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Last updatedcalendar_month2026/10/05各国の「きれい」はどう違う?美意識から見る美容習慣と化粧品

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1.はじめに:「きれい」は個人の好みだけではなく、社会や生活環境の中で形づくられる

人は、家族や友人、学校、職場など、さまざまな集団の中で生活しています。そのため、程度の差はあっても「自分が周囲からどのように見られているか」を意識しています。
見た目を整える目的は、単に自分を美しく見せることだけではありません。清潔な印象を与える、健康的に見せる、その場にふさわしい装いをする、自己管理ができていることを示すなど、見た目には「社会の中で自分をどのように表現するか」という役割もあります。
また、「身を整えるもの」は衣服やメイクだけではありません。スキンケアやヘアケア、香り、オーラルケア、アクセサリー、バッグなどの持ち物も、周囲に与える印象を構成しています。さらに、食事や運動、睡眠といった生活習慣を整えることが、美しさや健康的な外見につながると考えられている国もあります。
例えば、中国では髪や頭皮の状態が外見を構成する重要な要素として意識されています。フィリピンでは「いい香り」が清潔さの実感と結びつき、インドでは食事・運動・睡眠などを含む健康管理が、美容の土台として捉えられています。同じ「きれい」を目指す行動であっても、何を整え、どのような状態を理想とするかは、国や地域によって異なります。

それでは、見た目を重視する国ほど美容情報を積極的に集め、多くの化粧品を使っているのでしょうか。
本記事では、インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer」の各国の比較データと具体的な美容習慣から、その関係を読み解いていきます。

2.見た目を重視することと美容に積極的であることは、同じではない

(1)「見た目の重視度」は、国ごとに差がある

各国の「見た目の重視度」に関する調査データを見ると、国によって違いがあります。
最も「見た目の重視度」が高かったのはインドの55.5%で、次いでインドネシアが51.6%、フィリピンが44.1%、ベトナムが40.9%、タイが34.1%、中国が32.6%、マレーシアが32.4%となっています。一方で、台湾は31.9%、シンガポールは23.9%、韓国は23.2%、香港は21.3%、日本は18.0%でした。

見た目に関する重要度

図1:見た目に関する重要度―TOP1(MA)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)

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全体を見ると、一人当たりGDPが高い国では見た目の重視度が相対的に低く、GDPが低い国では高い傾向が見られます。ただし、この指標は化粧品の使用量や美容支出を示すものではありません。「見た目を重視する」背景には、魅力だけでなく、清潔感・周囲との調和・信頼感・自信など複数の目的が含まれます。したがって、数値の高低だけで各国の美意識や美容への関心を判断することはできません。

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(2)「美容との関わり度」では、国の並びが変わる
一方、「美容との関わりに関する考え方・価値観」を見ると、見た目の重視度とは異なる並びになります。
美容との関わり度は、上位から順にインドが40.7%、フィリピンが28.6%、ベトナムが28.3%、タイが21.2%、マレーシアが19.8%、インドネシアが18.9%、中国が17.5%となっています。
この2つのデータを重ねると、それぞれの国で見た目への意識が「必ずしも同じように美容行動へ結びついているわけではない」ことが分かります。

美容に関する考え方・価値観-TOP1(MA)

図2:美容に関する考え方・価値観-TOP1(MA)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)

(3)ベトナム:意識と行動の両方が比較的高い
ベトナムは、見た目の重視度が40.9%、美容との関わりが28.3%で、どちらも比較的高い水準にあります。
ベトナムのZ世代女性を対象にした調査では、51%が「化粧品購入時、成分や効果効能をよく調べる」と回答しています。化粧品を購入する前に、SNSやオンラインレビューを通じて成分や効果を確認し、国内外のブランドから自分に合う商品を探す姿勢が見られます。 
そして、ここでいう美容への関わりは、多くの商品を使うことだけではありません。商品情報を探す、成分を調べる、ブランドを比較する、使用者の評価を確認するといった行動も、美容との関わりの一部となります。
ベトナムでは「見た目を整えたい」という意識が、こうした積極的な情報収集や商品比較につながっている可能性があります。

