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Last updatedcalendar_month2026/06/301日5食の頻食文化とは? Zomato・Swiggy普及で変わるインドの食卓 ~若者世代の高まる健康意識とプロテイン需要~

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1.はじめに

インドの食事と聞いて、多くの方が「毎日スパイスたっぷりのカレー」を思い浮かべるのではないだろうか。しかし、近年のインド、特に都市部の若者(Z世代・ミレニアル層)の食生活は、私たちが想像する以上に多様化している。女性の社会進出に伴う共働き世帯の増加や、コロナ禍を経て定着したデリバリー習慣により、伝統食をベースにしながらも外国料理やRTC/RTE(調理済み・即食)食品が日常に深く溶け込んでいるのだ。
今回は、デリー・ムンバイ・バンガロール・コルカタの主要4都市に住む16名の若年層を対象に行った定性調査をもとに、リアルな食卓の様子や最新の飲料トレンドから見えてきたビジネスチャンスを紹介したいと思う。

2.リアルな食卓をのぞき見!主要4都市の「フードダイアリー」

インド全土を一つの市場として捉えることは難しい。「15マイルごとに方言が変わり、25マイルごとにカレーの味が変わる」と言われるほど、地域による多様性が非常に大きい国だからだ。実際に主要4都市の若者たちの「1週間のフードダイアリー(食事記録)」を見てみると、その違いが鮮明に浮かび上がる。

【都市別フードダイアリーの例】

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:ノンベジタリアン :ベジタリアン

例えば、ベジタリアンとノンベジタリアンの比率には顕著な地域差がある。インド全体ではベジタリアン比率が約30%と言われているが、東部のコルカタでは人口の1.45%しかベジタリアンがおらず、98.55%がノンベジタリアンであり、魚カレーや肉料理を中心とした食生活が日常的だ。一方で、西部のムンバイはベジタリアンが40.2%と比較的多く、これは菜食主義の多いグジャラート州出身者が多く居住している影響が大きい。
主食の面でも、北部のデリーやムンバイでは「ロティ(パン)」とサブジ(野菜炒め)、ダル(豆カレー)の組み合わせが中心であるのに対し、南部のバンガロールでは「米」をベースにイドゥリやドーサ(米や豆からなる生地を発酵させて調理)といった消化の良いメニューが好まれる。インド市場への参入や商品展開を考える上では、こうした都市ごとの「ベースとなる食文化の違い」を正確に把握することが不可欠である。

【都市別のベジ・ノンベジ人口比率マップ】

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3.1日5食も?独自の「頻食文化」と外食・デリバリーの定着

インド人の食生活の大きな特徴として「頻食」が挙げられる。1日に3〜5回の食事をとるライフスタイルが一般的であり、朝・昼・夜の食事の間に「スナックタイム」が存在する。午前中にはフルーツやナッツなど罪悪感の少ない選択肢が好まれる一方で、17時から19時にかけての「夕方のスナック」は、欲望を満たす時間として人々の生活に欠かせないものとなっている。ストリートフードの屋台には多くの人が集まり、サモサやチャート、ジャンクフードを日常的に楽しんでいる。この夕方のスナックを挟むため、1日の最後の食事である夕食は21:00〜23:00と遅い時間帯になり、バターチキンやビリヤニなど重めの料理が食べられることが多い。

食事の準備スタイルも変化している。ベースとなる「自炊」が約50%を占める一方で、「中食(デリバリー・持ち帰りなど)」が30%、「外食」が20%と、外部サービスへの依存度が高まっている。
多忙な平日のランチはオフィス近隣の食堂で1日あたり100〜250ルピー程度(約170~420円)に抑えてコストパフォーマンスを重視し、週末はレジャー体験としてレストランでの多国籍料理に500〜2,000ルピー(約850~3,400円)以上の予算を惜しまない。メリハリのある消費行動が、現代の若者たちのスタンダードになりつつあるのだ。

4.マサラからプロテインへ?急速に高まる健康意識

多忙なライフスタイルの一方で、生活習慣病の増加などを背景に健康意識は急速に高まっている。特に、ベジタリアンの多いインドでは「たんぱく質不足」が長年の課題であった。しかし近年は「High Protein(高たんぱく)」を訴求した食品の需要が急拡大している。
ZomatoやSwiggyなどのデリバリーアプリを開けば、メニューにプロテイン含有量やカロリーが目立つように表記されており、インドの食卓に欠かせないダヒ(ヨーグルト)やオーツ麦においても、高たんぱく質を特徴とするSKU*を展開するブランドが目立っている。油やスパイスを大量に使用した伝統的な食事への罪悪感から、日常の中で「ヘルシーさ」を意識し、食材の栄養素を重視する生活者が確実に増えているのだ。

