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Last updatedcalendar_month2026/04/13今後のスマートデバイスの浸透拡大は?(韓国、香港、シンガポール、マレーシア、アメリカ)

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1.はじめに

働き方の多様化や単身世帯の増加、そしてエネルギー価格の高騰。私たちの生活を取り巻く環境は、これまで以上に複雑で不確実になっている。家事の負担を減らし、エネルギーを無駄なく使い、安心して楽しく暮らせる環境をどう実現するか。その問いに対して、「スマートホームデバイス」は単なる便利グッズではなく、生活インフラとしての役割を帯び始めている。
本記事ではスマートデバイスの各国の浸透状況と、今後の拡大を考察していく。

2.スマートホームデバイス浸透率

各国のスマートデバイス浸透率はどうなっているか?インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer(2025年実施)」*で下記の国々の浸透状況を見てみる。

データではベトナム、中国、インドの順に高く、浸透率は9割前後である。日本は27.5%と対象国の中では一番低い。日本を除くと、香港、シンガポール、マレーシア、アメリカが次に低い水準である。そこで本記事では、購買力があるのに浸透率が低い5カ国(韓国、香港、シンガポール、マレーシア、アメリカ)の浸透機会を考察していくこととする。  

世帯保有スマートホーム機器(MA)

図1:世帯保有スマートホーム機器(MA)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)

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Global Viewer

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3.スマートデバイス保有種類

前項では全体的な浸透状況を見たが、ここではより詳細にデバイス別での浸透状況を見ていく。対象5カ国のスマートデバイス保有種類ではエンタメ関連スマートデバイスが比較的高い。電気照明や、セキュリティ関連ではマレーシアとアメリカが他3カ国と比べ浸透率が高い。そのため、何をスマートデバイスで便利化するかの重視度合も国によって変わる可能性も考えられる。
また、アメリカではスマートスピーカー、韓国ではスマート家電の浸透が高い。スマートスピーカーはAmazon、スマート家電はSamsungや、LGも手掛けており、そうしたメーカーがある自国内だからこそ浸透状況が一歩進んでいると推察する。

世帯保有スマートホーム機器(MA)

図2:世帯保有スマートホーム機器(MA)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)

4.スマートホーム導入意向

前項では浸透状況を見たが、今後の導入意向はどうだろうか?対象5カ国ではマレーシアとアメリカが比較的、他3カ国と比べて導入意向が高い。またデータでは掲載していないが、対象5カ国の導入意向は、スマートデバイス浸透率(図1)が対象5カ国より高い国と比べ、低い傾向にあることがわかっている。当然のことながら、導入意向の高さによって、浸透度合いの高さも変わってくる。

スマートホーム導入意向(SA)

図3:スマートホーム導入意向(SA)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)

5.対象国の生活者意識

ここでは対象国の中での今後の浸透拡大の考察のために、生活者の意識を見ていきたい。

<テクノロジー・イノベーションに関する考え方(図4)>

4のデータからは国によってテクノロジーやITの感度の高低が見えてくる。下記のようなグループに分けることもできるだろう。

A)韓国・香港・シンガポール:
「最新テクノロジーのトレンドに詳しい」や、「ITの進化が生活に大きな影響を与えると思う」と回答したスコアが平均(対象5カ国以外も含む)より低い。

B)マレーシア、アメリカ:
「最新テクノロジーのトレンドに詳しい」や、「ITの進化が生活に大きな影響を与えると思う」と回答したスコアが平均(対象5カ国以外も含む)より同程度以上。

<スマートホームに対する考え方(図5)>

4でテクノロジーに対する感度が平均より同等以上だったマレーシアとアメリカでは、他3カ国と比較すると、「節約に役立つ」や「環境に優しい家にすることの重要さ」のスコアが高い。マレーシアとアメリカではスマートホームに対し、こうしたベネフィットを感じているのではないか。

テクノロジー・イノベーションに関する考え方 - TOP 1 (MA)

図4:テクノロジー・イノベーションに関する考え方 - TOP 1 (MA)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)

スマートホームに対する考え方(MA)

図5:スマートホームに対する考え方(MA)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)

韓国、香港、シンガポールでは、テクノロジーや、イノベーションへの感度が比較的低いことから、生活者へスマートデバイスの技術トレンドや、ベネフィットの啓蒙が必要そうである。そこでは、マレーシアやアメリカの意識であった「節約に役立つ」や「環境に優しい家」のようなベネフィットを伝えていくことも一つのヒントになりうるのではないか。



  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    室井 裕次郎

    2020年より現職にて、日用食品・飲料・雑貨メーカー様向けマーケティング活動の支援・サポートを担当。現在使用の家電が10年以上に差し掛かり、買い替えを検討中。スマート家電にも関心を寄せる。

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    編集者プロフィール
    チュウ フォンタット

    日本在住14年目マレーシア人リサーチャー。ASEAN各国の調査を多く担当しています。