
目次
1.はじめに:なぜ韓国人の「平均」を知ることが、マーケティングに重要なのか
韓国は、日本から最も身近な海外市場の一つです。K-POP、韓国ドラマ、Kビューティ、韓国フードなどを通じて、日本でも韓国のトレンドに触れる機会は増えています。一方で、現地生活者に響くマーケティングを行うには、流行だけを追うのではなく、韓国人の「平均的な暮らし」や「価値観の土台」を理解することが欠かせません。
日本の隣国である韓国は、文化・経済・人的交流の面でも関係が深い市場です。しかし、実際の生活者を見ていくと、少子化や晩婚化、小規模世帯化、都市集中、デジタル化、スピードを重視する「パルリパルリ文化」など、日本とは異なる消費の背景があります。
本記事では、インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer」「Consumer Life Panorama」や調査レポートをもとに、韓国人の基本プロフィール、働き方、生活価値観、消費価値観、Z世代のトレンド、SNS購買行動を整理します。韓国市場を理解するための第一歩として、まずは“平均的な韓国人”の姿を見ていきます。
2.韓国の基本プロフィール:人口・世帯・ライフステージから見る平均像
(1)人口ボリュームは40~50代、若年層は縮小傾向
韓国の人口構造を見ると、40~50代が人口のボリュームゾーンとなっています。日本では40~70代に人口が厚く分布しているのに対し、韓国はより40~50代の中年層に集中している点が特徴です。一方で、20~30代の構成比は日本よりも大きく、若年層やミドル層向け市場にも一定の厚みがあります。
ただし、10代以下から40代にかけては、若い年代ほど人口が少ない構造になっています。これは、今後の韓国市場において、若年層のボリュームが徐々に縮小していく可能性を示しています。
マーケティングでは、現在のZ世代・ミレニアル世代のトレンドを捉えることに加え、将来的な人口減少を前提に、顧客単価やブランドロイヤルティを高める設計が重要となるでしょう。

詳しくは、こちらのデータをご覧ください。
▶関連データ:性年代別人口・人口構成比(10歳刻み)_韓国
(2)出生率はOECD加盟国で最低水準、初婚・出産年齢も高い韓国
韓国市場を理解するうえで避けて通れないのが、少子化と晩婚化です。韓国の合計特殊出生率は0.81で少子化と言われる日本の1.3を下回っています。これはOECD(経済協力開発機構)に加盟する38カ国の中で最低数値となっており、1を下回るのは韓国だけです。また、10年前と比較すると大きく減少しており、東アジアの中でも少子化が進んでいる国の一つといえます。
また、結婚・出産のタイミングも遅くなっています。韓国の初婚年齢は男性33.2歳、女性30.8歳で、日本の男性31.0歳、女性29.4歳より高い水準です。さらに、女性の平均出産年齢は33.4歳で、日本の31.9歳を上回ります。
このようなライフステージの変化は、消費行動にも影響します。結婚や出産に関連する消費のタイミングが後ろ倒しになる一方で、独身期や夫婦のみ世帯の期間が長くなるため、美容、趣味、外食、カフェ、旅行、自己投資などへの支出機会が広がりやすいと考えられます。

詳しくは、こちらのデータをご覧ください。
▶関連データ:国別合計特殊出生率_17ヵ国
▶関連データ:性年代別既婚率_韓国
▶関連データ:性別初婚年齢
▶関連データ:女性平均出産年齢_17ヵ国
(3)小規模世帯が主流、1~3人世帯が約8割
韓国では小規模世帯化も進んでいます。Global Market Surferの平均世帯人数データでは、韓国は過去データと比較して平均世帯人数が10%以上減少している国として挙げられています。平均世帯人数は2.53人、2~3人世帯が48.1%、1人世帯が31.8%で、1~3人世帯だけで約8割に達しています。
この構造は、生活用品や食品のニーズに直結します。大容量よりも使い切りやすいサイズ、個食対応、時短調理、コンパクトな収納、少人数世帯向けの家電やサービスなどが受け入れられやすい土壌があります。また、1人世帯の増加は、外食・中食・デリバリー・コンビニスイーツ・カフェ利用などの拡大とも相性が良いと考えられます。

