“平均アメリカ人”はどんな生活?多様化するアメリカ消費者の「平均」を知ろう
- 公開日:2026/01/13
- 更新日:2026/01/13
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世界最大の消費市場であるアメリカ。
その一方でアメリカ市場は、「広い・多様・格差が大きい」という特徴を持ち、地域や民族、所得階層によって消費者の行動は大きく異なります。だからこそ、最初から細分化されたセグメントを見るのではなく、まずは“平均的なアメリカ人”像を押さえることが重要です。
平均を知ることで、標準的な生活水準や支出配分、購入チャネルといった全体の基準点を持つことができ、アメリカ消費者を理解する第一歩となります。
この記事では、調査会社国内最大手であるインテージが保有するデータベースをもとに、アメリカ人の「平均的な生活」を紹介します。なお、この記事でいう「平均」とは統計学上の厳密な平均値ではなく、アメリカ人全体の傾向を捉えたものとしてご理解ください。
目次
1.統計データからアメリカの「平均」を把握(アメリカ人の基本プロフィール)
まずは、主要な数値からアメリカ人の全体像を把握していきましょう。
(1)人口統計
① 性年代別人口・人口構成比(10歳刻み)
アメリカでは、10歳以下から50代までの各年代層の人口規模が比較的均等に分布しています。特定の世代に人口が偏る日本とは異なり、40代未満の若年層も一定のボリュームを保っている点が特徴です。このような人口構成は、幅広い年代を対象とした市場が同時に存在するアメリカ市場の土台となっています。

アメリカの性年代別人口・人口構成比に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:性年代別人口・人口構成比(10歳刻み)_アメリカ
② 都市人口比率
日本では人口の約92%が都市部に集中しているのに対し、アメリカの都市人口比率は83.3%にとどまります。日本と比べると、アメリカは地方・郊外に居住する人口の割合が高いといえます。

17カ国の都市人口比率に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:都市人口比率_17カ国
③ 初婚年齢
アメリカの平均初婚年齢は、男性が30.4歳、女性が28.6歳です。日本(男性31.0歳、女性29.4歳)と比較すると大きな差はなく、ライフステージの進み方という点では日米で共通点が多いことがうかがえます。

性別初婚年齢に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:性別初婚年齢
④ 人種・民族構成比
アメリカ全体で見ると、白人の割合は57.7%と最も多くを占めています。しかし、カリフォルニア州では白人比率が33.7%にとどまるなど、州によって人種・民族構成は大きく異なります。

アメリカの人種・民族構成比に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:人種・民族構成比_アメリカ
⑤ 言語別人口構成比
アメリカには英語を話さない、あるいは十分に話せない人々も一定数存在しますが、言語別人口構成を見ると英語話者が82.1%を占めており、コミュニケーションの基本言語は依然として英語といえるでしょう。

言語別人口構成比に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:言語別人口構成比_アメリカ
(2)世帯・住宅
① 世帯規模(世帯人数)別構成比(16カ国比較)
アメリカの世帯人数を見ると、2~3人世帯が49.5%と約半数を占めています。この分布は、日本の世帯人数構成と近い傾向にあり、小規模世帯が主流となっている点は日米で共通しています。

世帯規模別構成比に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:世帯規模(世帯人数)別構成比_16カ国
② 住宅の新築vs中古
アメリカの公開データをもとに「住」に関する消費動向を見ると、人口流動の面では大都市圏から離れる動きが見られ、仕事の機会や住みやすさが主な移動要因となっています。
住宅の保有状況に目を向けると、一戸建て住宅が主流であり、築40年以上の中古物件の割合が日本に比べて高い点が特徴です。また、耐久財(長期間にわたり繰り返し使用される財)の保有状況では、キッチンスペースが比較的広い住宅が多く、食洗機の保有率が日本よりも高くなっています。
アメリカの住まいに関しては、こちらのレポート(無料)で紹介しています。
▶関連レポート:統計データから見るアメリカ~住編~
(3)収入・支出
① 世帯収入・SEC構成比(アメリカ全土)
アメリカの世帯年収を見ると、75,000~149,000米ドル(約1,140万~2,280万円)がボリュームゾーンとなっており、全体の約3割を占めています。日本と比較すると、世帯収入水準が相対的に高い点がアメリカ市場の特徴といえるでしょう。

