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【中国】豆乳購買行動を見て学ぶ、中国の植物性ミルク市場のこれから

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1.世界の植物性ミルク市場の拡大

世界の植物性ミルク市場は近年急速に拡大しています。市場規模は2024年に253.3億USD(約39兆円)に達し、2030年には1.6倍に増加すると見込まれています。

世界の乳代替品産業の収益(2018年から2030年まで、単位:10億米ドル)

図1:世界の乳代替品産業の収益(2018年から2030年まで、単位:10億米ドル)
出典:<Veganism and vegetarianism worldwide>(Statistaより引用)

その中でも特に中国市場の存在感は大きく、2024年には国別市場収益で中国が99億USD(約1兆5,000億円)で首位を占めています。世界的な成長の中でも、中国市場は注目すべきターゲットといえます。

2024年の世界の肉代替品売上高(国別、単位:百万米ドル)

図2:2024年の世界の肉代替品売上高(国別、単位:百万米ドル)
出典:<Veganism and vegetarianism worldwide>(Statistaより引用)

中国市場の中核を担うのは、長い飲用文化を背景に圧倒的シェアを誇る豆乳です。一方、最近では新しい植物性ミルクも市場で存在感を増してきています。この記事では、中国消費者の「豆乳購入時重視点」と「購入時情報源」に焦点を当て、他の植物性ミルクにどのような示唆が得られるのかを考察します。

2.中国の植物性ミルク市場

2025年時点で、中国では植物性代替食品の消費経験者が81%に達しており、その中でも植物性ミルク(豆乳、ライスミルク、アーモンドミルク、オートミルクなど)を試した人が最も多く、81%を占めています 。特に豆乳は長い伝統と健康価値の高さから広く受け入れられています。一方で、オートミルクやアーモンドミルクなど新しいカテゴリーも徐々に認知を拡大しています。

 China: share of plant-based alternative food consumers 2025| Statista
 China: most popular plant-based alternative food products 2025| Statista
 同1

中国における代替乳製品の市場規模(2022年)-製品タイプ別

図3:中国における代替乳製品の市場規模(2022年)-製品タイプ別(単位:10億元)
出典:<Market size of plant-based milk in China in 2022, by product type (in billion yuan)>
(Statistaより引用)

3.中国の消費者の「豆乳購入時重視点」と「購入時情報源」

中国で豆乳を購入する際、消費者が何を重視しているのか。その答えは、インテージが保有する海外生活者データ「*Global Viewer(2024年実施)」が教えてくれます。最も重視されるのは 「栄養成分」(47.4%)と 「味・風味」(45.7%)。すなわち、豆乳は健康価値とおいしさの両立が求められるカテゴリーです。次に続くのは 「天然素材」(34.4%)と 「価格」(34.1%)。クリーンラベル志向とコスト意識が拮抗しており、日常使いの飲料として安心感と手頃さが重要な判断軸です。さらに 「国の安全認証」(33.5%)や 「ブランドイメージ」(26.5%)も一定の影響力を持ち、信頼性の担保が購買を後押ししています。

豆乳購入時重視点・中国Total(18~64歳男女)

図4:豆乳購入時重視点・中国Total(18~64歳男女)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

*Global Viewerとは

インテージがストックする11カ国(アジア・US)の生活者の様々な実態・意識に関するアンケートデータを用いて、ご課題に応じたレポートをご提供するサービス。
カバーしている項目は、各種商品・サービスカテゴリーに関する行動実態・意識、価値観・情報接触など400項目に及ぶ。

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購入時情報源に関しては「店頭の商品パッケージ」(47.9%)がトップで、「店頭の広告・POP」(27.0%)も上位に入っています。豆乳は日常使いの飲料であり、商品棚の前でラベルを見た際に、瞬間的に栄養訴求や味が分かりやすいことが決め手になります。

