タイ人の平均とリアルな消費価値観 ~知っておくべき基本情報~
- 公開日:2026/03/19
- 更新日:2026/03/19
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目次
1.はじめに
アジアの中でも、独自の経済成長と急速なデジタル化が進むタイ。現地の生活者に響くマーケティングを行うには、まず彼らの「さまざまな平均」や「基本プロフィール」を把握することが欠かせません。
本記事では、インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer」や「Consumer Life Panorama」の調査データをもとに、タイの人口動態や消費の特徴、そして近年のライフスタイルトレンドを整理します。タイ市場を理解するために必要な基礎情報を押さえましょう。
2.タイの基本プロフィール:人口動態・収入と進む都市化
最初に、マーケティング戦略を考えるうえで欠かせない、タイの人口構造やライフステージ、そしてターゲット層の購買力を示す基本データを紹介します。
(1)少子高齢化の兆しとボリュームゾーン
日本では40~70代が人口のボリュームゾーンであるのに対し、タイでは30~50代が中心となっており、10代以下~30代の若年層ほど人口が少ない構造となっています。出生率は1.61人(2015年)で過去と比較すると増加傾向にあるものの、日本(1.30人、2021年)と同様に少子化傾向が見られます。今後は人口構造の変化が進み、さらに将来的には高齢化の進行も視野に入れる必要があるでしょう。


詳しいデータはこちらをご覧ください。
▶関連データ:性年代別人口・人口構成比
▶関連データ:出国別合計特殊生率
(2)急速に進む都市化とライフステージ
タイの都市人口比率は53.6%で、日本(92.0%)と比べると約半分の水準にとどまっています。一方で都市化の進行スピードは速く、直近2年間で都市化の増加率は1.4%増加しており、調査対象国の中でもベトナム(1.8%)、中国(1.6%)に次ぐ高い伸びを示しています。今後は都市化の進展に伴い、都市型のライフスタイルや消費行動がさらに広がっていくと考えられます。

また、初婚年齢は男性で28.5歳となっており、日本(31.0歳)より低く、インド(26.1歳)よりは高い水準です。日本ほど晩婚化は進んでいないものの、ライフステージの変化は比較的早いタイミングで訪れています。

詳しいデータはこちらをご覧ください。
▶関連データ:都市人口比率_17カ国
▶関連データ:性別初婚年齢
(3)タイ全土の収入水準と消費支出
ターゲット層のボリュームや購買力を把握するうえでは、世帯収入やSEC(社会経済クラス)の構成比が重要な指標となります。タイの世帯収入を見ると、ボリュームゾーンはBaht15,000~30,000(約75,000円~約150,000円)となっています。
また、支出構成を見ると、最も割合が高いのは「食品・ノンアルコール飲料」で25.2%(日本は15.9%)でした。次いで「レストラン・ホテル」が19.1%(日本は5.8%)となっており、日本と比べて外食・飲食関連への支出割合が高いことが特徴です。

詳しいデータはこちらをご覧ください。
▶関連データ:世帯収入・SEC構成比_タイ(全土)
▶関連データ:家計消費支出の項目別構成比
3.タイ人の消費価値観:実用性・自己研鑽・口コミ重視
タイの生活者が何に価値を感じ、どのようにお金を使っているのか、日々の消費行動と家計の内訳を紐解きます。
(1)「実用性」を求めるコト消費と自己研鑽
日本では、物理的な満足を得る「モノ消費」よりも、実用的な価値を重視し、体験にお金を使う「コト消費」に移行しています。同様にタイでも、約8割の生活者が「実利的なメリットを感じられること」に価値を見出しており、コト消費を重視する傾向が見られます。特に、日常生活に直結する日用品には積極的にお金をかける傾向があります。
また、Z世代を中心とした価値観を見ると、生活の中心として最も重視されているのは「自己研鑽すること」です。スキル向上や学びへの意識が高い点も、タイの若年層の特徴といえるでしょう。
(2)情報収集は「オンラインの口コミ」が鍵
商品の購入時にはオンラインでの情報収集が活発に行われており、特にインターネット上の口コミを重視する傾向が強く見られます。購買判断においては、実際の利用者による評価やレビューが重要な参考情報となっています。
詳しいデータはこちらをご覧ください。
▶関連レポート(無料):お金の使い方に関する4か国調査
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4.変化する食生活:「外食文化」「内食化」と多様化へ
タイといえば屋台に代表される外食文化が根強いことで知られていますが、近年はライフスタイルの変化に伴い、食習慣も多様化しています。ここでは、タイにおける食関連の主なトレンドを紹介します。
(1)SEC(社会経済クラス)で異なる自宅で作る外国料理
タイでは、社会経済クラス(SEC)によって食生活に違いが見られます。特にSECの上位層ほど、日本料理や西洋料理などの外国料理を家庭で調理する傾向が見られます。またSECに関わらず、多くの家庭では電子レンジや炊飯器を利用しており、+αの機能がついた多機能家電を使って調理を行っています。