詳しくは、こちらのデータをご覧ください。
▶関連データ:平均世帯人数_14ヵ国
▶関連データ:世帯規模(世帯人数)別構成比_16カ国
(4)人口の半数がソウル首都圏に集中する高密度な都市生活
韓国の生活者像を考えるうえで、都市生活の密度も重要な視点です。外務省の基礎データでは、韓国の人口は約5,177万人*1で、そのうち約2,600万人*2がソウル首都圏、つまりソウル・京畿・仁川に住んでおり、半数近くが首都圏に集中しています。
高密度な都市生活では、生活者は多くの選択肢に囲まれています。カフェ、コンビニ、ドラッグストア、配送サービス、公共交通、キャッシュレス決済などが身近にあり、必要なものをすぐに手に入れられる環境が整っています。
*1 外務省 大韓民国 基礎データ https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/data.html
*2 亜洲日報 https://japan.ajunews.com/view/20240214110201781
詳しくは、こちらのデータをご覧ください。
▶関連データ:都市別人口密度_17ヵ国
3.働き方と生活インフラ:高い専門職比率・長い労働時間・高いデジタル浸透
(1)専門職が多く、労働時間は日本より少し長い
職業構成を見ると、韓国は専門職の割合が21.7%と高いことが特徴です。これは日本の専門職割合15.0%と比べても高く、IT・半導体・エンジニアリング・自動車製造・フィンテックなど、知識労働や専門性の高い職種に従事する人が多い市場といえます。
また、韓国の1週間あたりの労働時間は37.9時間で、日本の36.6時間より少し長い結果となっています。
詳しくは、こちらのデータをご覧ください。
▶関連データ:職業別雇用数分布_18カ国(2019)
(2)女性の労働力率とライフステージ変化
韓国の女性労働力率は53.7%で、日本の53.5%とほぼ同水準です。また、日本と同様に20代後半をピークにいったん下がり、再び上昇する「M字カーブ」が見られます。これは、結婚・出産・育児といったライフイベントが、働き方や消費行動に影響していることを示しています。
マーケティングでは働く女性・育児期の女性・再就業後の女性など、ライフステージごとに異なるニーズを捉えることが重要です。時短家電、簡便食品、美容・健康ケア、子どもの教育関連サービスなどは、この文脈で整理しやすい領域です。
詳しくは、こちらのデータや記事をご覧ください。
(3)インターネット利用率94%、生活のデジタル化が前提
韓国ではインターネット利用率が94%と高く、日本の86.2%を上回り、生活のデジタル化が進んでいます。
この高いデジタル浸透は、日常の消費行動にも表れています。キャッシュレス決済、キオスク注文、EC、即日・翌日配送、SNSを通じた購買など、生活者が商品やサービスに触れる接点はデジタル化しています。韓国市場では、オンラインで情報を見つけ、モバイルで決済し、短時間で商品を受け取ることが、すでに一般的な生活行動になっていると考えられます。
そのため、マーケティングでは認知から購入までの導線をできるだけ短く、分かりやすく設計することが重要です。商品説明、レビュー、キャンペーン、購入ボタン、配送情報までがスムーズにつながっているかどうかが、購入率を左右するポイントになるでしょう。

