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【ベトナム/タイ:地球の暮らし方】EV化が進む東南アジア

大気汚染・温暖化やピークオイルへの懸念でEV化がグルーバルトレンドとなっている中で、東南アジア諸国もその流れに乗ってEVの推進をしている。今回は、タイとベトナムという東南アジアでEVを推進している国のEV普及の現状について、Consumer Life Panoramaに登録されているベトナム生活者を交えながらご紹介していきたい。

第1回:【ベトナム:地球の暮らし方】住宅環境から見えるベトナム人の意識・価値観
第2回:<駐在員コラム>【ベトナム:地球の暮らし方】都市により住居タイプが異なることで、洗濯機タイプも違う?
第3回:<駐在員コラム>【ベトナム:地球の暮らし方】意外にも寒さが厳しい北部、バスルームにも南北の違いが
第4回:<駐在員コラム>【ベトナム:地球の暮らし方】ベトナムのキッチン事情~南北の気温差でキッチンの作りが違う?~
第5回:【ベトナム:地球の暮らし方】 日本の味覚がベトナムで通用するか
第6回:【ベトナム:地球の暮らし方】Ajimiでの試食活動から覗くベトナムの味覚特徴
第7回:【中国・ベトナム:地球の暮らし方】おいしい酸味の秘訣とは
第8回: 【ベトナム:地球の暮らし方】Ajimiから見る味噌のポテンシャル
第9回:【ベトナム:地球の暮らし方】味覚に関する固定観念を変える試食活動
第10回:【ベトナム:地球の暮らし方】 ベトナム人の水質へのこだわり
第11回:【ベトナム:地球の暮らし方】 ベトナムのトイレにある「手動式ウォシュレット」
第12回:【ベトナム:地球の暮らし方】南国の暑さ対策に必要なものは何か
第13回:【ベトナム:地球の暮らし方】マルチ機能が当たり前の部屋づくり
第14回:【ベトナム:地球の暮らし方】EV化が進む東南アジア

タイでのEV事情

併せてお読みください

<駐在員コラム>【タイ】電気自動車にシフトしつつあるタイの自動車事情

タイの自動車市場はすでに確立しており、自動車保有率は東南アジアの中でも高い。ASEAN事務局の統計データベース「ASEAN Stats」によると、2020年にタイで登録された乗用車は170億台を超え、ASEANで最も多かった。
そんな中、タイ電気自動車政策委員会(EV委員会)によると、タイは、2030年までに自動車の総生産台数のうち、EVが占める比率を30%にする目標を掲げている。特に、2020年から政府がEVに力を入れ始め、EV車へはより高いインセンティブを与えることを発表した。最大免税や減税措置に加え、補助金制度も実施した。具体的には、税金が8%から2%に減税され、2023年末まで国産EVに対して7万∼15万バーツの補助金制度が実施された。これにより、EV購入者が順調に増え、2023年末、政府はさらに、2024~2027年に5万~10万バーツの補助金制度を発表した。120万~170万バーツ前後というタイでの通常EV販売価格を考えると、現在の制度での補助金はEVの価格の4~5%をカバーすることになる。
こういった政策は、中国を中心した多くの海外BEVメーカーを引き付けた。現在、中国のGWMグループとSAICグループが次々と市場にEV車を導入していて、人気を集めている。BYDも2022年にタイ市場に参入し、現在工場を建設しているという。実際に、Consumer Life Panoramaに登録されているタイの生活者の中にも、中国メーカーEVの保有者がいる。

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    タイ生活者が保有するEV。左:MG ZS (GWMグループ) (TH_159)、右: Ora Good Cat (SAICグループ) (TH_169) 
     出典:Consumer Life Panorama [http://consumer-life-panorama.com/]
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    バンコクにあるBYDのショールームの屋外展示
    出典:筆者撮影

ベトナムでのEV事情

一方、ベトナムでは、EV化のトレンドをリードするのはベトナムのコングロマリットVinGroupの子会社であるVinFast。同社は2018年に電動バイク、2021年に電気自動車を次々と発売した。
ベトナムでは、自動車よりも先にバイクの電動化のトレンドが押し寄せている。ASEAN事務局の統計データベース「ASEAN Stats」によると、2020年のベトナムの人口100人当たりの乗用車登録台数は2.5台で、タイの10分の1以下だった。一方、ベトナムのバイク登録台数は7,200万台で、ASEANのどの国よりもはるかに多い。自動車の保有率がまだまだ低いベトナムではバイクはほぼ必需品というのが背景かもしれない。特に若者にとって、車はまだまだ手が届かないし、日常的な渋滞を考えてもバイクが選ばれる傾向にある。
電動バイクは昔から普通のバイクほど規制が厳しくなく、学生でも乗れる交通手段の一つとして人気があった。近年はより大人向けのデザインも登場し、特に短距離移動をメインとする人々にも選ばれているという。つい最近までは主に中国や台湾のブランドが多かったが、最近VinFastもそこを狙って参入し始めた。

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     ベトナム生活者が保有する電動バイク。左:VinFast(VN_117)、右:Dibao(VN_71)
     出典:Consumer Life Panorama [http://consumer-life-panorama.com/]
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さらに、最近、VinFastのEVバスも大都市の街中でよく見られるようになってきている。2021年から同社がEVバスをハノイとホーチミン市に導入している。

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    ハノイで走っているVinFastのEVバス
    出典:筆者撮影

加えて、2023年に入ってからVinGroupはEVタクシーサービスにも手掛けた。ハノイからスタートしたこのサービスは、現在ベトナムの主要都市に広がっている。Uberのように専用のアプリをダウンロードすると、EVタクシーと電動バイクの両方のオプションが提供される。ベトナム政府は2030年にすべての新規タクシーをEV化し、2050年までにすべてのタクシーをEV化する目標を掲げており、今後EVタクシーが普及することが期待されるだろう。

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    街中に見かけたEVタクシーカー(左)とタクシーバイク(右)
    出典:筆者撮影

Consumer Life Panoramaは、日本や海外の消費者のリアルな生活実態をご覧いただけるインテージのWEBデータベースです。各国生活者の住環境を360度画像で閲覧したり、一日の生活の流れや動線、生活行動動画をご覧頂くことができます。
本記事の写真の一部も、このデータベースに登録されている生活者の写真を引用しています。海外生活者の理解を深めるのにご活用いただけるサービスです。
Consumer Life Panoramaデモサイト:http://consumer-life-panorama.com/demo/
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  • Intage Inc

    執筆者プロフィール
    ヤン・イェン

    日本在住の中国人リサーチャー、中国をメインに海外消費者生活実態を発信。BYDが長澤まさみさんを起用したCMを作って、本格的に日本市場を攻めようとしていることが最近の印象的なニュース。

  • Intage Inc

    編集者プロフィール
    高浜 理沙

    Global Market Surferのサイトづくりを担当。

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