出典:インテージConsumer Life Panorama
詳細はこちらの記事をご覧ください。
Consumer Life Panoramaとは
世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者の理解に役立つ。
本コラムで引用したようなビジュアルデータを用いて、
・海外生活者の属性別の違いを比較する
・カテゴリーの使用実態をリアルに把握する
・ターゲット生活者のライフスタイル全体を理解する
等、「現地に行かない」ホームビジット調査として活用が可能。

(2)外食大国で進む「内食化」とキッチン家電への注目
従来は屋台文化に代表される外食中心のイメージが強いタイですが、近年はライフスタイルの変化により、自宅で調理を楽しみながら健康に配慮した食事をとる「内食化」のトレンドも広がりつつあります。野菜を積極的に摂取したり、脂肪分を控えたりするなど、よりヘルシーな食生活を意識しています。
こうした動きは、特にバンコクの比較的豊かな世帯を中心に見られ、自炊需要の高まりに伴って新たなキッチン家電への需要も拡大しています。なかでもエアフライヤーやコーヒーメーカーが人気のようです。

※写真は、インテージ保有の海外生活者ビジュアルデータベース
「Consumer Life Panorama(通称:CLP)」より抜粋
詳細はこちらの記事をご覧ください。
▶関連記事:外食大国タイで進む“内食化” ── タイ市場で“次に来る”キッチン家電とは?
▶関連レポート(無料):食文化に関する調査レポート(タイ)
5.健康意識の高まりと、急成長するサプリメント市場
近年はライフスタイルの変化を背景に、タイでも人々の健康意識がこれまで以上に高まりつつあります。
(1)タイの最新健康トレンドとウェルネス需要
タイでは、日常的な健康維持や予防に対する意識が高まっており、その動きは大きく「4つのメガトレンド」として整理できます。
トレンド①:予防医療・日常的な健康管理の定着
病気になってから治療するのではなく、日々の生活の中で積極的に健康を維持・予防しようとする意識が広がっています。
トレンド②:メンタルウェルネス・ストレスケアの重視
身体的な健康だけではなく、心の健康や睡眠の質の改善など、メンタル面のケアへの関心も高まっています。
トレンド③:パーソナライズ化・デジタルヘルスの活用
アプリやウェアラブル端末などのデジタルツールを活用し、個人の体質やライフスタイルに合わせた健康管理を行う動きが広がっています。
トレンド④:食を通じた自然派志向・インナービューティ
オーガニック食品やサプリメントなどを日常的に取り入れ、食を通じて体の内側から健康や美容を整えようとする意識が高まっています。
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Nune noppaluckさんの投稿 2016年10月22日土曜日
タイの大手フルーツジュースメーカーであるDoikhamは、消費者のトレンドの変化に対応して、
有名なトマトジュースの減塩バージョンを発売
こうした健康志向の高まりは、食品、ヘルスケア、フィットネス、美容といった幅広い市場に影響を与えています。タイ市場においては、単なる機能訴求にとどまらず、「予防」「ウェルネス」「パーソナライズ」といったキーワードが、生活者の共感を得る重要なポイントとなりそうです。
詳細はこちらをご覧ください。
▶関連記事:【タイ】タイの健康トレンド2024(前編)
▶関連記事:【タイ】タイの健康トレンド2024(後編)
(2)急成長する健康補助食品・サプリメント市場
健康志向の高まりを背景に、タイではサプリメントや健康補助食品の市場が急成長しています。ASEAN全体で見ても、タイは重要な市場の一つとなっています。
こうした市場拡大の背景には、いくつかのトレンドがあります。
①「治療」から「予防」へのシフト
医療費の高騰やライフスタイルの変化を背景に、病気になってから治療するのではなく、日常的に免疫力を高めたり健康を維持したりする目的でサプリメントを取り入れる習慣が広がっています
②中間所得層の拡大と高齢化
経済成長による購買力の向上の一方で、タイでも少子高齢化が進みつつあります。これらに伴い、アンチエイジングやシニア向け健康食品への支出も増加しています。
③美容・ウェルネス目的の多様化
サプリメントの役割は単なる栄養補給にとどまりません。肌質改善、ダイエット、睡眠の質向上など、消費者一人ひとりの悩みに寄り添った商品へのニーズが高まっています。