詳しくは、こちらのデータや記事をご覧ください。
4.韓国人の生活価値観:速さ・効率・平均以上を求める社会
(1)「パルリパルリ文化」が暮らしとサービスを高速化
韓国生活者を理解するキーワードの一つが、「パルリパルリ文化」です。「パルリパルリ」とは韓国語で「早く、早く」を意味し、韓国社会では迅速な判断や効率性が高く評価される傾向があります。
この価値観は、日常生活のさまざまな場面にも表れています。キャッシュレス決済、キオスク注文、即日・翌日配送、早朝配送、公共交通の到着予測システムなど、待ち時間や手間を減らす仕組みが生活に浸透しています。
マーケティングにおいても、韓国市場では「早い」「簡単」「すぐ分かる」「すぐ届く」といった便益が強い価値を持ちます。反対に、手続きが複雑、説明が長い、効果がわかりにくい、対応が遅いといった体験は、生活者の離脱につながりやすいでしょう。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(2)競争意識と「平均以上」志向
韓国では、競争意識の強さも生活者理解の重要なポイントです。韓国人には「競争意識の高さ」や「負けず嫌い」という一面があり、教育や見た目、持ち物において「平均以上に見られたい」という意識につながっていると言われています。
この価値観は、美容やファッション、自己管理への関心にもつながっています。韓国では、流行しているアイテムやブランドを取り入れることが、自分をよく見せるだけでなく、周囲から遅れないための手段にもなり得ます。特に美容領域では、肌を整える、清潔感を高める、自然に見た目を良くする、といったニーズが強く表れています。
マーケティングにおいては、「人より目立つ」ことよりも、「自然に洗練される」「きちんと見える」「平均以上の自分になれる」といった訴求が響きやすい可能性があります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(3)教育重視と効率的な子育て
韓国では、教育に対する意識も強く表れています。子どもに高学歴、スキル習得、精神的・経済的自立を重視する傾向があり、子ども部屋も学習空間として整備されるケースがあると整理されています。
一方で、実際の子育てでは保育園などの外部サービスも活用されています。つまり韓国は、教育重視の価値観を持ちながらも、家庭だけで完結させるのではなく、制度やサービスを取り入れて効率的に子育てを行う国といえます。
この視点は、教育関連サービスだけでなく、子ども向け食品、学習用品、住環境、家電、家事代行、育児支援サービスなどにも応用できます。親の不安を軽減し、子どもの成長に役立ち、かつ効率的に使える商品・サービスが受け入れられやすいでしょう。

写真:韓国の子ども部屋
出典:インテージConsumer Life Panorama
Consumer Life Panoramaとは
世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者の理解に役立つ。
本コラムで引用したようなビジュアルデータを用いて、
・海外生活者の属性別の違いを比較する
・カテゴリーの使用実態をリアルに把握する
・ターゲット生活者のライフスタイル全体を理解する
等、「現地に行かない」ホームビジット調査として活用が可能。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
5.韓国人の消費価値観:健康・美容・コスパ・トレンドの掛け合わせ
(1)健康は「美しさ」と結びつく
韓国の健康意識は、美容意識と強く結びついています。韓国では、「いつまでも若々しくありたい」「美しさとは健康である」といった意識が強く見られ、健康やウェルネスへの関心が高まり、肌や体の健康、体重管理など、美容と関連付けた健康ニーズが強まっています。
そのため、健康関連の商品・サービスを訴求する際も、単に「体に良い」と伝えるだけでは不十分です。韓国生活者にとって健康は、若々しさ、肌の調子、体型管理、清潔感、自分らしい見た目を保つこととつながっています。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(2)低カロリー・ゼロシュガー・成分管理への関心
韓国の食品消費では、「おいしさ」と「健康」の両立が重要です。お菓子選びでは「味・風味の良さ」が最も重視される一方で、健康への配慮も重視される傾向があります。特に「低カロリー」や「オーガニック」といった健康関連項目への関心は、日本よりも高く見られます。
また、食生活では炭水化物、塩分、砂糖、人工添加物を控えることを意識する人が約30%前後で比較的多く、成分管理への関心も高いとされています。
そのため、韓国市場で食品や飲料を展開する場合、「健康に良い」だけではなく、「おいしい」「楽しい」「続けやすい」「見た目も良い」といった要素を組み合わせることが重要です。ゼロシュガーや低カロリー商品も、「我慢するための健康商品」ではなく「楽しみながら選べるトレンド商品」として見せることがポイントになります。