*SKU: Stock Keeping Unit 商品の「最小管理単位」

【デリバリーアプリでのカロリー・プロテイン表記】

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5.日常に溶け込む外国料理と「日本食」の特別な立ち位置

外食やデリバリーの普及は、グローバルな味覚の受容をさらに加速させている。かつて外国料理といえば、油とスパイスで独自アレンジされた「インド中華(モモやチョウミンなど)」や「ピザ・バーガー」が主流であったが、現在ではSNSやK-POPの影響を起点に「韓国料理」が若者の間で爆発的に普及している。特に辛い麺類はインド人の味覚と親和性が高く、マギーなどの主要メーカーもコリアンフレーバーのインスタント麺を相次いで展開し、定番化しつつある。

一方で、「日本食」は非常にユニークな立ち位置を築いている。インド中華のような日常的で大衆向けの食事ではなく、「ヘルシーで胃もたれせず、彩りが美しくてSNS映えする特別な食事(For the classes)」として認知されているのだ。近年は富裕層やセレブの間で大流行しており、著名な映画プロデューサーのKaran Joharや、映画大スターの妻であるGauri Khanが自身で日本食レストラン(OjuやToriiなど)をプロデュースする事例も増えている。高価格であっても試す価値がある「ご褒美体験」として、日本食のポテンシャルは非常に高いと感じる。

【セレブがプロデュースする日本食レストランやSNS投稿】

Karan JoharプロデュースのOju。ムンバイとグルグラムにお店がある。

Gauri KhanプロデュースのTorii。ムンバイにお店がある。

ムンバイの日本食レストランMizuは、セレブの間で最も有名なレストラン

6.【飲料事情】明確な飲み分けと高まる「無糖・健康」ニーズ

最後に、食品とともにビジネスチャンスが広がる「飲料市場」についても触れておきたい。
インド人は、時間帯や目的に応じて飲料を明確に使い分けている。1日に複数回飲まれる国民的飲料のチャイ(リフレッシュ目的)はもちろんのこと、暑い日や体調不良時にはフルーツジュースやココナッツウォーター、バターミルク(栄養補給目的)が広く親しまれている。

ここで注目すべきは、水や炭酸飲料などのパッケージ飲料(RTD)市場においても「健康志向」がトレンドを牽引している点だ。インドでは糖尿病患者の多さから「糖分」への関心が極めて高く、従来主流だった砂糖たっぷりのフルーツジュースや炭酸飲料を控える動きが見られる。近年は「No added sugar(砂糖無添加)」や「Zero sugar」を全面に押し出したジュースが増加している。
また、健康的な飲料として「緑茶」の認知が拡大しており、ダイエット(お腹の脂肪燃焼など)や健康効果を訴求したパッケージが多数販売されている。インド市場で特に増えている商品傾向とし  て、緑茶単体ではなく、レモンやはちみつ、ミント(Tulsi)などのフレーバーを加えて飲みやすさを高めた商品が主流である。健康管理のため、日常的に飲むチャイのうち数回を緑茶に置き換える層も登場している。

さらに、スターバックスなどの外資系チェーンに加え、Third Wave CoffeeやBlue Tokai Coffeeといった本格派コーヒーを提供するローカルのプレミアムカフェチェーンが続々と参入している。1杯250ルピー(約420円)前後と高価格帯でありながら、カフェは単なるリラックスの場を超え、若者たちの社交と体験の場へと進化している。

7.まとめ

インドの若者たちの食卓は、「伝統」を大切にしながらも、「利便性」「健康(高プロテイン・無糖)」「新しい味覚体験(多国籍料理)」という新しい価値観を柔軟に取り入れ、急速にアップデートされている。
地域ごとの深い食文化の違いを理解しつつ、彼らの新しいライフスタイルに寄り添った商品やサービスを提供できるかどうかが、巨大なインド市場を攻略する鍵となるだろう。
インテージインドでは、本記事で紹介したような「フードダイアリー」を活用した定性調査や、生活者の自宅の様子を観察できる海外生活者ビジュアルデータベース「Consumer Life Panorama」を通じて、現地のリアルなインサイトを日々収集している。インド市場におけるビジネスチャンス探索や生活者理解にご関心があれば、ぜひお気軽に弊社へご相談いただけたら幸いである。

Consumer Life Panoramaとは

世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者の理解に役立つ。

本コラムで引用したようなビジュアルデータを用いて、
・海外生活者の属性別の違いを比較する
・カテゴリーの使用実態をリアルに把握する
・ターゲット生活者のライフスタイル全体を理解する
等、「現地に行かない」ホームビジット調査として活用が可能。

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  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    白鳥 有美

    デリー在住8年目の新米ママリサーチャー。主にFMCG業界(スキンケア、ベビーケア)の調査を担当。インドの民族衣装の収集とローカルフードの食べ歩きが趣味。

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    チュウ フォンタット

    日本在住14年目マレーシア人リサーチャー。ASEAN各国の調査を多く担当しています。

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