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(4)インドネシア:見た目の重視度と美容への関わり度に差
インドネシアは、見た目の重視度が51.6%と対象12カ国の中で2番目に高い一方で、美容との関わり度は18.9%です。
この差は、見た目を大切にする意識が、多くの化粧品を使うことや複雑な美容工程を取り入れることに必ずしも直結していない可能性を示しています。
インドネシアで化粧品が選ばれる際には、ハラールへの適合が安心の前提となる一方で、使い心地・価格・購入しやすさも重視されています。これは、化粧品への強いこだわりを表明するというよりも、宗教や日常生活の条件に合う商品を現実的に選んでいると考えられます。
また、インドネシアでは服装や持ち物など化粧品以外の要素も、自己表現や身だしなみの一部です。見た目への意識がメイクやスキンケアだけではなく、生活全体のさまざまな行動に分散している可能性もあります。

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(5)韓国:美容大国のイメージと異なり、関心度が低い数値
韓国は、化粧品や美容トレンドを世界に発信する「美容大国」として知られていますが、美容との関わり度は7.3%と今回取り上げた国の中では低い数値となっています。しかし、この結果から韓国は美容への関心が低いと結論づけることはできません。
韓国の男性は、中国や台湾の男性と比較して化粧水・乳液・美容液・日焼け止めなどのスキンケア商品に加え、BBクリームや色づきリップなどのメイクアップ商品も高い割合で使用しています。BBクリームは約3割、リップグロスは約2割が使用しており、肌や顔色を自然に整える行動が生活に浸透しています。

中国・韓国・台湾の18~49歳男性のスキンケアアイテム使用率・ 同メイクアップアイテム使用率

図3:中国・韓国・台湾の18~49歳男性のスキンケアアイテム使用率(左)
同メイクアップアイテム使用率(右)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

このように、韓国では美容が特別な趣味や関心事ではなく、日常的な自己管理として定着している可能性があります。また、自分に合うブランドや商品、購入場所が既に決まっていれば、新しい情報を積極的に探す必要性も低くなります。

また、実際に東南アジア5カ国の若年女性は、日本や韓国などと比べて美容情報を集めることを好む割合が高くなっています。その背景には、東南アジアの美容市場が拡大段階にあり、新ブランドの登場や海外ブランドの流入が活発であることも関係していると考えられています。一方で、日本や韓国では美容市場が成熟し、ブランドや購買習慣が既に定着している可能性があります。

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(6)見た目の重視度と美容の関わり度の「差」に、その国らしさが表れる
「見た目の重視度」と「美容との関わり度」は国の順位を決めるためではなく、意識がどのような行動につながっているかを見るための指標です。両者に差がある国では、服装・髪・香りなど化粧品以外で外見を整えている、美容が習慣化して情報探索が少ない、定番商品を継続している、といった背景が考えられます。
一方で、美容との関わりが高い国では、情報収集や比較・口コミ確認・使用後の共有までが美容行動の一部になっている可能性があります。

3.美意識の違いは、美容行動や商品の選び方にどう表れるのか

(1)国ごとに比較:何を、どこをケアするのか

①【中国】髪や頭皮も外見管理の重要な対象

調査データによると中国の20~30代では、見た目で最も重視される項目として「清潔感」が挙げられています。「髪」は「身体・印象」「肌」と並び、外見を構成する重要な要素と捉えられています。

 

見た目重視度(複数選択)男女上位を抜粋(ベース:中国の男性・女性20~30代)

図4:見た目重視度(複数選択)男女上位を抜粋(ベース:中国の男性・女性20~30代)
出典:インテージGlobal Viewer(2025年)
 

