【シンガポール】自由にクルマが買えない⁉ シンガポール独自の制度とその背景とは。
東南アジアをリードするシンガポール。国土は非常に小さく、だいたい東京23区と同程度と言われています。この狭い国土に合わせた政府の交通政策から、車の購入と所有に関しては、独特の仕組みがとられており、日本人を含む多くの外国人にとっては分かり難いものになっています。
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自由に「車」が購入出来ない⁉ シンガポール独自の仕組みとその背景
日本をはじめする諸外国からシンガポールに来て驚くのは、そもそもシンガポールでは自由に車を買えないという点でしょう。シンガポールでは車を購入するには、先ず「車両購入権(Certificate of Entitlement、通称COE)」を取得する必要があります。これは簡単に言うと「車を購入しても良いですよ」という政府からの許可です。
冒頭に記したようにシンガポールは国土が非常に狭く、しかも人口密度が高い国です。このような国で、車両台数に関して全く何の規制もないと、頻繁に大渋滞が起こる可能性が高く、これは同国を東南アジア域内のハブたらしめている生命線の一つ「ロジスティクス」はもちろんのこと、あらゆる経済活動に重大な影響を及ぼします。そのため、日本の国土交通省のような役割を担う官庁である「Land Transport Authority(通称LTA)が、車やバイクの総台数を細かく管理しています。
このCOEは、車の排気量や用途等によって複数のカテゴリーに分けられており、金額はそれぞれ異なります。有効期限は最長で10年で、取得は何と「入札方式」で行われます。総数(Quota)に限りがあるため何等かの基準が必要になるのは理にかなっていますが、要するに「高くお金を支払ってくれる人」に優先的に権利を与えるということで、色々な意味でビジネスライクなシンガポールらしい考え方に基づいた仕組みです。この「入札」に必要な情報と方法は下記が概要になります。
• 年齢: 18歳以上
• 方法: 名前、ID、銀行口座が必要。銀行ATMもしくはオンラインバンキングにて入札
• タイミング:
o 通常月の第1および第3月曜日
o 12時開始で第3営業日(水曜日)の16時に終了
• 期間中は入札金額の変更が可能
例えば、2022年1月の時点では、全ての車両カテゴリーで入札価格がアップしています。落札率は、最も基本的なカテゴリーで70%程度のようです。1つ留意点として、この価格は車両代では無く、あくまでも「車両を購入するための権利」に対する価格です。めでたく落札に成功した場合、家族の車やレンタカーで無く、自分で車を購入する場合は、車そのものを購入することになりますので、政府としては、出来るだけ公共交通機関を利用して欲しいのが本音だと思われます。
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エキスパートコネクトアジア
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- 2022/01/26
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