図1:日本・韓国・アメリカ 過去1か月菓子購入者における菓子・ジャムカテゴリーの購入時重視点(複数選択)
ベース:各国18~64歳男女 いずれかのお菓子カテゴリー購入者
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)

図2:日本・韓国・アメリカ 過去1か月菓子購入者における食生活において気を付けていること
(複数選択)
ベース:各国18~64歳男女 いずれかのお菓子カテゴリー購入者
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)
海外生活者データで、意思決定をスマートに加速
Global Viewer
インテージがストックする11カ国(アジア・US)の生活者の様々な実態・意識に関するアンケートデータを用いて、ご課題に応じたレポートをご提供するサービス。
カバーしている項目は、各種商品・サービスカテゴリーに関する行動実態・意識、価値観・情報接触など400項目に及ぶ。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(3)男性美容も日常化する成熟市場
韓国の美容市場を語るうえで、男性美容は欠かせないテーマです。韓国男性は中国・台湾と比較してもスキンケア・メイクアップ商品の使用率が高く、化粧水、乳液、美容液、日焼け止めに加え、BBクリームやリップグロスなどのメイクアイテムも利用されています。
ただし、韓国男性の美容は、派手にメイクをするというよりも、「肌を整えて清潔感を高める」ことが中心です。然な印象をつくるナチュラルメイクや、トーンアップ効果のあるローション、カラーリップのようなスキンケアとメイクの中間的な商品も人気を集めています。
男性向け美容商品を訴求する際は、「メイク」よりも「自己管理」「清潔感」「ビジネス身だしなみ」「自然に肌を整える」といった文脈が有効でしょう。

図3:中国・韓国・台湾の18~49歳男性のスキンケアアイテム使用率(左)
図4:同メイクアップアイテム使用率(右)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(4)コスパ美容とOLIVE YOUNGの存在感
韓国の美容・健康消費では、専門店の存在も大きな役割を果たしています。OLIVE YOUNG(日本で近いイメージのストアとして「アインズ&トルペ」がある、規模は韓国のOLIVE YOUNG のほうが大きい)は韓国No.1のヘルス&ビューティーストアで、全国に1,300店舗以上を展開し、コスメだけではなくサプリメント、インナービューティー、健康食品などの商品ラインを拡充し、若者が手軽に健康商品を選べる環境が整っています。
一方で、近年はDAISOコスメのような高品質×低価格の「コスパ美容」も注目され、2025年の韓国トレンドランキングでもDAISOコスメは上位トレンドとして挙げられています。
このように韓国では、高価格なプレミアム美容だけではなく、手に取りやすい価格で機能性があり、SNSで話題化しやすい商品にも大きなチャンスがあります。

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6.韓国Z世代のリアル:トレンドに共通する4つの流行理由
韓国Z世代のトレンドを見ると、カフェ飲料、ミニバッグ、ゼロシュガー商品、キーリング型コスメ、SNS発スイーツなど、さまざまなアイテムが注目されています。
これらは一見すると異なるカテゴリーの流行に見えますが、背景には4つの共通する価値観があることが見えてきました。
① 日常の中で手軽に取り入れられること。
② ファッションや見た目と相性がよい、なじむこと。
③ 健康や環境といった価値を無理なく楽しく取り入れられること。
④ 自分らしさを表現しながら、同時にトレンドから遅れないこと。
このように韓国Z世代に向けた商品やサービスでは、単に機能性を高めるだけでは不十分です。「使いやすい」「持ち歩きたい」「今の自分に合っている」と感じられることが、流行の広がりを後押しします。
(1)便利で、生活導線に自然に入り込むトレンドが強い
韓国Z世代に支持されるトレンドの共通点の一つは、生活導線に自然に入り込めることです。韓国ではカフェ文化が生活に深く根付いており、Z世代にとって飲み物は、ペットボトルを買うものというより、カフェで購入するものとして定着しています。
また、低価格コーヒーチェーンの拡大により、アメリカーノを日常的に飲む習慣も広がっています。韓国ではベンティサイズ(約590ml)のアメリカーノが1杯1,500〜2,000ウォン(約160~210円)で販売され、挽きたてのコーヒーを手軽に飲めることが支持されて、アメリカーノを「お茶代わり」に飲む文化が急速に広まりました。韓国のアメリカーノは、エスプレッソを水で割って飲むスタイルで、スッキリとした味わいが特徴で、ゴクゴクと飲める手軽さから、1日に数杯飲む人も少なくないようです。そして、カフェは単に飲料を買う場所ではなく、友人との交流、勉強、仕事、気分転換、SNS投稿など、複数の役割を持つ生活空間になっています。
同様に、キーリング型コスメや携帯しやすいサプリメントも、日常生活の中で使いやすいことが支持される理由です。必要な時にすぐ使える、バッグやスマホに付けて持ち歩ける、無理なく続けられるといった利便性が、韓国Z世代のトレンド拡大を支えています。