その背景の一つとして考えられるのが、画像や動画を中心としたSNSの普及です。小紅書(RED)や抖音(中国版TikTok)などでは、利用者が短時間でコンテンツを見るため、視覚的な印象が最初の注目を集めるうえで重要になります。顔だけではなく、髪のツヤやボリューム・頭頂部の状態・全体のスタイリングなども、第一印象を左右する要素になります。
ここで、髪や頭皮に関する悩みを見ると「頭皮が油っぽい・べたつく」は男性42.5%、女性46.5%で、男女共通の最大の悩みです。一方で、男性ではフケや頭皮のかゆみ、女性では髪のボリューム不足・抜け毛・乾燥なども挙げられています。
このように共通する悩みがある一方、対処方法には男女差があることがデータからも見えてきます。
また、コンディショナーやトリートメントの使用率は、女性が74.4%であるのに対し、男性は28.8%にとどまります。女性はヘアドライヤーやヘアアイロンも利用し、髪や頭皮の状態を整えるだけではなく、髪の質感や雰囲気までも調整しています。一方で、男性はシャンプーを中心とした比較的シンプルなケアが多くなっています。
このように、同じ「髪を清潔に保ちたい」というニーズでも、男性には洗浄や皮脂対策を簡単に完了できる商品、女性には補修やスタイリングまで含む悩み別の商品が求められる可能性があります。

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②【韓国】自然に整えることが日常的な自己管理に
韓国の男性は、中国や台湾の男性と比較してスキンケア商品とメイクアップ商品の使用率が高い傾向にあります。
化粧水・乳液・美容液・オールインワン・日焼け止めなどに加え、BBクリームや色づきリップも使われています。中でも特徴的なのは、目立つメイクをするというよりも肌や顔色を自然に整えるために利用されている点です。
例えば、肌のトーンを整える効果やカバー効果を持つローションは、一般的なスキンケアと軽いメイクの中間に位置する商品といえます。ローション、日焼け止め、BBクリームの機能を一つにまとめた商品であれば、複数の工程を一度に済ませながら、自然に整った肌をつくることができます。

このように韓国では、はっきりと化粧していることが分かる外見より、「常に自己管理をしている」と感じさせる自然な仕上がりが重視されていると考えられます。このことから美容は、特別な場面で外見を変えるための行動というよりも、日常的に清潔で整った印象を保つための習慣になっています。
上項①の中国では髪や頭皮の悩みに応じてケア工程が細かく分かれている一方で、韓国では複数の機能をまとめた商品を使い、効率的に自然な仕上がりをつくる動きがあります。
化粧品を使っているかどうかだけではなく、「どの部分を、何のために、どこまで整えているかを見ること」で各市場の美容習慣がより具体的に見えてきます。

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(2)高温多湿の同じ環境下でも、選ばれる対処方法は異なる

高温多湿という環境にあるマレーシア、ベトナム、タイの男性に対し、見た目重視度を比較した場合、3カ国全てにおいて「清潔感」が最重要項目という調査結果となりました。
割合はベトナムが77.6%、タイが70.2%、マレーシアが68.5%と、3カ国ともに7割近くの数値で、他の項目を大きく引き離して1位となっています。

見た目重視度(複数選択)各国上位5位を抜粋(ベース:各国18~64歳男性)

図5:見た目重視度(複数選択)各国上位5位を抜粋(ベース:各国18~64歳男性)
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

また、顔の肌悩みでは、皮脂・べたつき、吹き出物・ニキビなどが上位にあり、高温多湿な気候に関連する課題が共通して見られます。
しかし、共通する肌悩みがあるからといって、同じ商品やケア方法が選ばれているわけではないようです。次に3カ国がどのようなケアを行っているのかを見ていきます。

① 【マレーシア】洗顔後の保湿が基本ステップに
マレーシアの男性は、洗顔料に続いて化粧水が使用商品の上位に入っています。肌の汚れや余分な皮脂を落とすだけではなく、洗顔後に保湿し、肌の状態を整えるという基本的なケアが浸透していることがうかがえます。 このことから、強い洗浄力や皮脂除去だけを訴求するよりも、洗顔後の乾燥を防ぐ・べたつきにくい・少ない工程で続けられるといった「価値」を組み合わせることが効果的と考えられます。また、高温多湿な環境でも快適に使える軽いテクスチャーや、洗顔と保湿を無理なく続けられるシンプルなケアが、マレーシアの生活者たちのニーズに合う可能性があります。