世帯収入・SEC構成比に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:世帯収入・SEC構成比_アメリカ(全土)
②(平均的な)家計消費支出の項目別構成比
アメリカは日本と比べて収入水準が高いため、消費支出の総額も大きくなる傾向があります。ここでは総支出を100とした場合に、支出構成が日本とどのように異なるのかを見ていきます。
まず、食料への支出比率は、日本が15.9%であるのに対し、アメリカは7.0%と半分以下にとどまっています。一方、ヘルスケアへの支出は、日本の4.3%に対してアメリカは20.3%と約5倍に達しており、医療・健康関連費用が家計に占める割合の大きさが際立っています。

家計消費支出の構成比に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:家計消費支出の項目別構成比
(3)労働関連の比較
① 職業別雇用数分布
職業別の雇用構成を見ると、アメリカでは日本に比べて「管理職」(日本:2.0%、アメリカ:10.8%)や「専門職」(日本:15.0%、アメリカ:22.6%)として働く人の割合が高くなっています。
一方、「管理職ではないデスクワーク」の割合は、日本が20.1%であるのに対し、アメリカは9.7%と約半分にとどまります。これらの数値から、アメリカでは定型的な事務作業をAIやアウトソーシングで代替する動きが、日本よりも進んでいる、あるいは進みやすい構造にあると考えられます。

職業別雇用数に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:職業別雇用数分布
② 1週間あたりの労働時間
アメリカの1週間あたりの平均労働時間は36.4時間で、日本の36.6時間とほぼ同水準です。いずれも先進国の中では比較的労働時間が長い部類に入り、働き方の負荷が高い点は日米に共通する特徴といえるでしょう。

職業別雇用に関しては、こちらでデータ(無料)を紹介しています。
▶関連データ:職業別雇用数分布
2.ライフスタイルと価値観
(1)個を重視するアメリカ
世界各地からの移民によって成り立つアメリカは、多民族国家という背景もあり、「個」を尊重する価値観が根付いています。ここでは、その特徴が生活の中にどのように表れているのかを、「子育て」と「冷蔵庫」という身近な事例から見ていきます。
多様な文化が交わるなかで独自のライフスタイルや育児観が形成されている様子は、インテージの海外生活者ビジュアルデータベース「Consumer Life Panorama(通称:CLP)」に収録された、実際の生活者宅の写真からも読み取ることができます。
まずは子育てについてです。協調性を重視する傾向のある日本に対し、アメリカでは幼少期から自立意識を育てることが重視されています。その考え方は赤ちゃんの時期から表れており、日本では両親と同じ寝室にベビーベッドを置くケースが一般的であるのに対し、アメリカでは生後1か月ほどから専用の部屋を与える家庭も見られます。
夜泣きへの対応にも違いがあります。日本ではすぐに親が駆けつけることが多い一方、アメリカではまずは様子を見るという対応が一般的です。そのため、赤ちゃんの部屋にベビーモニターを設置し、離れた場所から様子を確認できるようにしている家庭も少なくありません。

赤ちゃんの部屋と部屋に着けているベビーモニター(US_29)
出典:Consumer Life Panorama
また、日本の子ども部屋では、子ども自身の好きなキャラクターや趣味のアイテムを部屋の「一部」に取り入れるケースが多いのに対し、アメリカでは部屋「全体」を通して、子どもが好きなテーマやモチーフで空間を作り上げる傾向が見られます。

アメリカの世帯の子ども部屋。ゲーミングPC・チェアなどが置かれている。
出典:インテージConsumer Life Panorama
「自分の好みを大切にし、個性を表現する」ことを幼少期から実践させる点に、アメリカならではの個人主義的な子育ての価値観が表れているといえるでしょう。
アメリカの子育てに関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
子どもの頃から「個」を尊重されて育つアメリカでは、日常生活に欠かせない冷蔵庫の使い方にも、その価値観が表れています。
日本に比べて戸建て住宅のサイズが大きいアメリカでは(東京と比較して約2.7倍)、住まい全体が広く、開放的に設計される傾向があります。さらに、中古住宅が市場の約8割を占めることから、キッチンをリフォームしたり、DIYで手を加えたりする世帯も少なくありません。
CLPの写真を見ていくと、冷蔵庫はキッチンに1台設置されているほか、ガレージや地下にも、もう1台置くなど2台保有している家庭が確認できます。2台目の冷蔵庫は、「地下に設置し、父親がアメフトを観戦しながら楽しむお酒を入れる」「ガレージに置いて、まとめ買いした冷凍食品やストック食材を保管する」といった用途で使われています。
このように、使用する人や目的に応じて冷蔵庫を使い分けるスタイルは、まさに「個」を尊重するアメリカらしい生活文化の一例です。