中国豆乳市場における主要ブランドの一つであるVitasoyの商品パッケージ。
「低糖」「コレステロールゼロ」「高品質な植物性タンパク質」といった栄養訴求や、
ピーチ味だと分かるパッケージデザインと「本物の果汁」使用を訴求している。
(※画像は香港市場向けのSNSアカウントより引用)

また、「家族・友人・知人からの口コミ」が39.8%と高く、「インターネット通販サイトの口コミ」(27.6%)や「一般人のSNS・動画・ライブ配信」(18.4%)などが続きます。一方で、「有名人・インフルエンサーのSNS・動画・ライブ配信」は14.2%にとどまり、身近で等身大の人たちの影響が見られます。
そして、マスコミの力が依然として強く、「テレビ(番組・コマーシャル)」が35.4%で3位に位置し、「雑誌(記事・広告)」(15.5%)や「新聞(記事・広告)」(13.8%)も一定の影響を持ちます。広範囲の認知醸成ではテレビなどのマスメディアがいまだ有効で、店頭やデジタル施策への送客にも機能していると考えられます。

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図5:豆乳購入時情報源・中国Total(18~64歳男女)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

4.豆乳から学ぶ、他の植物性ミルクの勝ち筋

中国市場で圧倒的な存在感を持つ豆乳の購買行動から、オートミルクやアーモンドミルクなど他の植物性ミルクが成長するためのヒントを得られるでしょう。

①健康価値とおいしさの両立
豆乳購入時に最も重視されるのは「栄養成分」(47.4%)と「味・風味」(45.7%)です。これは、植物性ミルク全般に共通する重要なポイントです。オートミルクなら食物繊維やβグルカン、アーモンドミルクならビタミンEや低カロリーといった栄養価を明確に訴求しつつ、飲みやすさやアレンジのしやすさを前面に出すことが重要です。

②クリーンラベルと安全認証で信頼を獲得
「天然素材」(34.4%)や「国の安全認証」(33.5%)が豆乳購買の重要要素であることから、他の植物性ミルクも原料の産地や製法の透明性を示すことが不可欠です。特に輸入ブランドは、中国の安全基準に適合した認証を取得し、パッケージや公式サイトで分かりやすく表示することで、信頼性を高めることができるでしょう。

③価格戦略は日常使いを意識
豆乳では「価格」(34.1%)が上位に入り、コスト意識が強いことが分かります。他の植物性ミルクも日常的に購入できる価格帯を設定することが重要です。例えば、定番サイズの低価格ラインと、機能性を強化したプレミアムラインの二層構造を設けることで、幅広い層に対応できるでしょう。

④情報発信の三本柱
購入時情報源では「店頭の商品パッケージ」(47.9%)がトップで、「家族・友人の口コミ」(39.8%)や「インターネット通販サイトの口コミ」(27.6%)も高い割合を占めています。さらに「テレビ」(35.4%)も一定の影響力を持っています。
このことから、他の植物性ミルクも商品棚でのパッケージ訴求を軸に、一般消費者のレビュー発信を増やすことが効果的だと考えられます。テレビやデジタル広告を組み合わせることで、認知から購買までの導線を強化できるでしょう。

5.まとめ

世界の植物性ミルク市場は急成長し、中国は最大の市場として豆乳が圧倒的シェアを占めています。豆乳購買行動の構造を理解することが、他の植物性ミルクも中国市場で成長していくためのヒントになるでしょう。



  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    徐佳逸

    中国出身。2024年よりインテージにてFMCGメーカー様向けマーケティング活動の支援・サポートを担当。

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    高浜 理沙

    日系のFMCGメーカー(化粧品、ベビー用品、食品・飲料等)のアジア・欧米でのマーケティング・リサーチ支援に従事したのち、2019年より現職にて、日系企業の海外マーケティング・リサーチのためのソリューション開発や、セミナー等の対外発信を行う。
    子どもが生まれてからは、家族と自身の心身の健康をいかに保つかが最大の関心事で、様々なグッズ・サービスを試している。

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    「出典:Global Market Surfer ●年●月●日公開
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