②【ベトナム】予防とカバーを組み合わせる
ベトナムの男性は、日焼け止めの使用率がマレーシアやタイより高く、美容液も使用商品の上位に入っています。また、メイクアップ商品ではコンシーラーが上位となっています。
このデータから、日焼け止めや美容液で将来的な肌トラブルを予防しながら、現在ある吹き出物やニキビについてはコンシーラーで目立たなくする、という二段階の行動と捉えることができます。これはスキンケアとメイクは別々の美容行動ではなく、肌の状態を管理し、整った外見を保つための一連の行動になっていることが分かります。
つまり、商品カテゴリーごとに市場を見るだけではなく、「ニキビを悪化させたくない」「現在あるニキビを隠したい」といった生活者の目的から、複数の商品カテゴリーを横断して捉える視点が重要になってくるでしょう。

③【タイ】肌をきれいに見せることも重視
タイの男性は、皮脂やニキビに加えて「肌のくすみ」が26.9%、「透明感のなさ」が20.7%となっており、肌のトーンや明るさに対する関心が見受けられます。そのため、おしろい・フェイスパウダーやBBクリームなど、肌を整えて見せるベースメイク商品が使われています。
一方でタイの女性も、美容液が主要なスキンケア商品となっています。現地では、ブライトニングやトーンアップを訴求する美容液が、小型のパウチに入って販売されている例もあります。

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写真:バンコク在住20~30代女性の使用スキンケアアイテム
出典:インテージConsumer Life Panorama

Consumer Life Panoramaとは

世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者の理解に役立つ。

本コラムで引用したようなビジュアルデータを用いて、
・海外生活者の属性別の違いを比較する
・カテゴリーの使用実態をリアルに把握する
・ターゲット生活者のライフスタイル全体を理解する
等、「現地に行かない」ホームビジット調査として活用が可能。

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日本では、「美容液」が化粧水や乳液に加えて使用するスペシャルケアと位置づけられることがあります。一方でタイでは、理想とする肌の明るさや透明感に近づくための中心的な商品として使われている可能性があります。
また小型パウチには価格を抑えて試しやすい、必要な量だけ購入しやすい、持ち運びやすいといった利点があります。このように商品の機能だけではなく、容量やパッケージが現地の購買力や使用場面に合っているかも、選ばれるうえで重要な要素になりそうです。

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④【フィリピン】「香り」が清潔さの実感を支える

フィリピンでは、「いい香り」が清潔さを実感するための重要な要素になっています。
調査データによると香りは身体や衣類だけでなく、リビング・洗面所・キッチンなどの生活空間にも求められています。特に、洗剤の香りが残っていることを「きれいになった証拠」として捉える傾向があります。
この事例は、清潔感が見た目だけでつくられるものではないことを示していると考えられます。香水やデオドラント・香りが残るヘアケア・ボディケア・柔軟剤・住居用洗剤は、商品カテゴリーとしては異なります。しかし、生活者にとっては「清潔な状態を実感する」という共通の目的で選ばれている可能性があります。

家事別 清潔になったと実感する状態(MA):キッチンの掃除

図6:家事別 清潔になったと実感する状態(MA):キッチンの掃除
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

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このように、高温多湿という環境は皮脂や汗・ニキビといった共通の課題をもたらします。一方で、マレーシアでは保湿、ベトナムでは予防とカバー、タイでは肌のトーンや仕上がり、フィリピンでは香りによる清潔感、と望ましい解決の方向が異なることが見えてきました。
よって、気候だけで市場をまとめるのではなく生活者がどのような状態を「悩みが解決された状態」と考えているかまで確認する必要がありそうです。

4.商品の購入プロセス:どこで知り、何を確かめ、どこで買うか

(1)美容情報の収集は、SNSだけでは完結しない

美意識や商品への期待は使用する商品だけではなく、商品を知り、確かめ、購入するプロセスにも表れてきます。生活者がどの接点で商品を知り、何を信頼材料として確認し、どこで購入するかを見ることで、各市場の美容行動をより立体的に捉えることができます。
これは、インテージが保有する海外生活者データ「Global Viewer(2025年実施)」からも、東南アジア5カ国の10~20代女性は主に「口コミ」「店頭」「オンライン」の3方向から美容情報を集めていることが分かります。

●口コミ:友人や知人からの情報、通販サイトに投稿された購入者レビューなど
●店頭:商品パッケージ、販売員や美容部員の説明、テスターなどの使用感
●オンライン:インフルエンサーのSNS、レビュー動画、ライブ配信、メーカーやブランドの公式アカウントなど

