<駐在員コラム>【ベトナム:地球の暮らし方】都市により住居タイプが異なることで、洗濯機タイプも違う?
- 公開日:2021/07/26
- 更新日:2026/02/06
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ベトナムの国勢調査(2019年)によると、洗濯機保有率はホーチミンが71.9%。ハノイは80.5%。ベトナム全体で52.2%となっている。直近のインテージベトナムの自主調査においては、2015時点ではホーチミン・ハノイ合計の洗濯機保有率が80%ほどであったが、2019年調査時点では、両都市ではほぼ100%の保有率の製品カテゴリーである。
この洗濯機で注目したいのは、「外観デザイン」である。斜めのドラム型とツインタブ型は考慮せず、いわゆる縦型の「トップ型」と、出し入れ口が手前にある「フロント型」をアンケート調査したところ、ハノイとホーチミン市で違いが大きく出た。

ハノイとホーチミンの違い
全体的にデザイン重視の風潮ではあるためか、両都市ともにフロント型(ホーチミン86.6%、ハノイ65.6%)が人気ではある。ただし、詳細データを見ていくと、ハノイではフロント型(65.6%)とトップ型(30.5%)の割合に対して、ホーチミン市ではフロント型(86.6%)を好む人のほうがトップ型(11.4%)よりも圧倒的に多い(出典:2019年インテージベトナム自主企画調査)。 この違いは、住まいの形態と洗濯機の置き場所にも関係している。ハノイでは、縦に長い住居が多く、屋上やバルコニーに洗濯機を置くことが多い。ホーチミン市では、低層型の住居が多く、洗濯機や干す場所は家の中が多い。災害が多いハノイでは屋根を強固に作るため、屋上スペースを活用できるが、災害の少ないホーチミンではトタン屋根の家がまだまだ多く、洗濯物のためのスペースが限られてしまう。
この記事はConsumer Life Panoramaのデータが使われている
世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者の理解に役立つ。

富裕層と中間層の違い
富裕層は、ランドリーエリアに洗濯機が置いてあるのが一般的であるが、中間層は、ハノイでは屋上のバルコニーエリア、ホーチミンでは、キッチンエリアと同じエリアに洗濯機が置いてあるのが一般的である。



(写真出典:生活者データベース Consumer Life Panorama)
リサーチャー視点で分析すると、ハノイ生活者は「洗った後に干す」という行動に、ホーチミン市では「服を脱いで洗う」という行動にフォーカスしている深層心理が見え隠れしている。ホーチミンでは年中暖かく、乾かすことに困る課題よりも、一日何度もシャワーをする行動での課題のほうが多いと思われる。 ベトナムは水が豊富な国で、水道料金が比較的安いため、節水よりも節電に対する意識が高い。特に北部では湿気が多く洗濯物が乾きにくい日が多いため、雑菌が繁殖しやすく、洗濯物のニオイが気になる。熱湯選択ができる、洗濯乾燥ができるといった機能が求められていくことが予想される。 このように、生活者の行動様式をきちんと観察することで、他社との商品・サービス差別化のための開発につなげることができるであろう。
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執筆者プロフィール
根岸 正実(ねぎし まさみ)
INTAGE VN Managing Director。 INTAGE Japanで海外調査担当後、INTAGE INDIAの支援に従事。その後INTAGE VNへ赴任して2015年11月から現職。講演や学会論文多数。MBA取得。レポートの詳細はWebサービスのslideShareで「VIEVIEW」と検索。 ベトナム駐在員のその他コラムはこちら)[https://intage.com.vn/vieview/]。 オンライン名刺はこちら (Online Business Card
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編集者プロフィール
高浜 理沙(たかはま りさ)
Global Market Surferのサイト作成・運用を担当。