(写真)飲料専用として活用している例
出典:インテージConsumer Life Panorama
アメリカの冷蔵庫に関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
(2)仕事・育児などの多忙さから、合理性・効率化を求めるアメリカ
アメリカの小売業の仕組みを見ていくと、合理性や効率性を重視し、利益の最大化を図ろうとする姿勢が随所に見られます。こうした仕組みは、仕事や育児に追われ、日常的に多忙なアメリカ生活者の行動特性とも合致しています。その代表的な事例をいくつか紹介します。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、多くの企業や従業員がコロナ前とは異なる業務スタイルを模索し続けてきました。なかでも変化の影響が大きかったのが、小売業や飲食業におけるサービスです。
その一例が、実店舗型の「Amazon Fresh」スーパーマーケットです。4つのカメラとバーコードリーダーを搭載したショッピングカートに商品を入れるだけで、購入商品が自動的に画面に登録され、レジで改めてスキャンする必要はありません。これにより、会計を待つことなくスムーズに買い物を終えることができます。さらに、Amazonアプリを利用すれば、購入履歴をレシート代わりに確認することも可能です。

写真:Amazon Freshのショッピングカート「Amazon Dash Cart」
出典:Amazon Press Center
アメリカの小売業・飲食業のビジネスモデルに関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
さらにロサンゼルスとニューヨークの主要な小売店舗及びAmazonが出店する店舗の特徴に関しては、こちらのレポート(無料)で紹介しています。
▶関連レポート:2023年アメリカ小売視察報告(LA、NY)
次に紹介するのは、バッテリーEV車(ガソリンを使わず、電気のみで走行する車。以下、BEV)です。先進国を中心にカーボンニュートラル化が進むなか、アメリカ・カリフォルニア州ではBEVの新車販売比率が20%を超えるなど、特に普及が進んでいます。ここでは、その背景についてCLPが保有する生活者像から読み解いていきます。
BEVはガソリン車と比べて車両価格が高いため、比較的所得水準の高い層が保有していると考えられます。CLPで確認したBEV保有者の共通点として挙げられるのが、「小さな子ども」や「ペット」と暮らしている点です。こうした家庭では、走行時の静粛性や、車内温度を遠隔操作できるリモート空調コントロールといったBEVの機能が評価されている可能性があります。実際、テスラには車内で待つペットのための「Dog Mode」など、生活者の具体的なニーズに応える機能も備わっています。ペットとの暮らしとEV保有の関係性をさらに深掘りすることで、新たな機能開発やサービス設計、訴求ポイントの発見につながる可能性もあるでしょう。
また、BEV保有者の多くが持ち家の一戸建てに住んでいる点から、自宅に充電設備を整えやすい環境にあることも、普及を後押ししている要因の一つと推察されます。
そのほかCLPからは、BEV保有者が新しいものに積極的で、アクティブかつ健康的な生活を送り、環境保護と生活の質向上の両立を重視する傾向も見えてきました。スマートホームとの連携やエネルギーマネジメントを視野に入れ、日常生活において合理性や効率化を追求していると考えられます。

出典: インテージ Consumer Life Panorama
アメリカのBEVユーザーの生活・暮らしに関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
では、家事や子育ての面ではどうでしょうか。
アメリカでは、ベビーシッターやナニーの活用が日本に比べて一般的で、7割強の家庭が月に1回以上、ベビーシッターやナニーを利用しています。
また、子どもの世話に限らず、掃除などの家事を外部サービスに委託する家庭も少なくありません。こうしたアウトソーシングを通じて、家事負担を軽減し、その分、自分自身の時間や家族と過ごす時間を大切にしています。
▶関連レポート:アメリカ生活者の住まいから見える価値観(バーチャルホームツアー)
(3)多様性を尊重するアメリカ
多様な民族が暮らすアメリカでは、食文化も非常に幅広く、生活に欠かせないスーパーマーケットのあり方も、地域住民のニーズに応じて変化・進化してきました。
特にロサンゼルスでは人種の多様化が急速に進んでおり、日系、中華系、韓国系、ヒスパニック系など、民族ごとの食文化に対応したスーパーマーケットが数多く存在しています。
また、多様性を尊重するアメリカならではの食の例として、異なる民族の料理を掛け合わせた「フュージョン料理」も生まれています。
消費者の変化するニーズを敏感に捉え、新たなジャンルや価値を生み出していくアメリカ人への理解を深めることは、今後のビジネスチャンスを見つけるうえでの重要なヒントとなるでしょう。