「食品は便利で手早く処理できることが重要」に関して、タイは他2カ国より5ポイント以上も高い結果
図1:健康のための食に関する考え方(MA)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)V0221
詳細はこちらをご覧ください。
▶関連記事:【ASEAN】健康補助食品市場:急成長から見えてくる背景
▶関連レポート(無料):タイ サプリメントトレンド2023
海外生活者データで、意思決定をスマートに加速
Global Viewer
インテージがストックする11カ国(アジア・US)の生活者の様々な実態・意識に関するアンケートデータを用いて、ご課題に応じたレポートをご提供するサービス。
カバーしている項目は、各種商品・サービスカテゴリーに関する行動実態・意識、価値観・情報接触など400項目に及ぶ。

(3)飲料・代替食品(プラントベース)トレンド
タイでは、温暖で湿度の高い気候を背景に炭酸飲料の人気が高く、飲料市場の中でも近年とくに成長しているカテゴリーとなっています。炭酸飲料市場では、健康意識の高まりを背景に、無糖(ゼロシュガー)や低糖質飲料が伸長するなど、消費者の嗜好の変化を反映した新たな動きが見られます。
また、世界的に注目されているプラントベースフードについても、タイでは関心や受容度が比較的高いといえます。伝統的な菜食文化である「キンジェー」などの背景もあり、健康を目的として植物由来食品を取り入れる動きが広がっています。
詳細レポートはこちらをご覧ください。
▶関連レポート(無料):タイ 炭酸飲料市場のトレンド
▶関連レポート(無料):プラントベースフードに関するグローバルレポート
6.タイ特有のお金の使い方:豪華な結婚事情
タイでは日常生活では合理的な消費を重視する傾向がある一方、結婚や行事などのライフイベントには積極的にお金を使うという特徴も見られます。ここでは、そうしたメリハリのある消費スタイルを紹介します。
●派手でゴージャスな結婚式と資産形成
タイでは、結婚に際して住居や金などの資産を準備することが重視されます。特に新郎側から新婦家族へ結納金を贈る慣習があり、その金額が数百万バーツ(約1,100万円)に及ぶケースも見られます。
また、結婚のタイミングで金のネックレスやブレスレットが贈られることも多く、金(ゴールド)を資産として保有すると同時に、装飾品として身につける文化が根付いています。
このようにタイでは、人生の節目において資産性のある商品を重視する傾向があり、結婚関連市場では「資産価値」や「贈与」を意識した商品・サービスが重要な要素となっています。

*金塊・金のネックレスやブレスレットといったアクセサリーは、結婚のほか子どもの誕生など多くの機会で贈られる。
*(設問文) Q7 以下の各ライフステージに向けて、あなたが持っておきたいものをそれぞれお選びください。 (1)学校を卒業し働き始めた時に持っておきたいもの (2)結婚した時に持っておきたいもの (3)第一子を迎える時に特に持っておきたいもの (4)定年退職・リタイヤした時に持っておきたいもの
出典:インテー ジ自主企画調査(9か国ライフイベントと資産に関する調査)
URL:https://www.global-market-surfer.com/report/detail/152/
詳細はこちらをご覧ください。
▶関連記事:【各国結婚と資産事情】タイ編

7.モビリティトレンド:政府主導で進むEV化
最後に、人々の生活に密接に関わるインフラやモビリティに関する最新トレンドを解説します。
●車社会のタイと急加速するEVシフト
タイは東南アジアでも自動車保有率が高い成熟市場です。自動車保有率はASEANの中でも最も高く、2020年時点で登録乗用車は約170億台に達しています。
近年は政府がEV普及を積極的に推進しており、電動化の動きも加速しています。タイ政府は、減税や補助金などの支援策を通じて、2030年までに自動車生産台数のうちEVの割合を30%に引き上げる目標を掲げました。こうした政策を背景に、中国メーカーを中心とした海外EVメーカーの参入が進み、市場の拡大が加速しています。

タイ生活者が保有するEV。左:MG ZS (GWMグループ) (TH_159)、
右: Ora Good Cat (SAICグループ) (TH_169)
出典:Consumer Life Panorama
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8.最後に
タイ市場で効果的なアプローチを行うためには、まず生活者の基本となる「平均像」を押さえ、そのうえでライフスタイルや価値観の多様性を多面的に理解していくことが重要です。
タイの生活者像を把握する際には、Global ViewerやConsumer Life Panoramaといったデータを活用することで、人口動態や消費行動、価値観の変化の体系的な理解を進めましょう。
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編集者プロフィール
チュウ フォンタット
日本在住14年目マレーシア人リサーチャー。ASEAN各国の調査を多く担当しています。



