方で、男性消費者の購買プロセスはより「オムニチャネル」的な傾向にあります。オンラインがメインであることに変わりはありませんが、シャンプーにつきまして、百貨店(21.0%)   やスーパーマーケット(10.2%)での購入率は女性よりも有意に高くなっています。この結果から、男性は利便性を追求しつつも、必要に応じた「即時購入」や、百貨店の高級カウンターにおける「目的を持った製品選定」といったオフラインの購買習慣を維持している実態があると考えられます。

(SA)現使用シャンプーの購入チャネル上位6位を抜粋(ベース:中国の男性・女性20~30代)

図5:(SA)現使用シャンプーの購入チャネル上位6位を抜粋(ベース:中国の男性・女性20~30代)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)  

6.まとめ

今回のデータから、中国の20〜30代の若年層において、ヘアケアは外見管理の重要な要素として位置づけられていることが分かりました。特に男女共通で「頭皮の油っぽさ・ベタつき」が最大の悩みとなっており、清潔感を重視する意識の高さがうかがえます。

一方で、ヘアケア行動には男女差が見られ、女性はケア工程が多くスタイリングまで含めた外見演出を重視する傾向があるのに対し、男性はシャンプー中心のシンプルなケアにとどまっています。また、購買行動においても、女性はECオンラインが中心、男性はオンラインとオフラインを併用するなど、チャネル選択にも違いが見られました。

こうした結果から、中国若年層のヘアケア市場では、男女共通の皮脂・ベタつき悩みに対応したスカルプケア商品の需要拡大が期待されます。加えて、男性向けには簡便性を重視した商品提案、女性向けには悩み別・機能別の細分化商品の展開が有効と考えられます。

さらに、抜け毛不安に対して関連商品の使用率が低いことから、育毛・スカルプケア市場は今後の成長領域として注目されます。購買行動の違いを踏まえたチャネル戦略も含め、中国若年層のヘアケア市場は今後も拡大が期待されるといえるでしょう。



  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    紀 子寧

    中国出身。2024年入社、化粧品チームのマーケティング・リサーチを担当。
    ファッションとスキンケアが好きで、好奇心旺盛。
    日系化粧品の魅力を世界に発信したい。

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    編集者プロフィール
    高浜 理沙

    日系のFMCGメーカー(化粧品、ベビー用品、食品・飲料等)のアジア・欧米でのマーケティング・リサーチ支援に従事したのち、2019年より現職にて、日系企業の海外マーケティング・リサーチのためのソリューション開発や、セミナー等の対外発信を行う。
    子どもが生まれてからは、家族と自身の心身の健康をいかに保つかが最大の関心事で、様々なグッズ・サービスを試している。

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