各国の美容情報収集手段TOP5(ベース:各国女性18~29歳)

図7:各国の美容情報収集手段TOP5(ベース:各国女性18~29歳)
出典:インテージGlobal Viewer (2025年)

また、若年層の情報収集はSNS中心と考えられがちですが、テレビ番組やCMも複数の国で主要な情報源として利用されています。このデータから見えてくるのは「美容に関する意思決定は、一つのメディアだけで完結するものではない」という点です。

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(2)情報源ごとに確認している内容が異なる

それぞれの接点(SNS・動画、口コミ、店頭、パッケージ、EC、テレビ・CM)で確認できる内容も異なります。以下のとおり、一覧にまとめました。

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※この整理は、各情報源の一般的な役割をもとに記事内で提示する分析枠です。全ての国や生活者に共通する固定的な行動ではありません。

このように生活者は「SNSで商品を知り、通販サイトの口コミを読み、店頭でテクスチャーを試した後、価格を比較してECで購入する」こともあります。オンラインとオフラインのどちらか一方ではなく、それぞれを目的に応じて使い分けていることが見て取れます。 

(3)購入経路:購入までの距離や経路の違い

東南アジアではECプラットフォームのShopeeが広く利用されているほか、TikTok ShopやYouTube Shoppingなど、動画視聴とECが一体化したコンテンツコマースも拡大しています。レビュー動画やライブ配信を見て、そのまま購入へ進む行動も一般化しつつあります。 

商品購入の流れは「SNS、テレビ、友人などから商品を知る」から始まり、以下のように整理できます。

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この循環の中で、生活者は情報の受け手であると同時に、次の購入者に影響を与える情報の発信者にもなります。

さらに、同じ国でも購入経路は一様ではありません。
中国の20~30代が使用するシャンプーでは、女性のECプラットフォームでの購入割合は44.7%で、オンライン主導の傾向があります。一方、男性もオンラインが中心ではあるものの、百貨店での購入が21.0%、スーパーマーケットが10.2%と、女性より実店舗を利用する割合が高くなっていることが分かります。

このデータから見えてくるように、国単位で「EC中心の市場」「店頭中心の市場」と決めるのではなく、性別・年齢・商品カテゴリー・購入目的によって導線を分けて見る必要があります。

つまり、各国の美意識の違いは、使用する商品の種類だけに表れるものではなく、どの部分をケアし、どこまで工程を重ねるか、どの情報から商品を知り、何を確認して購入するかまで含めて、それぞれの美容行動が形づくられています。

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5.商品選びを左右する「目指す状態」と「信頼の根拠」

美容という言葉は、外見を華やかに変えることや理想的な美しさを追求することを想起するかもしれません。しかし、これまで紹介してきた各国の事例を見ると、化粧品や美容商品は外見を大きく変えるためだけに使われているわけではないことが分かります。
そこで本章では「目指す状態」「信頼の根拠」「商品を知ってから選ぶまでの接点」の3つの視点から、各国の商品選びを整理していきます。

(1)目指す状態:理想は「変えること」だけではなく「整えること」

まず、「きれいになりたい」という言葉の中には、大きく4つの目的に整理できるでしょう。

① 改善すること
ニキビを減らす、乾燥を防ぐ、皮脂やべたつきを抑える、髪のダメージを補修するといった目的が含まれます。

② 予防すること
紫外線による影響を防ぐ、肌トラブルを悪化させない、頭皮や髪を安定した状態に保つなど、将来の問題に備える行動です。

③ 補整すること
顔色を自然に明るく見せる、ニキビをコンシーラーで隠す、肌のトーンを均一に見せる、髪の広がりやボリュームを調整する行動が該当します。

④ 表現すること
自分らしさを示す、洗練された印象をつくる、場面に合わせて外見を切り替えるなど、周囲との関係の中で見た目を活用する行動です。

この4つの目的に目を向けると、美容は必ずしも「華やかに変えること」だけではなく、日々の状態を整え保つための行動でもあることが見えてきます。
ここでは、インドの定性ヒアリングデータを紹介します。

