【中国:地球の暮らし方】中国住宅の住環境と掃除事情
- 公開日:2021/03/08
- 更新日:2025/09/05
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空間ごとに違う床材
以前にもご紹介したが、中国の住宅の引き渡しは日本と異なり、スケルトンのままの引き渡しだ。そのため、内装工事に別途費用と手間がかかるというデメリットがある。その一方で、生活スタイルに合わせて自由に内装ができるというメリットもある。したがって、床材も空間の特徴に合わせて敷かれることが多い。中でも最も日本と違うところはリビングとキッチンに使用される床材だ。 日本では、特にマンションタイプの場合、入居前に既にリビングとキッチンはフローリングになっていることが多い。それに対し、中国では、大理石やタイルを貼る家庭もいる。大理石/タイルのリビング(左)とフローリングのリビング(右)
(出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
Consumer Life Panoramaとは
世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者の理解に役立つ。
本コラムで引用したようなビジュアルデータを用いて、
・海外生活者の属性別の違いを比較する
・カテゴリーの使用実態をリアルに把握する
・ターゲット生活者のライフスタイル全体を理解する
等、「現地に行かない」ホームビジット調査として活用が可能。
日本のフローリングキッチン(左)と中国の大理石/タイルのキッチン(中、右)
(出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
掃除の順番と使用する道具
中国では、床の掃除を言うと、ほこりやゴミを掃除するだけではない。そのため、ほうき、掃除機以外に、モップやフロアワイパーもよく一緒に使われる。使用順番はそれぞれの家庭で違うのだが、よくある一例は、まずほうきや掃除機を使ってゴミやほこりを掃除し、次に濡れたモップを使って床をふき、最後は乾いたモップで床をふく。中国人にとって、床のべたつきや油汚れなどは掃除機やほうきでは除去できないので、モップなどで床拭きもすることが大事なのだ。フロアワイパーを設置する中国家庭 (出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
また、モップとフロアワイパー以外に、掃除機に関しても、特徴的なところがある。日本では、掃除機をよく玄関やリビングなどにある収納スペースにしまうのだが、中国の場合、そういった収納スペースがなく、掃除機を部屋に直置きするのが多い。また、今までConsumer Life Panoramaで集めた中国家庭の生活者の中では、掃除機は持っている家庭はいても、ロボット掃除機は持っている家庭はなかなかいない。実は、今中国国内のロボット掃除機の市場が成長しているとはいえ、浸透率はわずか3%しかないという。(前瞻経済学人APP2020年8月推計)実際に中国にいる私の友達に聞いてみたところ、コードレス掃除機は今後買う予定だが、ロボット掃除機はまだ考えていないという人もいるし、ロボット掃除機は買ったが、頻繁に使っていない人もいる。その理由はきれいに掃除できないという心配や、在宅ワーク中騒音が大きいことなどが挙げられている。掃除機を直置きする中国家庭 (出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
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執筆者プロフィール
ヤン イェン
日本在住の中国人リサーチャー、中国をメインに海外消費者生活実態を発信。共働きの我が家にとって、ロボット掃除機はとても役に立つ。
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編集者プロフィール
辰田 悠輔(たつだ ゆうすけ)
Global Market Surferのサイトづくりを担当。小さな娘がロボット掃除機を壊しそうで導入はまだ早いと考えている。