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▶関連記事:韓国Z世代の飲料に関する考え方とトレンドとの関係
(2)機能だけではなく、見た目やファッション性が重視される
韓国Z世代の消費では、機能性だけではなく見た目やファッションとの相性も重要です。たとえば、韓国Z世代は環境意識がないわけではありませんが、飲料分野ではマイボトルやタンブラーの利用率が低い傾向があります。その背景には、ミニバッグの流行があります。カードサイズの財布やリップなど、最小限の持ち物だけを入れるスタイルが好まれる中で、マイボトルは荷物として大きく、ファッションのバランスを崩すものと捉えられています。
一方で、キーリング型コスメや小型の持ち歩きアイテムは、実用性に加えて「見せる楽しさ」があります。バッグやスマホに付けて持ち歩けるため、使う前からファッションの一部として機能します。韓国Z世代向けの商品では、性能だけではなくサイズ感・色・質感・パッケージ・持ち歩いた時の見え方まで設計することが重要です。

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▶関連記事:韓国Z世代の飲料に関する考え方とトレンドとの関係
(3)健康や環境意識も「我慢」ではなく「楽しく取り入れる」
韓国Z世代の健康意識を理解するうえで重要なのが、「ヘルシープレジャー」という考え方です。パンデミック以降、韓国では健康を意識する若い世代が増え、楽しみながら健康を管理する「ヘルシープレジャー」がトレンドになっています。
韓国でゼロシュガー飲料や低カロリー商品、サプリメント、インナービューティー商品が支持されているのは、健康のために我慢するのではなく、楽しみながら続けられるからです。飲料や菓子では、「低カロリー」と「おいしさ」の両立が重視され、健康的であることに加えて、満足感やトレンド感も求められています。
これは環境意識も同様で、エコであることだけを前面に出すよりも、おしゃれで軽く、持ち歩きたくなり、自分らしさを表現できることが重要です。
韓国Z世代にとって、健康や環境は「我慢して取り組むもの」ではなく「今っぽく楽しみながら取り入れるもの」として設計する必要があります。

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(4)「自分らしさ」と「周囲から遅れないこと」を両立できる
韓国Z世代の消費には、自分らしさを表現したい気持ちと、トレンドから遅れたくない気持ちの両方が見られます。ミニバッグ、キーリング型アイテム、カフェ飲料、トレンドカラーのメイクは、自分の好みを表現しながら、同時に「今っぽさ」を取り入れられる商品です。
例えばキーリング型アイテムは、推し活やコスメ、レトロ感など、個人の好みを反映しやすい一方で、流行アイテムとして周囲との共通話題にもなります。カフェ飲料も、味やメニューの選択によって自分らしさを出しながら、日常的なトレンドに参加できる消費行動といえます。
このように韓国Z世代向けの商品では、「みんなが持っている安心感」と「自分らしく選べる楽しさ」を両立させることが重要です。カラー展開、限定デザイン、カスタマイズ、推し活との相性などは、こうした価値観に応える要素になります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
7.購買行動の特徴:SNSは「情報収集」より「購買接続」のチャネル
(1)インフルエンサー投稿が購買を後押し
韓国では、SNSが単なる情報収集の場にとどまらず、購買行動に強く結びついています。日本・韓国・中国の化粧品購買におけるSNSの役割を比較したところ、韓国ではインフルエンサーが紹介した商品を実際に購入した経験がある人が約45%に達しています。
これは、韓国におけるSNSの役割が「商品を知る場所」だけではなく「買う理由を得る場所」になっていることを示しています。特に美容・コスメ領域では、インフルエンサーの使用感レビュー、ビフォーアフター、限定キャンペーン、共同購入などが購買の後押しになります。