【インド】
●スキンケアは、理想を追うより肌を安定させるもの
インドZ世代を対象とした定性的なヒアリングでは、スキンケアは特別な美容行為ではなく、日常生活に組み込まれたセルフケアとして捉えられています。
スキンケアを始めたきっかけも、抽象的な美への憧れではなく、ニキビの悪化・乾燥による違和感・環境変化による肌荒れなど、具体的な困りごとがきっかけになっています。
そこで、基本的なケアを構成しているのは、洗顔料・保湿用のクリームやジェル・日焼け止めです。美容液やフェイスパックなどのスペシャルケアは、毎日多くの工程を重ねるためではなく、肌の状態や必要性に応じて取り入れられています。
つまり、理想的な肌を際限なく追求するよりも、トラブルを悪化させず問題なく毎日を過ごせる状態を保つことの方が、現実的な目標になっています。
また、ビタミンC美容液や韓国スキンケアなどのトレンドは広く知られているものの、自分の肌に合わなければ使わないという距離感も見られます。インドではトレンドを知っていることと、実際に商品を購入・使用することは別の行動となっています。

●メイクは場面に合わせて自分を整える手段
日常的なメイクについて定性ヒアリングした結果は、日焼け止め・アイライナー・リップなどの最小限のアイテムが中心となりました。
一方でイベントや特別な外出時は、ファンデーション・コンシーラー・マスカラなどを追加し、普段よりもしっかりとしたメイクを行います。
つまり、メイクは常に自分を華やかに見せるためのものではなく、大学や職場ではきちんとした印象をつくり、イベントでは普段と異なる印象に切り替えるための補助的な手段になっています。
インドにおける化粧品市場を見る際には、使用頻度だけでなく、どの場面で商品に役割が生まれるのかを確認することが重要です。

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(2)信頼の根拠は一つではない

生活者が化粧品を選ぶ際には、商品が自分にとって安全であり、期待する効果を得られると判断できる情報が必要となります。
ただし、何を信頼の根拠と考えるかは市場によって異なってきます。ここでは、中国・ベトナム・インドネシア・インドについて見ていきます。

①【中国】科学や技術が効果への信頼をつくる
中国のスキンケア市場では、天然素材を中心とした基礎的なケアから特定成分の効果を狙う高効率なケアへ、さらに科学や先端技術を重視するサイエンススキンケアへと、ニーズが細分化しています。
このような市場では「高機能」「肌に良い」といった抽象的な表現だけではなく、どのような成分を使っているのか、その成分が何に働きかけるのか、どのような技術や研究に基づいているのかが信頼材料になります。
一方で、専門用語や成分名を並べるだけでは、商品の価値が十分に伝わらない可能性もあります。科学的な根拠を具体的な肌悩みや使用後の状態と結びつけ、生活者が理解できる言葉で説明することが重要です。

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② 【ベトナム】成分・効果・安全性を自分で確認する
インテージが保有する生活者データベース「Global Viewer」によると、ベトナムのZ世代女性では、51.2%が化粧品購入時に成分や効果効能をよく調べると回答しています。
購入前に確認する情報としては、成分表示・具体的な効果・避けたい成分の有無・自然由来であるか・実際の使用感・ブランドや販売先の信頼性などが挙げられます。オンライン通販における模倣品への警戒も、慎重な情報確認につながっている可能性があります。
ベトナムで注目されているヴィーガンコスメは、環境や動物への配慮だけで選ばれているわけではありません。自然で安全なイメージ・分かりやすい成分・具体的な効果・トレンド感のあるブランド・洗練されたパッケージなど、複数の価値が組み合わさることで支持されています。

Z世代の美容に関する考えた方・価値観TOP1

図8:Z世代の美容に関する考えた方・価値観TOP1
出典:インテージGlobal Viewer(2024年)

よって、ベトナムではヴィーガンという特徴を倫理性だけで訴求するのではなく、使う人にとっての安全性や効果、デザイン性と一体で伝えることが重要となるでしょう。

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③【インドネシア】ハラール認証、使用感、価格が段階的に判断される
世界最大規模のムスリム人口(約2億4,000万人)を抱えるインドネシアでは、「ハラール認証」がムスリム生活者にとって商品を安心して使用するための重要な判断材料となります。
一方、実際の商品選択ではハラール認証だけではなく、使い心地・肌との相性・価格・購入しやすさも重視されています。特にメイクアップ商品では「使い心地がよい」ことが重視され、手頃な価格で店舗やオンラインから気軽に購入できることも重要です。 