NIJIYAでの購入品 ※お魚の品ぞろえが充実
アメリカのスーパーマーケットの多様性に関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
文化面における多様性を象徴する事例として、「LAアニメエキスポ」を紹介します。
アニメエキスポの会場には10代から20代の若者が圧倒的に多く集まり、ポジティブな熱気に包まれたイベントです。
日本と比較したイメージとしては、アメリカのアニメエキスポはアニメイベント、コスプレイベント、コミックマーケットが一体となって開催される構成で、エンターテインメント性の高い場として大いに盛り上がります。
NetflixやCrunchyrollをはじめとしたサブスクリプションサービスの拡大により、アニメの視聴機会が増えたこともあり、「Anime」という言葉は日本のアニメーションを指す英単語として広く定着しました。
このように、アメリカにおける日本アニメの位置付けは、かつての一部のファンが楽しむ「オタク」カルチャーから、若者を中心としたより一般的なカルチャーへと変化しつつあります。

写真:該当記事の筆者が会場外にて撮影
アメリカのアニメエキスポに関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
(4)耐久財に対する価値観
アメリカ人は、耐久財(長期間にわたり繰り返し使用される財)をどのように捉えているのでしょうか。ここでは、定量データと、インテージが保有する定性データ(360度住環境データ)をもとに、特に「住まい」に対する価値観を見ていきます。
データから見えてきたのは、アメリカでは引っ越しの回数が多く、大学卒業後に平均して約6~7回にのぼる点です。このことから、「住む家はライフステージに合わせて変えていくもの」と捉えられていることが分かります。
また、住まいは「生活の場」であると同時に「資産」として認識されており、賃貸よりも可能であれば購入したいと考える傾向があります。住宅価格が長期的に上昇するという認識が、こうした意識を後押ししていると考えられます。
さらに、前述の「2 (1)」でも触れた通り、アメリカでは中古住宅が市場の約8割を占めており、「家は中古で購入するもの」という価値観が一般的です。
アメリカの住宅保有に関しては、こちらのレポート(無料)で紹介しています。
▶関連レポート:アメリカ生活者の住まいから見える価値観(バーチャルホームツアー)
次に、車に対する価値観を見ていきます。
前述の「2 (2)」ではバッテリーEV車(BEV)について紹介しましたが、アメリカ市場において日本車のBEVに求められているのは、Affordable(手ごろな価格)、Reliable(信頼性)といった「日本車らしさ」です。
アメリカではBEVの普及が進んでいる一方で、「価格が手ごろであること」「十分な走行距離が確保されていること」「メンテナンス面での不安が少ないこと」といった条件を満たすBEVは、まだ十分に出揃っていないと感じている生活者も少なくありません。
そのため、日本の自動車メーカーが「手ごろな価格帯」で、「耐久性や品質に優れた」ミドルクラスのBEVモデルを提供できれば、アメリカ市場においてBEVのシェアを拡大する大きなチャンスがあると考えられます。
バッテリーEV車に関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
(5)英語の世界
世界中で話されている英語は、大きく「アメリカ英語」と「イギリス英語」に分けられます。では、どちらが主流と捉えられているのでしょうか。また、国によって英語に対する理解度やイメージには、どのような違いがあるのでしょうか。
各国における英語のイメージに関する調査結果を見ると、アメリカ人は「アメリカ英語は、他の英語圏の英語と比べて、発音が明瞭で親しみやすい」と認識していることが分かりました。

英語に関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶関連記事:アメリカ英語とイギリス英語だけではない英語の世界
3.まとめ
今回では、「アメリカ人の平均を知ろう」をテーマに、人口構成や生活、価値観といった観点からアメリカ消費者の全体像を紹介してきました。
「平均」はすべてを説明できる万能な指標ではありませんが、ビジネス戦略を考えるうえでの出発点としては非常に有効です。まず全体像を把握したうえで、そこからペルソナ設計やセグメント分析を深めていくことで、より精度の高い消費者理解につながるでしょう。
また、アメリカ人の「平均的な生活」や価値観を、より効率的かつ具体的に把握する手段として、インテージが提供する「Consumer Life Panorama」や「Global Viewer」といったソリューションも、ぜひご活用ください。
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編集者プロフィール
チュウ フォンタット
日本在住14年目マレーシア人リサーチャー。ASEAN各国の調査を多く担当しています。