図5:韓国におけるインフルエンサー推薦商品の購入経験(2023年)
出典:<Share of people who have purchased a product endorsed by an influencer in
South Korea as of May 2023>(Statistaより引用)
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(2)速い流行サイクルに対応するプロモーションが重要
韓国市場では、流行の拡散と移り変わりが速いことも特徴です。パルリパルリ文化に関する記事でも、韓国では流行が非常に早いスピードで拡散される一方、次の流行に移り変わるサイクルも早く、初期段階の話題性や評価、プロモーションが重要だとされています。
そのため、新商品や限定商品では、発売初期の話題化が特に重要です。人気アイドルやインフルエンサーの起用、SNSで拡散しやすいビジュアル、短期間限定のキャンペーン、レビュー投稿の促進など、複数の施策を同時に走らせる設計が求められます。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
8.まとめ:韓国生活者理解は、平均像とトレンドの両面から
韓国人の平均像をデータで見ていくと、少子化・晩婚化、小規模世帯化、高密度な都市生活、専門職比率の高さ、長い労働時間、高いインターネット利用率といった特徴が見えてきます。
そのうえで、韓国生活者の価値観には速さや効率を重視するパルリパルリ文化、平均以上を求める競争意識、健康と美容を結びつける意識、SNSから購買につながる行動が表れています。
よって、韓国市場を攻略するには、単に流行している商品やSNSトレンドを追うだけでは不十分といえます。まず人口・世帯・働き方といった平均像を押さえたうえで、Z世代・美容・健康・カフェ文化・SNS購買といった具体的な生活シーンに落とし込むことが重要となってきます。
ポイント1:速さ・簡単さ・即効性を明確に伝える
韓国市場では、商品やサービスの便益を短く、分かりやすく、すぐに理解できる形で伝えることが重要です。「すぐ使える」「すぐ届く」「すぐ分かる」「ワンタッチで完了」など、生活者が得られる効率価値を明確にする必要があります。パルリパルリ文化が根付く韓国では、スピード感や簡便性が生活者の期待値になっています。
ポイント2:健康訴求は「美容」や「楽しさ」と組み合わせる
健康食品や飲料、サプリメントを展開する場合は、単に「健康に良い」と伝えるだけでなく、「きれいになれる」「若々しく見える」「おいしく続けられる」「罪悪感なく楽しめる」といった価値を掛け合わせることが重要です。
ポイント3:SNSは認知だけではなく、購買導線まで設計する
韓国ではSNSが購買への接続点として機能しています。インフルエンサー投稿、共同購入、レビュー、限定販売、クーポンなどを組み合わせ、投稿を見た人がすぐに購入できる導線を設計する必要があります。
ポイント4:「平均以上」を叶える自己管理価値を訴求する
韓国では、競争意識や平均以上志向が、美容・ファッション・教育・消費行動に表れています。「目立つ」よりも「整って見える」「清潔感が出る」「きちんと管理できている印象になる」「周囲から遅れない」といった自己管理価値が響きやすいでしょう。
韓国市場の鍵は、「速く、分かりやすく、楽しく、自分を平均以上に整えられる価値」をどう設計するかにあります。平均像とトレンドの両面から生活者を捉えることで、韓国市場における商品開発やコミュニケーションの精度を高めることができるでしょう。