このことから、インドネシアにおける商品選択は3段階で整理できるでしょう。
1.ハラール認証や原材料を確認し、宗教上、使用して問題がないかを判断。
2.テクスチャーや肌との相性、悩みへの効果から、自分に合うかを確認。
3.価格や購入場所を見て、継続して買える商品かを判断。

つまり、ハラール認証は購入の重要な前提ですが、認証を取得しているだけで商品が選ばれるわけではなく、その条件を満たしたうえで使用感や価格・入手しやすさが最終的な選択を左右します。

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④【インド】伝統的な知識と身近な人が、信頼を支える
インドでは、健康が美しさの土台として考えられています。食事・運動・睡眠・水分補給・ストレス管理などが、肌や髪、身体全体の状態に影響するという捉え方です。 
5000年以上の歴史を持つアーユルヴェーダは、伝統的な健康体系としてだけではなくスキンケアやヘアケアの分野にも広がっています。ハーブや植物エキスなど長い歴史を持つ処方への信頼が、現代の天然素材志向と結びついています。
また、インドZ世代へのヒアリング調査では、SNSやインフルエンサーが新しい商品を知る入口となる一方で、最終的な判断では皮膚科医・家族・友人・自分自身の使用経験など、「身近で信頼できる情報」が重視されていました。
このように、商品を認知するきっかけと購入を決める根拠は、必ずしも同じではありません。SNSで広く認知を獲得した後、専門家や家族からの評価、実際の使用体験によって信頼をつくるという段階的なコミュニケーションが必要になります。

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(3)商品選び:機能が同じでも、伝える価値は変わる

商品選びをする際に同じ機能でも、生活者が目指す状態や信頼の根拠が異なれば伝えるべき価値も変わります。日本で用いている機能訴求を翻訳するだけではなく、現地での使用目的と選択基準に結びつけて説明することが重要となるでしょう。

以下に、各商品に対して生活者が求める価値や伝え方のポイントを一覧にまとめました。

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このように商品価値は、機能そのものではなく「何を実現するために使うのか」「なぜ信頼できるのか」「どの接点で理解・確認されるのか」を一続きで設計することで、生活者に伝わりやすくなります。

6.おわりに:各国の「きれい」を商品戦略へつなげる3つのポイント

これまで見てきたように、見た目を重視する度合いと、美容へ積極的に関わる度合いは必ずしも一致しないことが分かりました。そして、同じ気候や肌悩みがあっても「理想とする(目指す)状態」「信頼する情報」「購入までの経路」によって、選ばれる商品や伝わる価値も変わるので、最後にマーケターが押さえるべき「3つのキーワード」を整理します。

① 理想とする(目指す)状態を捉える
保湿、皮脂対策、ブライトニングといった機能だけではなく、その機能によって生活者がどのような状態になりたいのかを捉えます。改善・予防・補整・自己表現のどれが中心なのかを確認することで、商品が担う役割と響く訴求が明確になります。

② 信頼の根拠を見極める
信頼を支えるものは、科学的な成分・研究・認証・安全性・専門家・家族や友人・使用経験など、市場によって異なります。認知を得る情報と購入を決める根拠を分けて考え、現地の判断基準に沿って価値を説明することが重要です。

③ 商品を知ってから選ぶまでの接点を設計する
生活者は、SNSやテレビで商品を知り、口コミやレビュー・パッケージで情報を確かめ、店頭で使用感を試し、ECや実店舗で購入します。接点ごとの役割を整理し、認知・理解・比較・購入・共有までを一続きの体験として設計する必要があります。

このように各国の「きれい」は、単なる外見の好みではなく、毎日をどのような状態で過ごしたいか、何を安心して使えると考えるか、どのように商品を選ぶかという価値観と結びついています。
この3つの視点から生活者を捉えることが、それぞれの市場に合った商品やコミュニケーションを考える手掛かりになります。



  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    三木田 愛

    2025年インテージ新卒入社。海外市場や生活者理解に関する情報発信に携わる。
    愛犬のチワワが最大の趣味で癒し。

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