【中国:地球の暮らし方】洗濯機を浴室やランドリーエリアに設置する理由は?
- 公開日:2021/06/01
- 更新日:2025/09/08
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洗濯機を浴室やランドリーエリアに設置する理由は?
日本では、洗面所に洗濯機を設置することが多い。洗面所に置くことで、水回りを一箇所にまとめたり、脱いだ服を洗濯機の近くに置いたりすることができる。しかし、中国では、もともと洗濯機専用の設置場所がないため、どこに置くかは自宅のレイアウトによる。とはいっても、Consumer Life Panoramaに登録されている中国生活者からは、ある程度の置き場の傾向がみられる。ランドリーエリアに置く洗濯機の一例 (出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
Consumer Life Panoramaとは
世界18カ国1,000名以上の生活者のビジュアルデータを蓄積した、ウェブサイト型データベース。住環境を閲覧できる3Dモデルや、各生活者の保有アイテムを撮影した2Dデータが多く搭載されており、文字や数字だけでは把握しづらい海外生活者の理解に役立つ。
本コラムで引用したようなビジュアルデータを用いて、
・海外生活者の属性別の違いを比較する
・カテゴリーの使用実態をリアルに把握する
・ターゲット生活者のライフスタイル全体を理解する
等、「現地に行かない」ホームビジット調査として活用が可能。
洗濯機タイプと干し場の選択
干し場の選択はいろんなことに左右されるが、まずは使われる洗濯機タイプに関係するだろう。Consumer Life Panoramaに登録されている生活者は、Top loadingタイプの洗濯機を保有する家庭とFront loadingタイプの洗濯機を保有する家庭に二分されるが、Top loadingタイプの洗濯機には基本ドライ機能がないので、どこかで服を干す必要がある。Top loadingタイプの一例 (出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
日本では、浴室乾燥機が設置されていたりするが、洗面所で服を洗濯した後で隣の浴室で室内乾燥ができて便利である。そうすると、洗濯から物干しまでの動線が短縮できる。また、浴室以外では、室内やバルコニーで洗濯物を干す家庭もある。 一方で、中国では、多くの場合、浴室に浴室乾燥機が設置されていない。また、部屋にも洗濯物を干す場所が限られる。その結果、多くの家庭ではバルコニーで洗濯物を干す。干し場となるバルコニー (出典:生活者データベース(Consumer Life Panorama))
中国のバルコニーは日本と違って、プライベート空間であり、室内バルコニーにすることが多いということは以前のバルコニー編ですでにご紹介した。このようなバルコニーは、日がたくさん入り、雨や雪の日にも影響なく物干しができるというメリットがあるのだ。 それ以外に、多くの人が室内バルコニーで服を干しているのは、太陽の殺菌消毒効果が期待されていることも理由の一つとして挙げられる。中国で不動産購入する場合、上海など大都市の一部の住宅を除き、南向きにバルコニーを設置することが多い。そのため、太陽による殺菌消毒効果を期待して、バルコニーで洗濯物を干す家庭も多いのだ。-
執筆者プロフィール
ヤン イェン
日本在住の中国人リサーチャー、中国をメインに海外消費者生活実態を発信。物干しをすることが面倒だと思って、乾燥機能付きの洗濯機を購入した。
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編集者プロフィール
辰田 悠輔(たつだ ゆうすけ)
Global Market Surferのサイトづくりを担当。洗濯はもっぱら取り込む専門。