【シンガポール】自由にクルマが買えない⁉ シンガポール独自の制度とその背景とは。
- 公開日:2022/01/26
- 更新日:2026/03/04
- 11304 Views

シンガポールで運転免許を取得するには?
まずシンガポールに限らず、母国以外の国で外国人が車を運転するためには「運転免許」が必要です。日本からシンガポールに仕事や留学で来られる長期滞在者は、いわゆる成人の年齢以上の場合は、既に日本の免許を持っているケースが多いと聞きます。この場合、現地滞在の期間が12カ月以内であれば、「日本で発行された有効な国際運転免許証」または「運転許可証(IDP)」で運転できます。
一方、1年以上の長期でシンガポールに滞在して運転したいという場合は、日本の免許から現地の免許へと「切替え」をする必要があります。この切替えにあたっては、実技試験は免除されますが、日本の運転免許の有効期限内に筆記試験(Basic Theory Test、通称BTT)に合格しなければなりません。このBTTは50点満点の試験で、合格ラインは45点以上です。問題自体は難しくはありませんが、何といっても日本人にとっては外国語である英語の試験で、しかも専門用語が多いことから、ある程度勉強しないと45点以上を取得するのは難しく、初回の受験でこの点数をクリアする人は少ないと言われています。しかし、多くの教材が市販されていること、またオンラインで受験出来る「模擬テスト」もあることから、教材で勉強後に、何回か模擬テストを受験して、合格点が出るようになってから、本試験の受験をするパターンが殆どです。幾つかのウェブサイトから模擬テストの時間帯を確認することも出来ます。例えば「シンガポールセーフティドライビングセンター」のサイト(https://ssdcl.com.sg/)はその一つです。なお、外国で取得済みの有効な免許が無く、ゼロからの取得の場合は、日本と同様に「筆記」と「実技」の両方の試験に合格する必要があります。
このBTT受験には、シンガポール島内の3つのドライビングセンターのいずれかに行くことになります。日本でも、学生のうちに運転免許を取得することが多いと思いますが、シンガポールでは地元の大学に新入生が入学するタイミングが8月であること、日本の高校にあたるJunior Collegeの卒業タイミングである12月からこの8月まで、約半年の期間があることから、例年1月から7月末までは日非常に混み合い、特にコロナ禍の状況では予約が取り難く、大学入学までに免許取得が完了しないケースも多いと聞きます。
シンガポール島内のドライビングセンター
• コンフォートデルグロ・ドライビングセンター(https://www.cdc.com.sg/)
• シンガポールセーフティ・ドライビングセンター(https://ssdcl.com.sg/)
• ブキバトック・ドライビングセンター(https://www.bbdc.sg)
自由に「車」が購入出来ない⁉ シンガポール独自の仕組みとその背景
日本をはじめする諸外国からシンガポールに来て驚くのは、そもそもシンガポールでは自由に車を買えないという点でしょう。シンガポールでは車を購入するには、先ず「車両購入権(Certificate of Entitlement、通称COE)」を取得する必要があります。これは簡単に言うと「車を購入しても良いですよ」という政府からの許可です。冒頭に記したようにシンガポールは国土が非常に狭く、しかも人口密度が高い国です。このような国で、車両台数に関して全く何の規制もないと、頻繁に大渋滞が起こる可能性が高く、これは同国を東南アジア域内のハブたらしめている生命線の一つ「ロジスティクス」はもちろんのこと、あらゆる経済活動に重大な影響を及ぼします。そのため、日本の国土交通省のような役割を担う官庁である「Land Transport Authority(通称LTA)が、車やバイクの総台数を細かく管理しています。
このCOEは、車の排気量や用途等によって複数のカテゴリーに分けられており、金額はそれぞれ異なります。有効期限は最長で10年で、取得は何と「入札方式」で行われます。総数(Quota)に限りがあるため何等かの基準が必要になるのは理にかなっていますが、要するに「高くお金を支払ってくれる人」に優先的に権利を与えるということで、色々な意味でビジネスライクなシンガポールらしい考え方に基づいた仕組みです。この「入札」に必要な情報と方法は下記が概要になります。
• 年齢: 18歳以上
• 方法: 名前、ID、銀行口座が必要。銀行ATMもしくはオンラインバンキングにて入札
• タイミング:
o 通常月の第1および第3月曜日
o 12時開始で第3営業日(水曜日)の16時に終了
• 期間中は入札金額の変更が可能
例えば、2022年1月の時点では、全ての車両カテゴリーで入札価格がアップしています。落札率は、最も基本的なカテゴリーで70%程度のようです。1つ留意点として、この価格は車両代では無く、あくまでも「車両を購入するための権利」に対する価格です。めでたく落札に成功した場合、家族の車やレンタカーで無く、自分で車を購入する場合は、車そのものを購入することになりますので、政府としては、出来るだけ公共交通機関を利用して欲しいのが本音だと思われます。

出典:https://www.onemotoring.com.sg/
東南アジアのイノベーションをリードするシンガポールでは、モビリティ分野でも産官学が連携して、様々な取り組みが行われており、Grabをはじめ当地に本社を置いて域内をカバーしている有力企業も多い一方で、いわゆる一般消費者の車事情に関しては、ユニークな管理をしているのも同国ならではの興味深い点です。今後も同国のモビリティ業界の動きを注視していきたいと思います。
-

執筆者プロフィール
エキスパートコネクトアジア
公開情報が非常に限られる東南アジアを中心に、産業界・政府・アカデミア等の「有識者」からスポットで直接的に知見を収集できる情報マッチングサービス。域内に広がる1万人以上のネットワークを活かし、オンライン取材、簡易サーベイ、ワークショップ、カスタムリサーチ等を通して、企業の新興国でのビジネスを支援しています。 https://expertconnect.asia/
-

編集者プロフィール
インテージ
***

